魯露西亜夢酔談

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プーチン大統領はマッチョがお好き!

2006-02-10 13:44:03 | ロシア

ロシア経済の拡大とともに、ここ数年のロシア映画の復調ぶりがいちじるしい。

共産政権の崩壊後、全土で一万軒あった映画館がなんと百軒までに減ってしまったのだが、 最近二千軒ほどに復活している。また、一時はハリウッド映画が席巻しロシア映画が壊滅状態だったが、 昨年は公開本数の全体の二割までロシア映画が占めるようになってきた。昨年はロシア映画の当たり年とでも言える年で、 興行収入ベストテンの中に、四本のロシア映画が入り健闘した。

そんなロシア映画の復調を象徴するような出来事がいくつかある。プーチン大統領は昨年十一月に、 モスクワ郊外の大統領別荘に一人の映画監督を招待した。極めて限られた国賓しか招かれたことのない、この別荘に映画関係者を招待したことは、 異例のことだ。

フョドール・バンダルチュク Федор Бондарчук 監督がその人で、彼はもともと俳優なのだが1993年 「リューブリュ Люблю」で監督デビュウー、昨年初めて監督・出演の「第九中隊 9 рота」で大当たり、 オフイシャルサイトによりると一月までの興行収入が二千五百六十万ドルに達したという。ちなみにベストテン入りした他の作品は、 「トレッキー・ガンビート Туречкий гамбит  が千九百三十万ドル、 「ノーチノイ・ダゾール Ночной дозор」と  「フセゴ・リシュ Всего лишь」 がそれぞれ千六百三十万ドルの興行収入を上げている。

ベトナム戦後の米国でかってそうであったように、アフガン戦争はロシア人にとりタブーであった。 バンダルチュクは、戦争に駆られた若者たちの姿を真っ向から捉え、透き通った美しさに終始する映像美の中に、 その意味を改めて人々に提起した。ある人にとりそれは悲劇であり、また戦争に関与した人々には自己の存在意義を確認させ、 しいては泥沼化しているチェチェン紛争に通じるロシア人が共有する、ある種の国民的な感情を惹起したのかもしれない。 プーチン大統領が標榜する「強いロシア」にかない、このたびの異例の招待となったわけだが席上大統領は、バンダルチュクと意気投合し、 今後の監督の活動に対し万全の支援を約束したという。「強いロシア、強い男 (バンダルチュクはマッチョタイプの役者)が好きなプーチン」とは、ある雑誌の言葉。

イメージはフィルム「第九中隊 9 рота」 から

   

 

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バンダルチュクのオフィシャルサイトはこちら http://www.fedia.ru/ です。 残念ながら英語のメニューはありませんが、興味のある方はぜひどうぞ。

この話題を呼んだ「第九中隊 9 рота」の興行記録を、あっという間に塗り替えた作品が「デイ・ウオッチ Дневной дозор 」です。この作品を含めてロシア映画のことを、次回に再度投稿致します。


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