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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

のうさぎさんのように

2006-12-28 15:20:22 | 好きな絵本

 あまり実感はないけれど、今年ももうすぐ終わりです。

 色々なことがあった1年でした‥。別れがあれば、出会いもあって。

 このブログを通してしか、知り合いようもなかった方々と、ほんとうに会うことができ、
親交を持たせていただいたのはとても嬉しいことでした。

 新しい友の新しいお店と、古くからの友の新しいお店。梅ヶ丘と日本橋浜町、
出かけて楽しい街が増えました。

 たくさんの絵本を知り、たくさんの絵本を読み、1年間ずっとブログを続けられたことは、
私にとってとても貴重な経験になりました。PCを開き、ここをクリックしてくださった皆様の
おかげです、ほんとうにありがとうございます。



 さてさて。

 今年最後の絵本は、こちらに決めました。
 「みどりの船」のフラニーさんの記事を11月に読み、それから市外の図書館より取り寄せてもらい、
先日、ことり文庫で見つけて、私の本棚の1冊になりました。


あな
        『あな』
       片山令子 文
         片山健  絵


 朝から、何もする気になれない日。のうさぎさんもそんな時、ただ テーブルに 
ほおづえを ついて、ぼーっと している だけです。

 が。のうさぎさん、いつまでもいつまでも、「ぼーっと」しているばかりではありません。

 「いま、どんな きもちかって
 いうと‥。
 そうね、
 たとえば この からっぽのカップ。
 そう。わたしは からっぽの
 きもちなんだわ」

 自分のぼーっとの気持ちのわけは、どこからやってくるのかを、冷静に見極め
始めるのです。

 目の前にあった、からっぽのカップのような気持ちかな、と思っては、カップほど
「べたべたしていない」(ゆうべミルクこうちゃを飲んだままだったのです)と思い‥。
 ろうかに落ちていたバケツを頭にかぶってみて、テーブルにぶつかってころんでは、
 「わたしの からっぽは こんなに うるさくない」と思います。
 庭に出てみたらシャベルがあったので、のうさぎさん、土に穴を掘り始めます。そして、
どんどん大きな穴を掘っていき、

 「そうそう。このくらい おおきな

 からっぽの きもちなんだ」

 穴の中に座り、空を見上げていたのうさぎさん。
 
 からっぽの きもちの
 あなの そこから みると、
 いつも みなれた 雲や空が、
 おどろくほど きれいなものに
 みえるのでした。


 ここまで読んで。のうさぎさんなかなかいいなと、思うのです。

 気持ちがマイナス方向に行きそうなときや、いっちゃったとき、いつまでもそれに
どっぷり浸かっていないで‥よーく自分の気持ちを覗き込み‥そして、自分の力で
立ち上がれたらなあと思います。

 バケツはちがうかな?と思いつつも、まあかぶってみて、シャベルが見つかれば、
取り合えず掘ってみます。見当ちがいなことのように思えても、遠回りで辿り付けるかも
しれないし。動いて、体をつかってみれば、それだけで気持ちも晴れるし、居心地のよい
「場所」も見つかるかもしれないし。

 お話の後半。穴の中で「いいこと」を思いついたのうさぎさんは、今度はその「いいこと」の
実行に夢中になり、なんのための穴だったのかを忘れていきます。
 季節が移り、翌春、からっぽのきもちの あなは、きれいな 花と実がいっぱいの、
かわいい まあるい花だんに なったんです
 って。

 からっぽの気持ちに、きれいな花が咲くなんて、不思議な話ですよね。
 でも、お話を追っていくと、のうさぎさんの思い込みと、空想癖と、行動力と、偶然の賜物
であることがわかります。

 

 新しい年。

 何かいいこと思いついたら、頭の中でめぐらせているだけでなく、体をつかってみようと
思います。的はずれの「バケツ」の場合もあるかもしれませんが、ちがうなと思ったら、
庭に落ちているかもしれないシャベルを探し‥ひたすら穴を掘ってみようと思います。

