my favorite things

絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

黒&白

2007-09-19 18:13:05 | 好きな絵本

 秋に読みたい、音楽絵本シリーズ(そんなのあるの~?)第一弾は
ずっとずっと前に ことり文庫 からやってきたこの本です。

オーケストラの105人
      『オーケストラの105人』
  カーラ・カスキン 作 マーク・サイモント 絵
         岩谷時子 訳
 

 この本には、こどももおとなも両方楽しめる要素がぎっしり詰まっています。

 まず、こどもたち。

 子供は数字が大好きです。なぜなんでしょうね‥大勢のとかたくさんの
とか、書いてあるよりも、そこには36匹の羊がいて、とか、50台の車が
いっせいに走り出しました、のほうが喜びます。イメージしやすいからかなとも
思うのですが、逆に数字が込み合ってくると、こんがらがってよくわからない
くせに、それでも数字そのものにこだわります。

 だから、オーケストラを、仮に知らなかったとしても、105人には
興味しんしんのはず。そして、3ページ目にはこんな文章‥。

  まず みんな からだを洗います。
  105人のうち
  男のひとは 92人 女のひとは 13人です。
  ほとんどのひとが シャワーをつかい
  ふたりの 男のひとと 3人の 女のひとは
  しゃぼんの あわで いっぱいの おふろに
  はいります。

 3ページ目から10ページ目までは、裸かそれに近い格好の人たちが
体を洗ったり、ひげをそったり、パンツを履いたりの場面が続きます。
 子供はここらへんも大好き。カバーに書かれた紹介文をあえて読まないで
お話を読みはじめれば、この92人の男の人と、13人の女の人が
何をするために、身支度をしているのかわからないから、ますます先が
知りたくなります。
(2度目以降は、筋を全部知っているけれど、細部をたどっていく
楽しみが十分に残されています)


 次におとな(=私)が楽しめたところ(っていうか好きなところ)

 ひとつめに、タイトル。原題は The Philharmonic Gets Dressed
これを日本語にすると「オーケストラの105人」。直接的な英語も、
それを日本語にうまく訳したところもどちらにも拍手、です。

 ふたつめは、書き出し。

  金曜日の夜です。
  そとは だんだん 暗くなり そして
  だんだん 寒くなってきます。
  お家や アパートに
  あかりが ともりはじめました。

 金曜日の夜にいったい何がはじまるのでしょう‥
この後、「町では‥」と続き、町の字が当てられていますが、
こっちの「街」のほうがよかったような。
だって、ここは限定されていないけれど、ニューヨークシティだと
私は思うのです‥。冬の寒さの様子といい、後からでてくる
地下鉄の中の落書きといい、タクシーも内部しか描かれてないけど
きっと、たぶん、そう。

 みっつめに好きなところは、12人の女の人が黒い長いスカートを
はいたり、黒いセーターや黒いブラウスを着るところ。
(表紙の絵もそこからとってますね)

 そして、いちばん好きなのは、92人の男の人と13人の女の人が
身支度を整えて、「いってきます」と出かけた後の、家族が描かれて
いる真ん中あたりのページです。

 ある人のパートナーは椅子で新聞を読み、ある人のお嬢さんは
つまらなそうに机に両肘をつき、ある人の家のソファーでは
ネコがいつものことさ、って感じの顔をして寝そべり、ある人の家の
イヌはしゅんとうなだれています。

 金曜日の夜に、颯爽と仕事に行く人がいれば、その人たちが
パタンと閉めたドアの内側には、待っている人がいる‥
(あるいは、一人暮らしで待っている人も動物もいないかもしれないけど
でも、そこにはその人の普段の、普段着の生活がある)
それが、しみじみ感じられる、このページがとてもいいなあと思います。


  金曜日の夜 8時30分
  105人の 男のひとと 女のひとは
  黒と白の 服をきて
  白い紙に 黒で 音符が書かれた 楽譜を
  シンフォニーに かえるために ここへ
  きたのです。


     
   

