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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

1ねんに365のたんじょう日プレゼントをもらったベンジャミンのおはなし

2014-03-21 13:54:32 | ひらきよみ(読み聞かせ)

先週金曜日は、今年度最後の読み聞かせの当番でした。
入ったのは5年生のクラス。ペアの方が『どろぼうがっこう』を
読むと聞いていたので、絵もお話も、加古さんとは違う、
翻訳絵本がいいかなーと思い、図書館へ探しに行きました。
そして、選んだのはこの長いタイトルの絵本です。

まず題名を言った時に、5年生が軽く反応したのが伝わってきました。
誰にだって誕生日は来るし、誰だって、プレゼントをもらうのは
大好きなはずだから、365もプレゼントをもらった人(ベンジャミンは
犬ですけど)がいるなんて!と思いますよね。

そう主人公は、表紙の、ベンジャミンという名前の犬で
彼が9歳の誕生日を迎えた日からはなしが始まります。

友だちを呼んで楽しいパーティをひらいて、プレゼントをもらって
そしてみんなが帰っていったあと、ひとりでプレゼントを眺めながら
つつみをあけるとき、どんなにたのしかったかを 思い出すのです。

そのうちベンジャミンはどんどん悲しくなってきます。
なぜなら、今日という日が終わってしまったら、
つぎのたんじょう日が くるまで、まる1ねん、365日もある
ということに気がついてしまったから。 

そうして、ベンジャミンは、毎日が「誕生日」であるように
自分を思い込ませる「ある方法」を思いつきます。
まあ、言ってしまえば「自作自演」なんですが、でもそんな方法でも
毎朝自分が幸せな気持ちで目覚められるなら、それもありなのかな。



おはなし序盤の、誕生日がおわってしまうことを寂しい、悲しいと
感じるベンジャミンの感受性… 。
なんか懐かしいっていうか、子ども時代ってそういうところあるなあと
ちょっとしみじみした気持ちに満たされました。
オトナから見たら、なんでそんなことでくよくよしたり、泣いたりするの、
という些細なことでも、妙に「ひっかかる」子どもだったのです、私。

そして、ベンジャミンの自作自演…毎日を楽しく送るための「演出」かなー
と思うと、なんだかベンジャミンが急にオトナになったようにも思え、
ベンジャミンって、子どもなのか、オトナなのか、よくわからないなあ
というのが本当の気持ちかもしれません。 

だって、最後のページはこんなふうにまとめられているのです。
けっこうオトナな感じですよね?

これいじょう、もう たんじょう日のプレゼントは
ひとつもいらないと、ベンジャミンは、おもいました。
なぜなら、じぶんのまわりに あるものは、
なにもかも プレゼントになったのですし、
また、いつでも プレゼントになるからでした。 


確かにそうかもしれないし、何も間違ってはいないけど、
でも、誕生日には、自分が思ってもみなかったもの、
え、こんなステキなものがあったんだーというようなものを
もらってみたいし、プレゼント「ひとつもいらない」なんて
ありえませんよね?

なんとなく、教室の5年生も、今ひとつ納得いかないような
え、ほんとにそれでいいの?と言いたいような顔に見えました。



***


小学校での「読み聞かせ10年生」の1年が無事終了しました。
新年度も引き続き「11年生」として、やっていかれそうです。










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