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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

時間って‥

2005-09-28 19:30:35 | 好きな絵本

 偶然、図書館で見つけた『絵とき ゾウの時間とネズミの時間』
本川達雄文 あべ弘士絵 たくさんのふしぎ傑作集

 ガリバーが小人国に流れついた。から始まる話は、「体のおおきさがちがったら、
食べる量はどうかわるか」という問題に置き換えられ、いろんな体重の動物の
食事量をしらべてみる、という科学数学領域に入っていきます。
 
 子どもの頃から、そちら方面はあまり得意ではなく、科学系の本よりも断然物語り、
お話系の本が好きなのですが。時には、数字で明確に表せるものがとても心地よいことが、
この本を読んでよくわかりました。
 
 1日の持ち分は誰でも24時間、と決まっている時間でも、感じ方はその時その時に
よって変わっていき…、嬉しい時、楽しい時はすぐに過ぎてしまうのに、つらい時間は
長く感じたり。 
 でも、1分間に心臓が打つ回数や、1回息を出し入れする回数は動物によって
きちんと決まっていることが、読んでいくうちにわかります。そして、大きなゾウも、
ちいさなネズミも、体重に関係なく息を1回すってはくあいだに、心臓が打つ回数は
同じだということがちゃんと割算で導きだされ、グラフにまでなっていると、
その潔さみたいなものに、なんだかほっとしてしまいます。  

 そうか、そういうふうに、生きてる動物はみんな同じ規則性の中に含まれていたんだ、と
感心しながらページを繰り、最後から数えて3場面目。海に沈む夕陽をゾウと少年と
ネズミがみている場面、こんなことが書かれています。   

「小さい動物は、短い一生を全速力でかけぬけていくんだね。
大きい動物は、ゆっくりのんびり生きていく。短くても、長くても、
一生を生きぬいた感想は、あんがいおなじかもしれない。
ネズミは早く死んでかわいそうだなんてことは、
ないんじゃないかな。」  

 最後から2場面目、最後の見開きは文章がないので、本文としては最後になる
文章は…。   

「ネズミにはネズミの時間。ネコにはネコの時間。イヌにはイヌの時間。
ゾウにはゾウの時間。動物たちには、それぞれにちがった自分の時間がある。
それぞれの動物は、それぞれの時間の中で生きている。」  

 とっても科学的な本なのに、読み終わると、まるで詩を読んだあとのような気持ちが
残ります。不思議で、忘れられない本になりました。
私には私の、私のからだに見合った時間があり、その時間をかけて「一生を生きぬく」
ことを大切にしなければ、と思います。   


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
科学絵本 (海 五郎)
2005-09-29 02:17:53
こんばんは。

科学絵本って、いい本がありますね。

この本はベストセラーを著者がそのまま「絵とき」にしているのだから、いいのが当然かもしれないけど。

「たくさんの不思議」は著作者はもちろん、編集者のていねいな仕事にいつも頭が下がります。

「すぐれた科学絵本、科学読み物はそのまますてきなファンタジーでもあるっていうのが、ぼくの持論です(そんなたいそうなもんではないですね)。

ん? それにしては「わくわく本」では一冊も科学ものを紹介してなかったりして...。

近日公開(笑)。
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絵なし ゾウの時間ネズミの時間 (ruca)
2005-09-29 17:10:15
海 五郎さん、こんにちは。



私は偶然この本を手にするまで、正確には最後まで読んで、作者紹介にいきつくまで、中公新書の『ゾウの時間 ネズミの時間』のことを知りませんでした。そのうち図書館で探して読んでみようと思います。



福音館から出ている月刊誌の最終というか、一番大きい子が読むのが「たくさんのふしぎ」ですよね? 0.1.2から始まった購読もいまや「おおきなポケット」までやってきました。娘がどこまで興味を示すかわかりませんが、私は来年も「おおポケ」か、あるいは「ふしぎ」のどちらかを購読しようと思っています。
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共通点 (珊瑚)
2005-09-29 18:44:54
はじめまして!rucaさん。



書込みをするのは、初めてですが時々ブログを拝見してrucaさんとの共通点が多いので驚いています。

私も、ローラのお話が好きです。

幼い頃に読んでいたのを思い出して娘が生まれてからまた読み返していました。

小さい頃とはまた違った部分にも惹かれ、ますます好きになりました。そのシンプルな暮らしに心が癒される気が致します。



それから、私には4歳の娘がおりますが、娘と私の誕生月が同じで退院の日が私の誕生日でした。



そして、手の症状!

