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機動戦車ガンタンク9

2024-07-18 23:33:39 | アニメ・コミック・ゲーム
第40話「ニュータイプ・シャリアブル」
ホワイトベースは補給と整備のためにソロモンに入港する。
テキサスでの出来事はセイラを疲弊させていた。シャアから贈られた金塊を前にセイラの心は晴れない。
アムロはそんなセイラのことが気になる。「僕にできることがあれば言ってください」「そうね、赤い彗星のシャアを討ち取ってほしいかな。あなたならできるわ」とセイラは素っ気ない。
ホワイトベースでは、ハヤトがリハビリに励んでいた。見守るフラウボウに対して「アムロに負けたくない気持ちでやってきた。だけど、今はもっと強くなって守るべきものを守りたい」と思いを打ち明ける。
カスバルはカイに鍛えられていた。ジオンのテキサス侵攻に対して仲間を失い、カスバル自身も重傷を負った。ジオンに恨みを晴らしたいと言うカスバルに対して、カイは「復讐なんてろくなもんじゃねえぞ」と告げる。。
ブライトはソロモンで月面攻撃艦隊を編成中のレビル将軍と謁見する。
「ニュータイプと呼ばれる人間がいることを知っているか」レビルはニュータイプ感を語る。スペースノイドとして人類が進化した新たな理想。
既にジオンでは、ニュータイプの研究が進んでいるという。「人類の理想の進化系が戦争で消費されていくことを哀しく感じます」ブライトもレビルもアムロの存在を気にかけていた。
「だが、我々のような旧人類が生き残るためにはニュータイプの力を借りねばならんのだな」レビルはホワイトベース隊に、ルナツー戦線への援護出撃を命じる。
その頃、ジオン本国にはジュピター船団の第一便が到着していた。ジュピター船団とは木星からの資源輸送を目的とした部隊である。
ギレンは第一便に搭乗していたシャリアブル大尉と謁見する。ジュピター船団にはニュータイプと目される人材が多数いるという。
「ニュータイプというものに会ってみたくてな」と興味を示すギレンではあるが、意に介していないことをシャリアブルは見抜いていた。
「キシリア殿のもとへ行けと?」「人の心を読むものではないな。この大戦では人が死にすぎた」
ギレンが抱くキシリアに対する思惑と、与えられた自分の役割に対して、シャリアブルは黙って従う。
キシリアのもとでシャリアブルはシャアと合流する。パッカデリアはかつての上司であるシャリアブルとの再会を喜んでみせるものの、ララアはパッカデリアからどす黒いものを感じる。
シャアはシャリアブルに対して「ガンタンクのパイロットはニュータイプと思われる。貴公の目でそれを確かめてみてくれ」と、ブラウブロで出撃させる。
シャリアブルの置かれた立場を感じ取っていたララアは援護出撃を申し出るが、シャアは「彼に花を持たせてやれ」とそれを却下する。シャリアブルは捨て駒であり、ギレンの本命は、ジュピター船団第2便でやってくるゴラ大尉だということをシャアは察していた。
ソロモンを発進したホワイトベースに、シャリアブルの乗るブラウブロが襲いかかる。見えないところから発射される有線式ビーム砲を前に、ガンキャノンでは全く歯が立たない。
だが、アムロにはその軌道が読めた。シャリアブルもまた、アムロの巨大な力を感じ、呼応するようにオールレンジ攻撃を仕掛ける。
五分の戦いに終止符を打ったのは「どいつもこいつもニュータイプなんて言いやがって」と苛立つパッカデリアの介入だった。お互いに武装を失ったアムロとシャリアブルはそれぞれ撤退する。なおも追撃してくるパッカデリアのガルバリディを撤退に追い込んだのは、コアブースターでガンキャノンの援護に回っていたカスバルだった。初めて出会った時と同様に、パッカデリアは頭痛を起こす。
命拾いしたシャリアブルは「ニュータイプどうしがつぶし合うことが地球人の望みなのだろうか」と独り言ちる。

