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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

おばあちゃん!

2010-04-12 14:30:21 | 好きな本
前に、おばあちゃんが登場する本は「びくびくしてしまう」と書きましたが、
タイトルからは、おばあちゃんとすぐに結びつかなかったため、油断して(?)、
この2冊を借りてきてしまいました。

  

リチャード・ペック 作  斎藤倫子 訳



舞台は、1920~40年代のイリノイ州の小さな町。
ジョーイとメアリ・アリスのダウデル兄妹は、シカゴから、おばあちゃんが一人で住む
その小さな町で夏休みを過ごすことになりました。

「~こわい町」の方は、兄のジョーイが語り手で、兄と妹がともに過ごした
何年かの夏の思い出が綴られ、続編の「~好きな町」では、兄のジョーイは
市民保全部隊で植林の仕事をし、妹のメアリ・アリスだけが家庭の事情で
ひとりでおばあちゃんの家から高校へ通わざるおえなくなった時の、物語です。

おばあちゃんといえば、最初に思うのが「体が小さい」ということではないでしょうか?
そして次に、やさしい感じ‥両親に叱られたときも、無条件でかばってくれるような。
でも、この本のおばあちゃんは「戸口をふさぐくらい体が大きく」、近所の人も
寄りつかないような‥かなりの変りものなのです。
「~こわい町」では、小さな町で起こる事件や、イベントのたびに、おばあちゃんが
豪快で、独自な解決法を見いだすので、シカゴ(=都会)育ちの兄妹は
おばあちゃんに振り回されっぱなしで‥どの章もすごくおもしろいのです。
メアリ・アリスが、おばあちゃんと二人暮らしをする、「~好きな町」は、
彼女の成長も見られ、女同士って感じのところが、私はとても好きでした。


私の理想のおばあちゃん像というものがあるとしたら‥絵本『ルピナスさん』の中の
晩年のルピナスさんとか、『エマおばあちゃん』かなあ?と思っていましたが、
この2冊を読み終わった今では、年とったからといって、なにも丸くなる
必要はないのでは?と思い、周りの目とか、権威あるもの(人)とかを
過剰に恐れることなく、自分の気持ちをまっすぐに信じて、いつまでも自分の力で、
逞しく生きていけるように、がんばろうという気持ちになったのでした。



ほんとうに気持ちのやさしい人はこうなんだよ、と涙させられた場面を
ちょっと抜き出しておきます。(どっちの本の、どのあたりのシーンかは
読んだ人のお楽しみ、ということで・笑)

  やがて、祖母の町に近づいていることに気づいた。(中略)
 祖母は部屋から出るときはかならず明かりを消したものだが、一階と
 二階のどの窓もこうこうと明かりが灯っている。列車が家の前を通り
 すぎるとき、祖母の姿が目に入った。
  祖母はドアの前に立っていた。変らぬ姿で、いや、うしろから居間の
 明かりに照らされて、いつもより大きく見えた。眠らずに、列車が通り
 すぎるのを待っていてくれたのだ。わたしがどの車両にいるかは
 わかるはずなかった。が、祖母は片手をあげて、振っていた。わたしに
 見えるようにと、どの車両にも大きく手を振っていた。
  わたしも手を振りかえした。車窓が闇に包まれ、祖母の家がはるか
 彼方になっても、わたしは手を振りつづけていた。





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6 コメント

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Unknown (こもも)
2010-04-13 10:16:54
あーん。
ブログ読みながら、思い出して、泣いちゃったよー。
素晴らしいシーンですよね。
本当に、本当に、大好きです。どっちの本も!

漢字にルビがふってあったら、もっと早く、息子に勧めたのだけれど・・・
さすがに、もう読めるようになったかな。
勧めてみようと思います。

私は、今、ペックの別の本を読んでいますよ。
4月16日までに、積読本をすべて片付けるべく、がんばっております。
真っ白な気持ちで、迎えたくて。
(ああ、私って、いったい・・・)
返信する
こももさんへ (ruca)
2010-04-13 16:07:07
こんにちはーいい天気ですね♪

>ブログ読みながら、思い出して、泣いちゃったよー。

泣かせてすまん・笑。
でも、わかりますわかります。私だって、本文写しながら
涙がこみあげてきて困りましたもの。
ほんとにいい本でしたね~出会えたのはこももさんの
おかげと感謝しています。

>真っ白な気持ちで、迎えたくて

おおそうですよねー
なんか焦ってきましたよ。読みかけ、積んである本
たくさんありますよ~もう間に合わないなあ。
返信する
はじめまして (ぱせり)
2010-04-23 17:51:35
はじめまして。
こももさんのところから来ました。
お名前はずっと存じ上げていましたし、実はときどきこちらをのぞかせていただいていました。
がらにもなく小心者で、今までご挨拶することもなく今日まで来ましたが、リチャード・ペックに便乗して、思い切って書き込みさせてくださいね。

わたしもリチャード・ペックが大好きです。
特にこの二冊が好きです。

以前友人に『シカゴ』二作のうちどちらが好き?と聞かれたことがありますが、rucaさんが引用された部分のおかげで、僅差で『こわい町」のほうかなあ、と思っています。

また、こももさん経由で、『アメリカの61の風景』に出会いました。こちらも宝物になりました。
rucaさんからバトンを渡していただいたように(勝手に)思っています。
ありがとうございました。
返信する
ぱせりさんへ (ruca)
2010-04-24 16:21:26
こんにちは。
コメント残してくださって、どうもありがとうございます。
私も、こももさん経由で、時々記事をよませていただいて
いましたし、他の方のところに残したコメントなども
読ませていただいていました。
先日も『アメリカの61の風景』をぱせりさんが
読んだことを知って、実はすごく嬉しくなり
コメント残そうかどうか迷っていたところです。

リチャード・ペックの本もそうだし、そのほかたくさんの本の
紹介、とても興味深いです。
これからも、末永くお付き合いよろしくお願いします。
返信する
よかったです (jasumin)
2010-05-12 11:18:31
rucaさん、こんにちは。
このダウデルおばあちゃん、ほんとにすごくよかった。
会話も少ないし、、、、
どうしてこのおばあちゃんの人となりがこんなに強く伝わってくるのか
不思議なくらいなんです。
今、手元にあるのは「ミシシッピ」です。
でも、続けて読むのはもったいなくて(余韻を楽しみたいから)
他の本を挟んでいます。

強くて優しくて深くて・・・いいなぁ。
返信する
jasuminさんへ (ruca)
2010-05-13 13:40:54
こんにちは。
jasuminさんが、このおばあちゃんのことを
ご自分のおとうさまみたい、と書いているのを
こももさんのところで読んで、なんだかすごく
納得してしまいました。
私の祖母は、イメージ通りの(?)小柄で、和服の
おばあちゃんでしたが、孫を想う気持ちはダウデルの
おばあちゃんと同じだったなあー、きっとうちの
おばあちゃんも、私が乗った汽車が通ると知ったら
いつまででも戸口に立って待っていてくれたにちがいないと
思います。

>強くて優しくて深くて

そういうばあちゃんになれるよう、今から精進
しなければ、ですよね?
返信する

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