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いらだつロシア

2006-04-21 00:17:23 | ロシア

ロシアがWTO加盟をめぐって、いらだちを深めている。

今年はロシアが主要国首脳会議サミットの議長国なのだが、昨年中のWTO加盟を断念、今春までの加盟を新たな目標としていた。サミットでの非加盟国はロシアのみで、そのことに対するこだわりもあろうしまた、何かと対抗意識がある中国が、2001年に加盟していることのこだわりもあろう。

WTOの加盟は、加盟申請後の全加盟国との多国間協議が必要なのだが、それと同時に加盟国のうち事前交渉を望む国と、市場の開放についての2国間協議もまとめる必要がある。つまり2国間協議がまとまれば必然的に多国間協議に、問題がなくなると言うことだ。現在、日本を含めてEUなど約30カ国との2国間交渉は妥結している。問題は米国との交渉が難航していることだ。

このWTO加盟という切り口で眺めてみると、ウクライナとの「天然ガス問題」そして今月に入りグルジアとモルドバを相手に起こした「ワイン紛争」が一連のからみがあることがわかるし、ロシアから見るとその陰で糸を引いているのは米国と言うことか。

その米国がまた、えらく強腰だ。米国が問題としているのは、ロシアの高い航空・自動車の輸入関税そして、遅れている金融市場開放なのだがさらに、今年三月に著作権保護の強化措置や米国産肉製品の関税引き下げなど加盟に必要な条件として、新たに十項目をロシア政府に突きつけてきた。

米議会でも、イランの核開発問題をめぐるロシアのイラン寄りの立場や、ロシア国内でのマスコミ統制、非政府組織(NGO)の活動制限などを、WTO加盟の「障害」として指摘している。プーチン大統領は政治面での対立点まで、加盟の否定材料とされることに強く反発、「米国は故意にロシアの加盟を引き延ばそうとしている」とブッシュ政権を批判している。

十三日のモスクワ・タイムズによると、米国がロシアのWTO加盟を認めなかった場合、ロシア北部バレンツ海のシュトクマン天然ガス田開発事業に参加する予定の米企業を外すとの「シグナル」をロシア当局者は最近、米側に伝えたという。

露米間の政治、経済関係が冷えて行こうとしている。それとも大国主義を再び目指すプーチン大統領のパワーゲームなのか。それにしても今年中のWTO加盟の実現は混沌としている。



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2 コメント

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Unknown (ヒロ)
2006-04-24 16:55:41
>米国は故意にロシアの加盟を引き延ばそうと>している」とブッシュ政権を批判している。



アメリカの「お山の大将主義」ですね。以前はソ連とアメリカと2つの超大国などといわれていたのに、ロシアは凋落してしまいました。ただ私は一見そうだけど・・と思っています。前に妻に「ロシアは自然も豊富で、資源も法ぬ。みんなで力を合わせればアメリカよりも強い国になるのに」とと言ったら「ロシアだからねえ・・・」と笑っていた。それからロシアが変わるにはとても時間がかかるとも言っていた。まだまだ経済的混乱は続くだろうし、一度は中国に抜かれるかもしれないが、やがて実力を発揮するでしょう。その時は今のアメリカの「世界の警察」主義だけは避けて欲しい。
ロシアの行方 (lisenka)
2006-04-25 09:05:43
ヒロさん、コメントありがとうございます。



ロシアは今プーチン大統領という傑出した政治家の下で石油の高騰を背景にした、恵まれた経済環境にあります。外貨保有高も世界5位になりました。ロシアにとり、こうして与えられた条件で今後の10年で何をどう築いていくかが、国の将来を左右する重要な時間になろうかと思います。



拙稿で以前書いたのですが、ロシアの経済が一度も繁栄したことがないのは、政治という荷車が経済という馬を絶えず引張ろうとするからなのです。イリーナ・ハカマダもこのことで現政権を含めて、大方の政治家を絶えず批判していている点です。



「あなたたちロシアの政治家の頭の中は、民主主義に基づく自由主義経済への革新ではない。共産主義経済の改革が存在している」とは彼女の弁です。



こうしたイリーナ・ハカマダの意見に支持者も多いのですが、政治家としてどこまでロシアの政治そのものを革新出来るパワーを持てるかが、これまた国の行方を担う一つの重要な要素であるかと思います。