 目標は、のうさぎさんのように、です。

 変わらぬおつきあいを、どうぞよろしくお願い致します。


 


 
 


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10 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
今年の気持ちにぴったりです。 (このはな)
2006-12-29 19:24:24
今までもこんな風に過ごしてきたのかもしれませんが、今年はまさにこの、のうさぎさんのようでした。
「ああ、そうやったんやわ」とここを読ませていただいて、ほっこりした気持ちにさせていただきました。
今年前半はいったい何をやっているのか、着地点が見えないまま飛び回っていましたが、ようやく拠点が見えてきました。
今まで私が所々に掘った穴に、ポロポロこぼした種から芽が出てきてて、それを見つけて下さった方々が育てようとして下さるようです。理想的な形で。
来年は具体的に動きます。
rucaさんのお力も、ぜひお借りしたいと思っています。
今年もいろいろありがとうございました。京都に来てくださったこと、ほんとに素敵な思い出です。これからも、よろしくお願いします。
返信する
出会いましたね (miyaco)
2006-12-30 01:37:53
そう。今年はrucaさんに「出会った」年だったんです!
もうすっかりrucaさんの存在が私の中で「フツウ」になってしまい、1年前には顔も存じ上げなかったということを忘れかけています(笑)

ブログを通じてだけではなく、
体を使った出会いがあったこと、
そして、それがrucaさんとだったこと、
きっと、私の2006年のその後のなかで
大きな位置を占めている気がします。

また、来年も素敵なことがたくさんあるといいですね♪


返信する
ありがとうございました。 (こもも)
2006-12-30 15:10:59
こちらで、紹介されていた「ことり文庫」さん。私も行ってきました♪
本当に、素敵な絵本屋さんですね。すっかり、魅了されてきました。
素敵な本屋さんとの出会いは、活字大好きの私には、まさに大ニュースです。素敵な出会いを本当にありがとうございます。そして、素敵な本たちとの出会いも♪
来年も、どうぞよろしくお願いします。
返信する
わたしも・・ (こうめ)
2006-12-31 09:52:28
ことしは、rucaさんと出会ったのでした。
(荒井良二さんの、バスにのってで!)

rucaさんが本や日々の出来ごとから感じることを、
ここを通して感じて、
目の前の景色が少し変わって見えるような・・
そんなことがたくさんありました。

この、のうさぎさんの本のように、
いいな・・って思っていたお話しが、
大すきに、昇格しちゃったり。

来年も、また、お会いできますよね。
もちろん、ここも、楽しみにしています。

ではでは、よいお年を・・!
返信する
このはなさんへ (ruca)
2006-12-31 16:17:14
こんにちは。今日は暖かで穏やかな大晦日です。
暮の忙しい時期に、コメント残してくれて、ほんとにありがとうございます。

今年の夏、このはなさんと会って、話したことがもうずっとずっと前の夏のように思えます。夏から秋、冬にかけていろんなことがあったせいもありますが、もう前から知っているお友だちのように、このはなさんのこと、感じているからかもしれません。

思い返せば、私の「今年」も、すでにのうさぎさんがはいっていたかも‥です。思っているだけではだめなので、行きたいこと、やりたいこと、やってみようと年の始めに決めていましたもの。

来年のこのはなさんの活躍、とっても楽しみです。私にお手伝いできそうなこと、何でも言ってくださいね。

変わらぬおつきあいどうぞよろしくお願いします。
返信する
miyacoさんへ (ruca)
2006-12-31 17:40:46
こんばんは。

大晦日の夕方に、コメントの返事書いてます。
やらなきゃいけないこと、あと2つ残っているのに‥miyacoさんの書いてくれたコメントに、うるっと感激してしまいました。どうもありがとう。

>体を使った出会いがあったこと

ここがポイントですよね?(笑)
バーチャル世界でのやり取りも楽しかったけど、やっぱり声を聞いて、顔を見て、話すのはすごく楽しい!!
「ブログの、なになにさん」ではなく、ただの「miyacoさん」で家の中でも、話が通じるようになりました。

来年の楽しいこと、何か御一緒できたらいいですね~。
どうぞよろしくお願い致します。

返信する
こももさんへ (ruca)
2006-12-31 17:48:11
こんばんは。

わあ~こももさんも、ことり文庫さんへ行かれたのですね。
ねえ、素敵なお店でしたよね??

