「ダブリンで初めてのクリスマスを過ごす」
ちと気が早い話題ですが、今回は私が見たダブリンのクリスマスについてご紹介したいと思います。
「街が麻痺する日」
クリスマス・シーズンのダブリン。街はイルミネーションで飾りつけられ、あちらでピカピカ、こちらでキラキラと瞬き始めます。家の窓辺にはキャンドルやシンプルなプレセピオ(馬小屋で生まれたキリストの生誕場面を再現した人形)、ドアにはもちろんわっかの形をしたクリスマス・リース、家の外壁にはそりに乗って走るサンタやトナカイなどの電飾がかかり、大通りオコンネル・ストリートの歩行者用中央分離帯には巨大なクリスマス・ツリーが突如出現。その下には、ここにもまた、ガラスケースに入った大きなプレセピオが。店にはクリスマスギフト用にオシャレにラッピングされた商品が並び、目にもあでやか。
ああ、クリスマスなのね~、ステキだわぁ・・・とウットリしている間もなく、グラフトン・ストリートはクリスマスショッピングで目が血走った人々でごった返し始め、ヘンリー・ストリートには子供のおもちゃやギフト用チョコレート、キャンドルやツリー用の飾りつけセットなどを売る屋台がずら~っと並び、子供たちがビービー泣きわめきながら親に手を引っ張られ、親は親でベビー・カーに赤ちゃんと買い物袋を一緒くたに詰め込み、家族や親戚にプレゼントを買いまくる必要のない私のような外国人にとっては、まさに地獄の様相を呈してきます。郵便局に切手1枚を買いに行けば、地球上全ての人に送るが如く分厚いクリスマス・カードの束を抱えた人々の長蛇の列、牛乳が切れたと街なかの大きなスーパー・マーケットに立ち寄れば、巨大な丸ごとターキーやらチキンやらハムのかたまりやらを買い込んでいる買い物客でぎゅうぎゅう。これじゃレジにたどり着くまでに牛乳が腐っちゃううう!間違ってこんな日に外出した日にゃあ、ろくに前にも進めない混み混み度に、ストレス度数の針がびよ~~~んと振り切れてしまいます。
でもまぁ、ここら辺の雰囲気は東京のそれとあまり変わりはありませんが(それでも東京の金ピカ度より慎ましい)、がらっと変わるのが25日当日。ダブリン、朝からシ~~~~~ン・・・・としてます。車さえほとんど通らないし、歩いている人を見かけただけで「ああ、人間だぁ~!」と懐かしさに駆け寄りたくなるほど。ご存知かもしれませんが、こちらのクリスマスは日本のそれとまったく逆。日本のクリスマスはまさに「イベント」ですよね。街はラブラブなカップルや、仲間たちとわ~っと飲みまくるぜ!的グループで溢れるし、街じゅうパーティ!といった感じ。特に若い人たちは、クリスマスに家族と過ごすなんて、恥以外の何物でもないとばかりに外へ繰り出します。でもこちらではクリスマスはあくまで家族と過ごす大事な日。この日はほとんどの店は閉まっちゃうし、パブだって開いてません。パブで酒飲んでるより家族と一緒にいろ!という事なのかも知れない(私にとっては余計なお世話だけど)。ダブリンに住むヨーロッパの友人たちも(1ヶ月の短期で英語学校にやって来た人たちでさえ)、わざわざ自分の家族や親戚と過ごすため、自分の国へ帰ってしまいます。そこで取り残されるのは、クリスマス意識が根本から異なる私のような人間や、仕事で帰りたくても帰れない気の毒な人たち。
クリスマスが近づくにつれ、友人たちの民族大移動が始まりました。「来週、フランスに帰るの。親戚や家族がみんな集まるから」とか「明日、スペインに帰るんだ。この時期、チケット代が高くて死にそう」とか「週末にはドイツに戻って、母の手料理をたっぷり食べてくるの♪」とかウキウキしながら(またはうんざりしながら)散り散りになってしまい、私1人がダブリンにぽつんと取り残されてしまいました。心優しきカソリックの人々・アイリッシュの友人たちは、「うちにおいでよ。遠慮することないよ」と誘ってくれたりもしたのですが、せっかくのクリスマス、どこの馬の骨だか分からない日本人が紛れ込むより、家族水入らずで楽しんで欲しい、とその思いやりに深く感謝しつつ、遠慮させて頂きました。
とはいうものの、1人はちと寂しいぞ。改めて考えると私には関係のない祝日だけど、「クリスマスにいい年した女が1人なんて侘びし過ぎる」という考えは、すでに極東・日本で刷り込まれ済み。誰か遊んでくれる人いないかな~と探していた私の犠牲になったのは、フランス人の友だち・ジェラルディン。
プレ・クリスマスパーティとも云うべき飲み会が連日続く中、ジェラルディンやその他の友人たちと一緒にパブで飲んでいた時、「クリスマス?いちいちフランスになんて帰んないわよ。クリスマスに帰ろうもんなら、カロリー高い食事を死ぬほど詰め込まされるのよ。仕事もあるし、飛行機は込んでるし、めんどくさいもの」などとドライな意見を吐いていた彼女。「お、そーいえば、ダブリン居残り組のジェラルディンがいる!」と彼女に白羽の矢をぐさっとを立てました。
「ダブリンに誰もいなくなっちゃった~。遊んで~」とケータイにメールすると、優しい彼女は「24日、家に来ない?特にごちそうは用意しないけど、近所のデリでおいしいフランス・チーズを買っとくから、フロマージュ・パ-ティしよう」というお返事をくれました。もちろん行く行く~!