私も間接の部分が切れてしまいだんだんと手荒れが拡がっていく症状に、ここ何年か悩まされているのです。



言葉にすれば、これだけの事なのですが、読んでいてハッとする事が良くあるので、勝手に親近感を感じておりました。



今回も、「自分の時間を大切にし後悔をしないように一生を生き抜く」という事を考えていた時だったので、この偶然に勇気を得て、コメントさせて頂きました。
返信する
はじめまして (ruca)
2005-09-30 17:08:19
こんにちは、珊瑚さん。



書き込みいただいてどうもありがとうございます。

とっても嬉しいです。



私もブログをはじめてから、自分と似たものが好きな人に

出会うと、そのたび驚いたり嬉しくなったりしていました。でも、こんなに共通点の多い方ははじめてで、驚いています。(ほんとに知らせてくれてありがとう)



ローラのシリーズが好きな人はいても、自分の誕生日に、生まれたてのあかちゃん連れて退院してきた人はそう

多くはいないはず。お嬢さんはまだ4歳なんですね、

手もかかるけど、これからたくさんお話できるようになったり、文字がかけるようになったりする、とても楽しい

時期ですね。(もしかしてお姉さんとかお兄さんさんとか

いらっしゃったら、そんなこと経験済ですよね)



珊瑚さんは、まつかぜさんの『まつかぜ日記』から

ここへいらしてくれたのでしょうか?もし、珊瑚さんの

HPもあったら、ぜひ教えてください。
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Unknown (珊瑚)
2005-10-01 23:17:01
rucaさん、こんばんは。

そうなんです。まつかぜさんのところから、こちらのブログに伺いました。

自分のHPは、持っていないんです。

まつかぜさんからもお勧めされてはいるのですが、すごい、機械オンチの私。

興味はあるものの、踏み切れずにいるのです。

でも、いつか、はじめようと考えています。

その時は、どうか覗きに来てやって下さいね。



娘は4歳ですが、本が大好きです。

自分でも、かなり上手に読んでいます。



1歳2歳の小さい頃は、「しろくまちゃんのホットケーキ」が大好きでした。

「たまご、ポトン。あっ、われちゃった」という文章で、必ずお約束のように「あはは!」と笑っていたのを思い出します。



「ぐりとぐら」の絵本も大好きで、何度も読みました。

娘のレッスンバッグにも「グリとグラ」のアップリケをつけましたよ。



もう少し大きくなったら、私が好きなローラのお話やメイベルおばさんのお話を一緒に読みたいと思っています。









返信する
機械オンチ (珊瑚)
2005-10-01 23:21:51
先ほど、言っていた「機械オンチ」ぶりを早速、証明してしまいました。



ニワトリやブタさんがたくさん並んでしまってます。こんなつもりでは、なかったのですが・・・。(恥っ)
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また来てください (ruca)
2005-10-03 18:51:17
珊瑚さん、こんばんは。



こちらから珊瑚のところへは伺えないのは、ちょっと

さびしいです。「いつかはじめたとき」には、必ず教えて

くださいね。それまでは、もしまた何か共鳴するような

ものがあれば、コメントしに来てください、

お待ちしています。



>娘は4歳ですが、本が大好きです。

自分でも、かなり上手に読んでいます。



この年頃って、たとえ文字が読めなかったとしても、

好きな本や、よく読んでもらっているものは、暗記して

すらすら読んでしまいますよね。うちの娘は柳生まち子さんの

『3びきねこさんとおひるねまくら』を暗記していて、

年上のいとこたちを驚かせていました。

けれど、今ではそんなことをすっかり忘れていて、

話しても「ふーん、そうだった?」なんて言ってます。
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また来てください (ruca)
2005-10-03 19:01:27
珊瑚さん、こんばんは。



こちらから珊瑚のところへは伺えないのは、ちょっと

さびしいです。「いつかはじめたとき」には、必ず教えて

くださいね。それまでは、もしまた何か共鳴するような

ものがあれば、コメントしに来てください、

お待ちしています。



>娘は4歳ですが、本が大好きです。

自分でも、かなり上手に読んでいます。



この年頃って、たとえ文字が読めなかったとしても、

好きな本や、よく読んでもらっているものは、暗記して

すらすら読んでしまいますよね。うちの娘は柳生まち子さんの

『3びきねこさんとおひるねまくら』を暗記していて、

年上のいとこたちを驚かせていました。

けれど、今ではそんなことをすっかり忘れていて、

話しても「ふーん、そうだった?」なんて言ってます。
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