ダブリンの空の下で。

ダブリンジャンキーの江戸っ子が綴る、愛しき街・人・生活・・・。

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よろずやブログ◆崕独り、地球を行く!」

2006年08月27日 15時00分47秒 | よろずやブログ
「女は(ある種)つらいよ」

   今までの旅行経験をつらつらと思い返してみると、かなりマヌケな思い出が次々と脳裏を去来し、思わず苦笑してしまう今日この頃。パスポートをホテルに置き忘れたまま次の町へ移動してしまい、慌てて引き返したことは何度もあるし、自分で財布を部屋に置いて外出したくせに、街なかで財布がないことに気付き、「財布を盗まれた!」と大騒ぎした挙句、警察に届け出てホテルへ疲れて帰った後、枕の下でその財布を発見したり、行きの飛行機内で出された岩みたいに硬いアイス最中をかじった瞬間(あんなスナック出すな!KLMのばかっ!)、前の差し歯が取れ、歯っ欠けのまま現地で歯医者探しに奔走する羽目になったり、クレジットカードをホテルの羽目板の間に落とし、何人ものホテルのスタッフを動員して、その羽目板をドライバーだのスパナだのでこじ開けてもらったり、とその当時は青くなったり赤くなったりしてましたが、今だから笑えるトラブルがたくさんあります。シリアスなトラブルは困りものだけど、全てがスムーズな旅は安全ではありますが、いまいち強烈な印象が残らないんですよね。時々、心の片隅でこそっとハプニングを望んでさえいる自分が・・・。

   その中でも女の独り旅に付き物なのが、男絡みのトラブル。私は海外旅行は1人で行くことがほとんどなので、どうしてもそういう出来事が発生しがちです。よく「1人で旅行して寂しくないの?」と聞かれますが、現地の人々とのコミュニケーションが最大の楽しみである私は、特にそういう思いをしたことがありません。正確に言うと、「寂しい時もあるけどその孤独感がまたハッピー♪」と言えるかも知れない。今までも旅行先では老若男女問わず多くの人々と楽しい時間を過ごしてきたけれど、中にはもちろん私が「若い女性」で「独り」だから近づいてくる輩もいます。お調子者ラテン男が多い地域や戒律厳しいイスラム教の地域などでは、より起こりがち(それ以外の地域でももちろん起こる)。片っ端からケーカイしてたら誰とも知り合えないし、あまりにもオープン過ぎると余計なトラブルを背負い込むことにもなる。女独りはいろいろ面倒でもあります・・・。

「モロッコの求愛男」

   あれはティトゥアンからウェッザーンという町へのバス移動から始まりました。昼に出発するバスに乗り込んだ私(その前に買っておいたバスのチケットをなぜかなくしてしまい、運ちゃんにその事を話すと、「ああ、いいから乗んな」と乗せてくれた。ラッキー♪)。たいていバスターミナルには、客のバッグなどを運んで、チップを受け取ろうとする人たちがいますが、そのうちの1人が(「重くないから自分で運べる」って言ってんのに)、私のバッグを車内に運んでくれ、「5ディラハム(当時約64円)」と要求するのを1ディラハムまで値切った後(近くの席のおばちゃんいわく、5ディラハムは妥当な金額との事。頼んでないとは言え、そこまで値切ることなかったな、と今更反省・・・。)、バスが出発しました。

   最後部座席に座っていた私の隣には、こざっぱりした服を着たメガネの若い男の子。出発してしばらくすると、窓の外をワクワクしながら眺めている私に、彼が話し掛けてきました。アラブ語がまったく通じないと見て取るや、彼はフランス語に切り替えましたが(ご存知のとおり、モロッコは以前、フランスが植民地化していたため、フランス語を話せる人が多い)、私の方はフランス語もほんの少ししか分かりません。それでもめげない彼は、英語じゃないみたいな英語に切り替え、トークを続けようとします。まぁ、現地の人と知り合えるのは楽しくはあるのですが、なんせ、彼の英語がしっちゃかめっちゃか過ぎて、聞き取ることさえ苦労し、しまいにはぐったり疲れてしまいました。カリムという名のその彼は、モロッコでは珍しいシャイな感じの男の子で、控えめな調子で静かに話すその態度は、決して押し付けがましいものではありませんでした。

   適当に相槌を打っているうち、ウェッザーンに到着。疲れていた私は内心ちょっとホッとして、「それじゃね」と言うと、カリムが「君はまだ泊まるところ決まってないんだろ。一緒に探すよ」と(恐らくそんな内容を)言い出しました。焦った私が、「いやいやいやいやいやいやいや、大丈夫。1人で探せるし、1人で探したいの」と主張しましたが、彼はこの町で私を守る騎士役を硬く決意したらしく、引きません。典型的押し売りガイド男風だったら、キッパリ「失せろ!」という態度を示すこともできますが、ごくフツーの、不器用だけど人のいいカリムには、なぜかそういう態度も取れませんでした。相変わらず理解不可能の彼の英語によると、この町に住んでいる学生さんとのこと。とにかく彼の手を借りて、宿を見つけてチェックインした後、「これから僕の両親の家に行かない?」と(いうようなことを)言い出しました。固く辞退したのですが、「いい両親なんだよ。僕の住んでる家も見て欲しいし」と必死な彼を見て、モロッコの一般家庭にお邪魔するいい機会かも、とも思い直し、付いていく事に。

