怪奇現象

  一昨日の夜の零時を回った頃、家族は全員寝静まっていました。私は、たまった諸用件を片付けるため、独りパソコンに向かって黙々と作業をしていたのです。もうそろそろ、一時になるかという頃、一通りの作業を終わらせて、寝る準備を始めました。そして二階の洗面所で考え事をしながら独り佇んでいた時のことです。


  誰もいないはずの隣の階段で、何か物音が聞こえるのです。はじめは、子どもが喉が渇くか何かで起きてきたのだろうと思いました。その物音は


ピタッ、ピタッ・・・


と続きました。ところが、不思議なことに階段に面したドアを開ける音がしないのです。なおもその音は続きました。


ピタッ、ピタッ・・・


子どもで無いのなら、何なのだろう・・・。暫く考えている内に、家族から聞いた同じような現象のことを思い出したのです。






  現在の住居に移り住んでから、既に六年以上の歳月が経ちます。ある日、外から戻ってくると、家族全員が夕食を囲む食卓で、凍り付いたような表情で固まっていました。話を聞いてみると、私を除く三人で食事をしていたら、誰もいないはずの上の部屋のフロアーで、誰かが走る音がしたというのです。


  元々科学的な根拠で裏を取りたがる性格の自分は、まともに耳も貸さず、実際に二階を調べました。そして、誰もいないことを確かめて、風か何かのいたずらだろうと話して、その場を無理矢理納めたのです。しかし、それ以降も、家内が独りで起きているときに、やはり同じように階段を誰かが上がってくる音を聞いたりして、「何かがいるに違いない」と度々訴えていたのです。






ピタッ、ピタッ・・・


  その音はひたすら続きました。四本足の動物の音でもない、おそらくは小さな子どもの手足でないと出すことの出来ない、小さな乾いた音でした。素面で眠くもない、意識がしっかりした状態で聞こえていること自体に疑いもなく、そして家族の話を思い出したとたんに、背筋がぞくぞくっとしました。


  およそ一分ほど経った頃でしょうか、その音は止みました。恐る恐る洗面所のドアを開け、急いで階段の電気を付けたものの、そこには何もいません。階段に隣接した子ども部屋では、子どもたちが大人しく寝息を立てていました。


  翌日の昼間、仕事を終えて帰ってきた家内にそのことを話しました。そして助けを得て、隣の子ども部屋から壁をたたいたり、色々と同じような音が出る可能性を探ってみたのですが、どうやってもあの音は、階段を直接鳴らさないと出せないことがわかったのです。




  最近、知人からのメールでも怪奇現象が報告されており、それをご存じの方は、それに触発されたフィクションだと思われるかもしれませんが、紛れもない事実です。自分がまともに聞いてしまった以上、科学的に証明できない限りは、寝付きの悪い日々が続きそうです。誰か、助けてください(笑)。


Editor CABEZÓN


コメント ( 2 ) | Trackback ( 0 )
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コメント
 
 
 
Unknown (もん)
2009-05-22 23:27:16
ひええええええええええ。
もうダメです。。。。。。
 
 
 
> もんどの (CABEZON)
2009-05-23 01:39:16
調査はじめますた。
 
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