イブの夜、お寿司大好きな彼女のためにスモークサーモンの海苔巻を作り、カムデン・ストリートの彼女のフラットへ。ドアを開けてくれたジェラルディン、何だか憔悴した顔してます。いわく、「昨日、会社のコンピューター・システムがすべてダウンしちゃって、今日も朝からずーっとその復旧作業してたわ。その仕事の残りを持って帰ってきて、やっと今、一息ついたとこ。明日もオフィス行かないと・・・」とぐったり。何だか散々なクリスマスらしいです。まぁまぁ、お寿司持ってきたから、元気出して・・・と差し出すと、気を取り直した彼女、海苔巻をぐいぐい平らげ、室温でいい感じに柔らかく戻しておいた数種類のチーズとパンとワインを用意してくれました。狭いけれど居心地のいい彼女のフラットで女2人、チーズとパンとワインだけの慎ましいパーティ・・・。それでもとても愉快なイブの夜でした。
さて翌25日。ダブリンで過ごす初めてのクリスマス!で、その記念すべき日に私がしたこと。
・昨日のワインが抜けず、うだうだとベッドで過ごしたあと、食欲がないまま、トーストを一枚かじって朝食終わり。
・その後、街を散歩する。が、前述のとおり、街はすご~~く静か(元旦の東京みたいな雰囲気)。
・拍子抜けし、早々と部屋に戻る。その後、いつもよりちょっと手間暇かけた昼食を作り、クリスマスプレゼントに友人がくれたおいしい白ワインと一緒に、その日の正餐を1人、心穏やかに食べる(この日、テレビは教会で賛美歌を歌う少年合唱団を中継している番組ばかりなので、消してた方が無難)。
・窓から静かな通りを眺めたり、クリスマス気分を盛り上げるためにキャンドルを窓辺に灯したり、切ない努力をしているうちに日が暮れる。
・もう夕食の時間だがランチが重かったので、お腹がすいてない。なので、これまた友人がくれたクリスマス・プディング(長期間、熟成保存された、ドライフルーツびっしりのケーキのようなパンのようなスイーツ。クリスマス・デザートの定番)を食べながら、テレビでやっていた「パイレーツ・オブ・カリビアン」を見る。
・11時就寝。
以上。
ということで、私の初のダブリンのクリスマス、私を慰めてくれたのはいかれた海賊、キャプテン・ジャック・スパロウでした。でもね、負け惜しみじゃないけど、こんな静かなクリスマスもそんなに悪くないですよ。
「クリスマスのあだ討ち・大晦日の過ごし方」
クリスマスとは打って変わって街じゅうパーティ気分一色の大晦日。クリスマスとは逆に、人々は街へ繰り出します。私も静か過ぎたクリスマスの反動で、友人と街なかへ飛び込んで行きました。我々が入ったパブではグルービィ~なライブ演奏が行われていて、地球最後の日みたいに騒いでる人たちで熱気むんむん。12時が近づくと、バンドは演奏をやめ、ヴォーカルのおにいさんがカウントダウンを始めました。時計の針が12時をさすと、蜂の巣をつついたような騒ぎと興奮に包まれ、私のケータイにも友人たちから「ハッピー・ニューイヤー!」とメールが・・・。遠い東の国・日本では今ごろ除夜の鐘が鳴ってるんだろうなぁ(まぁ、時差があるからとっくに鳴り終わってるけど)。でもここの連中、その年の百八つの煩悩を取り去る気なんかまるでないだろうな・・・。
2時過ぎまで街なかで大騒ぎしていた私、普段の日ならこんな時間に家へ戻る時は安全を考えてタクシーを拾うのですが、その夜はそんな心配はまったくご無用。通り中、人・人・人!陽気に歌い騒ぎながら家路に着く人たちに混じって歩いているうち、私も結局、徒歩でフラットに無事、たどり着きました。ダブリンの大晦日ってた~のし!