        ‥      ‥     ‥     ‥




 
 シンフォニーに方々とは程遠いところにいるけれど、
 9月の最初の日曜日に、娘のピアノの発表会がありました。
 個人の先生主催の小さな発表会で、2年の1度の開催です。
 rが最初に出たのは3年生の時。着ていた服は、
 アニエス・ベーの薄手の白いニットに黒のフレアスカート。
 足首よりちょっと上ぐらいのコットンレースがついた
 白いソックスに黒い靴でした。季節はたしか10月。
 今回は、5年生で、9月といってもまだまだ暑い時期。
 どんな服にしたらよいかすごく迷いました。
 が、結局、いとこのあっちゃんに借りた黒い厚底のローファ型
 シューズがきめてとなり、2年前と同じ黒いスカートに、
 MUJIで見つけた大人用のSのブラウス。そして黒い透け感のある
 オーバーニーソックスにしました。

 そのイデタチに誰よりも満足していたのは私です。
 (一応、曲名も記しておきます。渚のアデリーヌと、友だちとの連弾で
  君をのせて、でした♪)



コメント (4)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 今日の夜は… | トップ | 天然生活11月号 »
最新の画像もっと見る

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
発表会 (くっちゃ寝)
2007-09-20 11:34:32
この絵本、以前友人が紹介してくれて読みました。
(音楽が大好きな友人です)
rucaさんほどじっくり味わったわけではないけれど、
とても洒落た絵本だなあ、と思いました。

別々の生活を送っている人たちが、
こうやって集まってきて、
ひとつの音楽を演奏するんだ、ということが
とてもよく伝わってきました。

子どものピアノの発表会。
親は大変ですね~(笑)。
着ていく衣装の準備から、失敗しないか心配したり。
ウチはよく緊張してお腹が痛くなるタチだったので、
ひやひやしましたよ。
残念ながら、もうそんな心配もいらなくなりましたが。
(今は試合前の腹痛かなあ・苦笑)
rちゃん、まだまだ楽しみですね。
もうすぐ、お母さんのこの服貸してちょうだい、って言われますよ~。
返信する
次はじっくりと… (るる)
2007-09-20 11:55:12
rucaさんこんにちは。
お嬢さんのピアノ発表会、ご苦労様でした。衣装、白と黒で素敵ですね☆
この絵本、さらっとしか見たことなかったです。こんな楽しみ方があったのですねー。教えてくださってありがとう。今度はじっくりと読んでみたいです。ほんと、秋、にぴったりな感じ♪(でも、まだまだ暑いですネ…)

お知らせが遅くなってしまいましたが、リンクさせていただきました。どうもありがとうございます!
返信する
くっちゃ寝さんへ (ruca)
2007-09-20 17:53:35
こんばんは。

ことり文庫へ行くと、いつもわあ~となってしまって
つい、自分のよく知っている、今まで何度も読んで
大好きで、でも持っていなかった絵本を選んでしまう
という結果になっていたのです。
それも悪くはないのですが、家に帰ってきてからが
ちょっとさびしいので、その時は、全然読んだことが
ない絵本を必ず選ぼうと思い、この本を買ったの
でした。

毎晩必ず絵本を読んでいる小さい子も、数字に着目
すれば楽しめると思いますが、大きくなってからの
ほうがよりこの絵本の素敵さがわかるかなあと
思っています。

現実の発表会。この次は、rは中学1年になっている
ので、きっと服は自分で好きなように選ぶで
しょうね。中学生以上の子たちはみんなそんな感じ
でしたから。それもあって、今回私の好みが反映
されて嬉しかったです。
返信する
るるさんへ (ruca)
2007-09-20 18:00:01
こんばんは。コメント残してくれてありがとう
ございます。

この本は、じっくり読めば読むほどに、おもしろさが
増してくる本だと思います。黒と白だけの、いわば
制服なのに、105人の人たち、みんな個性的なんです
よね。それは場所柄なのか、それとも演奏家ゆえ
なのか、とひとりで考えてみたりもしています。
あと、これがもしも、消防士さんだったら、とか
ロックバンドのメンバーだったら、とか、
別ヴァージョンの集団も…(笑)。

発表会のお洋服、褒めてもらって、嬉しいです。
こんなふうに私の思い通りの格好をしてくれた時も
あったよなあ、ときっと懐かしく思う日がくることを
想定して?書き記しておきました。
返信する

コメントを投稿

好きな絵本」カテゴリの最新記事