ってことは、こうめさんは、こももさんに会ったってこと
ですよね?いいなあ、こうめさん。

来年こももさんのところに赤ちゃんが生まれたら、
しばらくはお出かけできなくなっちゃうかもしれないけど、
もしも、連れてお出かけできるようなら、ぜひぜひ
ことり文庫で会いたいです。しばらくぶりの、赤ちゃんも
だっこさせてもらいたいし‥。

なかなかお出かけできなくても、ことり文庫はずっとずっと
あの場所にあるので、いつか必ず会いたい方に、会えると
思って、安心しています。

また来年も、春樹話で盛り上がりましょうね。
どうぞよろしくお願いします。
返信する
こうめさんへ (ruca)
2006-12-31 17:59:11
こんばんは。

まだ今頃は、お店にいらっしゃるのかな。

今年、こうめさんに会う事ができたのは、miyacoさんが声をかけてくれたおかげで、そのmiyacoさんと会う事ができたのは、元々は海五郎さんのおかげなので、その海さんに、私のケーキを食べてもらえたことは、絵本のストーリーより、私的には不思議で、嬉しいことでした。そして、そんなことが本当に起こったのも、こうめさんが、ことり文庫を開いてくれたからです。ほんとうにどうもありがとう。

>目の前の景色が少し変わって見えるような・・
>そんなことがたくさんありました。

絵本を読むということは、ほんとに↑こういうことですよね。絵本や本があって、どれほど助けられたかわかりないし、やさしい気持ちになれたかわかりません。そういうこと思い返しただけで、涙が出て来るくらい…。

新しいとし。誰といつ、ことり文庫に行かれるか、今から楽しみです。それというのも家族以外でも、私とことり文庫に行きたい人、多いのです(笑)。お客さまの新規開拓のお手伝いもしますよ~。

次ぎに行く時まで、のうさぎさんのおはなしえほん4『みずうみ』があればいいなあ。
返信する
のうさぎさん (はらぺーにょ)
2007-02-04 08:21:26
rucaさん、おはようございます。
先日、このシリーズの第1巻「いえ」をまず購入したのですが、
やはり、どれも気になるおはなしですね。
今、フラニーさんのところで「あな」のお話を知り、
rucaさんのTBがあったので、早速こちらにもお邪魔しました。
「あな」これは是非買わなくちゃ!と、勇んでます。

のうさぎシリーズつながりで私もTBさせてくださいね。

ところで、この前から「ことり文庫」さんってなんだろうと
とても気になってまして、先ほどサイトを覗いてみました。
ステキなお店があるのですね~近いうちに是非行ってみますね。
また楽しみが増えてとても嬉しいです。
ありがとうございます。
返信する
はらぺーにょさんへ (ruca)
2007-02-05 17:06:05
またまたこんにちは。

のうさぎさんシリーズのサイン本、新たにゲットすることできたでしょうか‥。
この本の大きさといい、のうさぎさんの意志の強さを表す太眉といい、ほんとに手元に置いて、毎日でも開きたいシリーズですよね。はらぺーにょさんのところで、『いえ』のサイン本を見てまたまた1巻が欲しくなっています。

ところで、「ことり文庫」さんの存在、知ってくれてすごく嬉しいし、すごくほっとしました。
私がやきもきすることではないのに、はらぺーにょさん
ことり文庫のこと知ってるかなあ、もしもご存知なかったらどうやって伝えようと、思っていました。
はらぺーにょさんのおうちから近いかどうか、よくわかりませんが、ぜひぜひ行って、こうめさんともお話してみてください。そして、いつかことり文庫さんで、お会いできたらいいなあ、なんて思っています。

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