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絵本の話を中心に、好きなもの、想うことなど。

いつも胸の中に

2010-08-28 23:18:51 | 好きな絵本
何かを思い描いたり、誰かのことを想ったり、遠い場所を夢みたりするのは
頭の中での作業だと、理屈では分かっていても、重ねた両手は自然に胸の前で
組まれるし、ずきんと鳴ったり、きゅんとするのも胸の内側ではないですか?


この本。
そっと覚えて、いつでも自分の「内側」で、繰り返し唱えた短い詩が、
安野さんの美しい挿絵とともに、50篇も入っています。
ソナチネの木
  岸田 衿子  作    安野 光雅  絵


詩っていうか、ひとりごとみたいな短い文は、すべてがたったの4行でできていますが、
一旦自分の中に入ってくると、それはどこまでもどこまでも広がっていく感じです。

たとえばこんなふう。

    わたしはえのぐをといた
    昼をとっておくために
    窓をみがいた
    夜をとっておくために

ソナチネの木。
タイトルからして、すごく素敵。

    小鳥が一つずつ
    音をくわえて とまった木
    その木を
    ソナチネの木 という



rの14歳の誕生日に、と贈った本ですが、彼女の胸に届く日が来るまでは
(こういう詩が響くようになるのは、好きな人がいてこそですから)
私が何度も何度もページを繰るでしょう。



*今年もまた誕生日がやってきました。
奇数の年より、なぜか偶数の年(年齢)になるほうが、好きだなと思います。
今朝、昇る朝日をみたのです。
12年前の、8月28日を覚えているように、12年後も、今日のことを思い出すことが
できるでしょうか。

強い日差し、夏の庭、友とのおしゃべり、家族の祝福‥ソナチネの木。




コメント (4)
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