【いくつになってもアン気分】

 大好きなアンのように瑞々しい感性を持ち、心豊かな毎日を送れたら・・。
そんな願いを込めて日々の暮らしを綴ります。

夏の黄色い午後はミステリー!

2011-07-23 15:08:38 | A・クリスティーの館



「うんと歩かされて立ちんぼをさせられましたよ。
足がすっかり疲れてしまいますね。
こんな旅行には出るんじゃないとも
思いましたけれどね、でも 美しい建物立派な
部屋
家具 など見るのが魅力なものですから。
その他何でも。
そして勿論 素晴らしい絵 なんかもですね」
「それに、お庭 もでしょう」  アンシアが言った。
「お庭もお好きなんでしょう?」
「ええ、もう」  とミス・マープルが言った。
              【A・クリスティー作「復讐の女神」】


   太陽は顔を出しているものの、灼熱の太陽と言った感じではありません。
  それでも昨日などは、ほんの申し訳程度にしか
  啼いていたに過ぎない蝉が、今日はひとしきり。

   啼けば啼いたで少々、うるさくも感じますが、
  啼かなければ啼かないで妙に気になる・・。人間とは何とも勝手なものです。




  さて暑い夏の午後は、古代詩よりも
  背筋の凍りつく? ミステリーですね。
  
   (写真は昨日のプリン。 
  見えにくかったので、もう1度)
  
   久し振りの 「A・クリスティーの館」。
  もう何度か引用文にも
  登場していますね。
  
   その本のタイトルは 「復讐の女神」。
  それにしても・・。

   暫くクリスティーものが続きましたので、
  休止していた三島由紀夫の 「豊饒の海」 を・・
  と言ったのは、つい先日の事。
  
   しかしながら難解な三島文学には気分が乗らず、
  ついつい慣れた? クリスティーを手にする始末です。
  
   黄色い夏、特に暑い夏の午後はミステリーが殊の外似合う・・。
  ~なんて、勝手な理由をつけて逃れています。

   そんなこんなで又々、ミス・マープルものですが、
  どうやら本書(1971年作)が、マープルものとしては最後のようです。

   ミステリーですから謎解きは勿論ですが、そのせいかどうか? 
  私のもう一つの興味である、編物、お茶、庭(植物)の描写の多かったこと!

   それに今回は、ミス・マープルに莫大な遺産の贈与がありましたから、
  上記のように彼女の大好きな事が出来ますものね。

   話が逸れました。今回も犯人は五里霧中。怪しい者が浮かんでは消え・・。
  でも犯人は1番、犯人らしくない人間(の筈・・)。
  途中、頭の中をチラと掠(かす)めたものですが・・。
  
   “まさか・・” と。でも、そのまさかが盲点だったのですね。
  うっかりしていました。従って今回は外れ。
  この処、犯人当て、連勝していたのに残念です。

   事件の重要な鍵となるのは 「三姉妹」。
  思えば、その事については結構述べていましたから、
  迂闊(うかつ)と言えば、そうでした。それは、こんな風に。

三人姉妹 。これが、私があの<旧領主邸>へ
入って行った時に私が感じた事、思った事、
独り言を言った事でした。(中略)
何か、この・・・・・三人姉妹・・・・・という言葉は、
頭の中に不吉なものを芽生えさせますね。
ロシヤ文学 の中の三人姉妹を連想させ、
マクベス の中のヒースの荒野の三魔女と
結びつきます。私の感じでは、
ここには悲しみの雰囲気がありました。
不幸の深刻な感じ、又恐怖の雰囲気も
ありました。それに、様々の雰囲気が
ごちゃごちゃにせめぎ合っていて、
何と言いますか、常態の雰囲気と言うより
言いようがない雰囲気もありました」
              【A・クリスティー作「復讐の女神」】