ちと気が早い話題ですが、今回は私が見たダブリンのクリスマスについてご紹介したいと思います。
「街が麻痺する日」
クリスマス・シーズンのダブリン。街はイルミネーションで飾りつけられ、あちらでピカピカ、こちらでキラキラと瞬き始めます。家の窓辺にはキャンドルやシンプルなプレセピオ(馬小屋で生まれたキリストの生誕場面を再現した人形)、ドアにはもちろんわっかの形をしたクリスマス・リース、家の外壁にはそりに乗って走るサンタやトナカイなどの電飾がかかり、大通りオコンネル・ストリートの歩行者用中央分離帯には巨大なクリスマス・ツリーが突如出現。その下には、ここにもまた、ガラスケースに入った大きなプレセピオが。店にはクリスマスギフト用にオシャレにラッピングされた商品が並び、目にもあでやか。
ああ、クリスマスなのね~、ステキだわぁ・・・とウットリしている間もなく、グラフトン・ストリートはクリスマスショッピングで目が血走った人々でごった返し始め、ヘンリー・ストリートには子供のおもちゃやギフト用チョコレート、キャンドルやツリー用の飾りつけセットなどを売る屋台がずら~っと並び、子供たちがビービー泣きわめきながら親に手を引っ張られ、親は親でベビー・カーに赤ちゃんと買い物袋を一緒くたに詰め込み、家族や親戚にプレゼントを買いまくる必要のない私のような外国人にとっては、まさに地獄の様相を呈してきます。郵便局に切手1枚を買いに行けば、地球上全ての人に送るが如く分厚いクリスマス・カードの束を抱えた人々の長蛇の列、牛乳が切れたと街なかの大きなスーパー・マーケットに立ち寄れば、巨大な丸ごとターキーやらチキンやらハムのかたまりやらを買い込んでいる買い物客でぎゅうぎゅう。これじゃレジにたどり着くまでに牛乳が腐っちゃううう!間違ってこんな日に外出した日にゃあ、ろくに前にも進めない混み混み度に、ストレス度数の針がびよ~~~んと振り切れてしまいます。
でもまぁ、ここら辺の雰囲気は東京のそれとあまり変わりはありませんが(それでも東京の金ピカ度より慎ましい)、がらっと変わるのが25日当日。ダブリン、朝からシ~~~~~ン・・・・としてます。車さえほとんど通らないし、歩いている人を見かけただけで「ああ、人間だぁ~!」と懐かしさに駆け寄りたくなるほど。ご存知かもしれませんが、こちらのクリスマスは日本のそれとまったく逆。日本のクリスマスはまさに「イベント」ですよね。街はラブラブなカップルや、仲間たちとわ~っと飲みまくるぜ!的グループで溢れるし、街じゅうパーティ!といった感じ。特に若い人たちは、クリスマスに家族と過ごすなんて、恥以外の何物でもないとばかりに外へ繰り出します。でもこちらではクリスマスはあくまで家族と過ごす大事な日。この日はほとんどの店は閉まっちゃうし、パブだって開いてません。パブで酒飲んでるより家族と一緒にいろ!という事なのかも知れない(私にとっては余計なお世話だけど)。ダブリンに住むヨーロッパの友人たちも(1ヶ月の短期で英語学校にやって来た人たちでさえ)、わざわざ自分の家族や親戚と過ごすため、自分の国へ帰ってしまいます。そこで取り残されるのは、クリスマス意識が根本から異なる私のような人間や、仕事で帰りたくても帰れない気の毒な人たち。
クリスマスが近づくにつれ、友人たちの民族大移動が始まりました。「来週、フランスに帰るの。親戚や家族がみんな集まるから」とか「明日、スペインに帰るんだ。この時期、チケット代が高くて死にそう」とか「週末にはドイツに戻って、母の手料理をたっぷり食べてくるの♪」とかウキウキしながら(またはうんざりしながら)散り散りになってしまい、私1人がダブリンにぽつんと取り残されてしまいました。心優しきカソリックの人々・アイリッシュの友人たちは、「うちにおいでよ。遠慮することないよ」と誘ってくれたりもしたのですが、せっかくのクリスマス、どこの馬の骨だか分からない日本人が紛れ込むより、家族水入らずで楽しんで欲しい、とその思いやりに深く感謝しつつ、遠慮させて頂きました。
とはいうものの、1人はちと寂しいぞ。改めて考えると私には関係のない祝日だけど、「クリスマスにいい年した女が1人なんて侘びし過ぎる」という考えは、すでに極東・日本で刷り込まれ済み。誰か遊んでくれる人いないかな~と探していた私の犠牲になったのは、フランス人の友だち・ジェラルディン。
プレ・クリスマスパーティとも云うべき飲み会が連日続く中、ジェラルディンやその他の友人たちと一緒にパブで飲んでいた時、「クリスマス?いちいちフランスになんて帰んないわよ。クリスマスに帰ろうもんなら、カロリー高い食事を死ぬほど詰め込まされるのよ。仕事もあるし、飛行機は込んでるし、めんどくさいもの」などとドライな意見を吐いていた彼女。「お、そーいえば、ダブリン居残り組のジェラルディンがいる!」と彼女に白羽の矢をぐさっとを立てました。
「ダブリンに誰もいなくなっちゃった~。遊んで~」とケータイにメールすると、優しい彼女は「24日、家に来ない?特にごちそうは用意しないけど、近所のデリでおいしいフランス・チーズを買っとくから、フロマージュ・パ-ティしよう」というお返事をくれました。もちろん行く行く~!
