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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

三度目のカフカ(海辺の)

2017-05-21 15:25:45 | 好きな本

2年くらい前から、なんとなく『海辺のカフカ』を読み返したく
なっていました。
でも、読みたい本、借りてる本、順番がまわってきた本などなどが
あって‥それに、2回読んだ本を、なぜまた?みたいな気持ちもあって、
本棚から取り出すことをなんとなく躊躇してました。
(自分の本だし、自分が読みたければ誰にも遠慮はいらないのに)

この春『騎士団長殺し』を二度続けて読み(春樹氏の新刊が出ると
たいてい2度続けて読んでます。一度だけだとわからないところが必ず
あるので)、辛口の書評で書かれている通り、それは過去の作品の中に
類似点や、同じテーマを見つけることは容易で‥(それがファンにとっては
面白いと思えるところでもあるのです)それゆえ、カフカ熱が再燃したの
です。

日付を見たら、『海辺のカフカ』を読んだのは、2002年の秋でした。
今からもう15年も前のことだということに驚き、次に、15年という時間の中で
私は何をやってきたのだろうということを思い、どっぷりと沈んでいきそうに
なりました。夜だったので、危うく眠れなくなりそうでした。

眠れなくなるのは、嫌なので、ずるいなあと思いながらも、娘の成長を
思いだしました。2002年当時、保育園に通っていた子が、大学3年に
なっているのだ、その間、大きな病気もせず素直に明るく育っていったじゃ
ないかーと。
たかが読書、なんですが、三度目のカフカのページを開く前に、私なりの
葛藤があったわけです。

そして、今は上巻の264ページ。大島さんが、森の家にカフカを迎えに
きたところです。

 大島さんは小屋の鍵を閉める。ボクは最後に振りかえってその小屋を見る。
それはさっきまでしっかりと実在していたのに、今ではなんとなく架空の
もののように感じられる。ほんの数歩歩いただけで、そにあったものごとは
たちまち現実感を失っていく。そしてさっきまでそこにいたはずの僕自身さえ
架空のもののように思えてくる。


こんなに天気がいい5月の昼下がり。この文章は気持ちの中にぴったり
おさまっていきます。

カフカってああいう話だったよね、というおおまかな印象は覚えていても、
細部はほんとうに忘れていて‥15年分の時間の重みも感じつつ、
楽しんで読み進めていかれそうです。


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