   ウェッザーンは坂道の多い魅力的な町です。裏道などを通り抜け、あ〜、早く1人になって好き勝手に歩き回りたいなと思っているうち、彼の家に到着。割に大きい、きちんと手入れの行き届いたキレイなお宅で、静かだけどとても優しげなご両親に紹介されました。そのうち、彼の妹も帰宅し、みんなでお茶などを頂きながら、穏やかな時間を過ごし(みんな英語を話さないので、ニッコリ微笑みあうとか身振り手振り、私のインチキフランス語を駆使したうえでの会話です)、「父も母も君を気に入っているよ」と、彼はなぜか誇らしげに私を見つめているのでした。何であんたが誇らしげやねん・・・。

   そろそろ失礼しようと腰を上げると、「町を案内する」と彼も一緒に腰をあげるので、慌てて再び固辞したのですが、やっぱり傷ついた子犬みたいな目で見つめられると、そうむげにもできません。まぁ、町をよく知る地元の人と一緒なら、ガイドやらみやげ物屋やらにしつこく声を掛けられてしちめんどくさい目に遭わないで済むし、と、彼と一緒にこのウェッザーンの町を歩き回ったのでした。ブラブラ歩き回るうち、彼の友人が店番をしていた小さな雑貨屋さんの前を通りかかりました。その友人は英語を話すので、カリムはここぞとばかりに彼に通訳してもらい、色々と私に尋ねてくるのでした。私が明日にはフェズに移動するつもり、と言うと、友人いわく「カリムも君と一緒にフェズに行きたいんだって」。おーーーーーーい!

   いろいろお世話になったので、宿に併設されたカフェで飲み物をご馳走し、そろそろお引取り願おうかと考えていると、なぜか急に無口になり、やたら真剣な視線で私を見つめる彼。すると彼は盛んにカフェの外と私の持っているカメラを指差して、何かを繰り返し尋ねてきます。何だかよく分からずぽかんとしている私を見ると、彼はさらに英語じゃない英語で必死に何かを頼んでるようです。外でこのカメラを使って彼の写真を撮って欲しい、と言っているのかと思った私が、「もう外は暗いし、今、ストロボもないから撮れないよ」と言ったのですが、ど〜もそうではなさそう。ついには英語を話せるカフェの主人を通訳に借り出した彼。聞いてみると「すぐ近くにある写真館で、思い出に君と一緒に写真を撮りたいって彼は言ってるんだよ」とのこと。

ええええええ、何でわざわざ写真館に行って2人でにっこり写真撮らなくちゃいけないんだ〜!!

   私が「いいよ〜、やめようよ〜、わざわざそんな事するの〜!めちゃくちゃこっぱずかしいじゃん!」と断っても、カリムは「プリーズ、プリーズ」と繰り返すばかり。しまいにはカフェのおやぢまで、「一緒に行ってやんなよ」とニヤニヤ笑っています。お前は引っ込んでろ、おやぢっ!

   もう抵抗するのにも疲れた私は、何でもいいやと思い、彼と一緒にその写真館に行くことに・・・。彼と一緒にスタジオに並んで(背景にはロマンチックに花がちらほらと散っている絵が・・・!)、頑固一徹そうな写真館の主人に撮ってもらいました。その後、何度も何度も礼を言いつつ、やっとのことで彼は去っていったのでした。はぁぁぁぁ〜〜〜、長い一日だった・・・。

   翌朝、宿を出た私がフェズに移動するため、バスターミナルへ向かっていると、後ろから追いかけてくる人物が。げげげげげげっ!それは何とカリム!!バスターミナルに着くと、タイミングが悪いことに、次のフェズ行きバスは10時半とのこと。あと小一時間ほど待たなくてはなりません(行き当たりばったりな旅をしてるからこーゆー羽目になる…)。「10時半までバス来ないんだって。それまで私はそこのカフェで1人で待つから、もう帰ったほうがいいよ」と説得するのですが、「僕も一緒に待つよ」とカフェについて来る彼・・・。テーブルにつくと、カリムがやたらと思いつめた表情で私を見つめるので、私は必死に気付かない振りをしてコーヒーを飲み続けました。すると彼は、「昨日の夜も今朝もずーっと君の事を想っていたんだ」とか「アイラブユー・・・」とか照れながら告白してくる始末。困ったな、どーしよ・・・と思い、どうにか話の流れを変えようと、一生懸命どうでもいい話題を振り続け、頼むから早くバス来てくれぇぇぇぇ!と願うしかありませんでした。

   お互いのアドレスを交換し、ようやくやって来たバスに私が嬉々として乗り込もうとすると、カリムは「絶対手紙を送ってね。あの写真を眺めながら僕はず〜っと待ってるよ」というようなことを言って、私のアドレスが書かれた紙を大切に握りしめるのでした。

   ようやく出発したバスの中、ふか〜〜〜いため息が・・・。感じるのは1人になれてホッとした気持ちと、罪悪感が混じった複雑な感情。だけど、一体どーすりゃ良かったのよ??確かにカリムは私が出会った他のモロッコ男と違い、とても控えめで図々しさもない、好青年です。だから逆にその真面目さが困っちゃうし、びびってしまいます。その気もないのにやたら真剣な彼に応えるような態度も取れないし、親切な彼に邪険な態度も取れません。

   ・・・と、窓の外を眺めながら、ぼんやり考え込んでいた私でしたが、それも隣に座ったやたら陽気な100%典型的モロッコおじさんのおしゃべりに阻まれ、そしてバスは一路フェズへ。かようにこの国では、窓の外の景色をのんびり楽しむことは難しい模様です・・・。

   後日談:その後、日本に帰った私に、カリムからの熱〜いラブレターが何通も待っていました・・・。



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