イブの夜、お寿司大好きな彼女のためにスモークサーモンの海苔巻を作り、カムデン・ストリートの彼女のフラットへ。ドアを開けてくれたジェラルディン、何だか憔悴した顔してます。いわく、「昨日、会社のコンピューター・システムがすべてダウンしちゃって、今日も朝からずーっとその復旧作業してたわ。その仕事の残りを持って帰ってきて、やっと今、一息ついたとこ。明日もオフィス行かないと・・・」とぐったり。何だか散々なクリスマスらしいです。まぁまぁ、お寿司持ってきたから、元気出して・・・と差し出すと、気を取り直した彼女、海苔巻をぐいぐい平らげ、室温でいい感じに柔らかく戻しておいた数種類のチーズとパンとワインを用意してくれました。狭いけれど居心地のいい彼女のフラットで女2人、チーズとパンとワインだけの慎ましいパーティ・・・。それでもとても愉快なイブの夜でした。
さて翌25日。ダブリンで過ごす初めてのクリスマス!で、その記念すべき日に私がしたこと。
・昨日のワインが抜けず、うだうだとベッドで過ごしたあと、食欲がないまま、トーストを一枚かじって朝食終わり。
・その後、街を散歩する。が、前述のとおり、街はすご~~く静か(元旦の東京みたいな雰囲気)。
・拍子抜けし、早々と部屋に戻る。その後、いつもよりちょっと手間暇かけた昼食を作り、クリスマスプレゼントに友人がくれたおいしい白ワインと一緒に、その日の正餐を1人、心穏やかに食べる(この日、テレビは教会で賛美歌を歌う少年合唱団を中継している番組ばかりなので、消してた方が無難)。
・窓から静かな通りを眺めたり、クリスマス気分を盛り上げるためにキャンドルを窓辺に灯したり、切ない努力をしているうちに日が暮れる。
・もう夕食の時間だがランチが重かったので、お腹がすいてない。なので、これまた友人がくれたクリスマス・プディング(長期間、熟成保存された、ドライフルーツびっしりのケーキのようなパンのようなスイーツ。クリスマス・デザートの定番)を食べながら、テレビでやっていた「パイレーツ・オブ・カリビアン」を見る。
・11時就寝。
以上。
ということで、私の初のダブリンのクリスマス、私を慰めてくれたのはいかれた海賊、キャプテン・ジャック・スパロウでした。でもね、負け惜しみじゃないけど、こんな静かなクリスマスもそんなに悪くないですよ。
「クリスマスのあだ討ち・大晦日の過ごし方」
クリスマスとは打って変わって街じゅうパーティ気分一色の大晦日。クリスマスとは逆に、人々は街へ繰り出します。私も静か過ぎたクリスマスの反動で、友人と街なかへ飛び込んで行きました。我々が入ったパブではグルービィ~なライブ演奏が行われていて、地球最後の日みたいに騒いでる人たちで熱気むんむん。12時が近づくと、バンドは演奏をやめ、ヴォーカルのおにいさんがカウントダウンを始めました。時計の針が12時をさすと、蜂の巣をつついたような騒ぎと興奮に包まれ、私のケータイにも友人たちから「ハッピー・ニューイヤー!」とメールが・・・。遠い東の国・日本では今ごろ除夜の鐘が鳴ってるんだろうなぁ(まぁ、時差があるからとっくに鳴り終わってるけど)。でもここの連中、その年の百八つの煩悩を取り去る気なんかまるでないだろうな・・・。
2時過ぎまで街なかで大騒ぎしていた私、普段の日ならこんな時間に家へ戻る時は安全を考えてタクシーを拾うのですが、その夜はそんな心配はまったくご無用。通り中、人・人・人!陽気に歌い騒ぎながら家路に着く人たちに混じって歩いているうち、私も結局、徒歩でフラットに無事、たどり着きました。ダブリンの大晦日ってた~のし!