第41話「ルナツー戦線異常あり」
ルナツーでは、ワッケインの援軍を得たハムスキー提督率いる連邦防衛軍と、自ら前線に立つ勇将ダルのジオン攻撃軍が一進一退の攻防を続けていた。
ギレンは月基地グラナダに陣取るキシリアにルナツーへの援軍を要請する。「木星からの第二便の到着でようやくあれが完成する。それまでは連邦の目を逸らしておく必要がある」「あれとは何ですかな?」「ビグザムに搭載した大型メガ粒子砲があっただろう。あれを応用したものだ。戦果はドズルが示してくれた」
弟さえ自分の野望に利用するギレンにキシリアは不信感を抱きながらも、シャアにルナツーへの援軍を命じる。
「シャリアブルが敗れたようだな。次こそは女を使え」キシリアはニュータイプにはニュータイプをぶつけるしかないと考えていた。そんなキシリアに対して、シャアは「エルメスの調整が間に合えば」と言葉を濁す。
パッカデリアの頭痛を検査したフラナガンは、シャアとシャリアブルにパッカデリアが木星の過酷な環境が生み出したサイコパスであることを告げる。シャリアブルは、パッカデリアが木星で生死の境をさまよう事故にあい、それ以来、異常に感覚が鋭くなったことを打ち明ける。
ニュータイプが人類の進化の途上ならば、半エスパーは道を外れた奇形児に過ぎない。そして、突出した能力は身体にひずみをもたらす。それが頭痛の正体であり、シャリアブルはパッカデリアのことを考えるならば、もう戦わせるべきではないとシャアに忠告する。
勇将ダルはホワイトベースの接近をキャッチした。ダルには弟であるランバラルの仇討ちがあった。岩礁地帯に拠点攻略用モビルスーツガッシャの部隊を忍ばせて迎え撃つ。
ダル艦隊に対して、ホワイトベースからはガンタンク、ガンキャノン、そしてセイラのガンダムが発進し、ハヤトもまたコアブースターで出撃する。遅れて到着したザンジバルからもシャアがルナツーへ向けて部隊を展開する。
岩礁から軌道を描いて砲撃してくるガッシャの山越えハンマーに翻弄されるホワイトベース隊だが、ガッシャの動きを察知したカスバルがスレッガーの残したGパーツで発進する。
「アムロさん!それよりGパーツと合体するんです。ガンタンクブルで敵を撃ち抜きましょう!」
アムロはカスバルから湧きでる波動を感じていた。
セイラのガンダムは岩礁の陰にガッシャを見出すものの、ガッシャを警護するダルの宙間戦闘用グフに返討にあう。
だが、ダルがセイラにとどめを刺そうとした瞬間、「そのお方を傷つけてはいけない」というランバラルの声を聴く。その隙にガンタンクブルがガッシャを守る岩礁を破壊し、その破片にハチの巣にされたダルは宇宙空間に放り出される。
ダルの敗北に、防戦に徹していたルナツーのモビルスーツ部隊が攻勢に転じる。
キシリアは「十分にギレン総帥への義理は果たせた。ルナツーはもうよい。グラナダへ戻れ」と、シャアを撤退させる。撤退間際にシャアは爆発から免れた勇将ダルを回収した。
戦いが終わり、アムロは怪我を負ったセイラを見舞う。「アムロが助けてくれなければ私はやられていた。あなたはエスパーかもしれない」
それはアムロがかつてマチルダから聞いた言葉だった。
一方、活躍を見せたカスバルは頭痛に襲われていた。

第42話「敗北のシャア」
舞台はグラナダ攻防戦に移る。
グラナダではレビル艦隊の接近をキャッチしていた。「兄上は月まで犠牲にする気か」とキシリアは戦力の分散化を悔やみ、シャリアブルに「貴公もニュータイプならば連邦の古い連中を駆逐してみせよ」と防衛網の要になることを命じていた。シャリアブルは拝領するとともに「この意味が分かるな」というギレンの言葉を思い出していた。
ザンジバル艦内でシャアと遭遇したダルは、キャスバルレムダイクンの影を感じる。ダルからの報告を受けたキシリアはグラナダに戻ったシャアに「私は子供の頃のキャスバル坊やと遊んであげたことがあるのだよ」とその正体を見抜く。
「私を討ちたくばガルマのように討つがいい。だが、私がいなければグラナダは連邦の手に落ちる。連邦との雌雄を決してからでも遅くはあるまい」
だが、今のシャアは既に仇討ちには拘りはなかった。ニュータイプが導く世界を見たいというシャアに、キシリアはジオンを暗殺した父デギンの罪滅ぼしにそれくらいの力は貸そうと約束をする。そして、一番の懸念であるホワイトベース打倒の先鋒として、シャアに出撃を命じる。
ホワイトベースでは、セイラがブライトを呼び出していた。そして、ブライトに自らの素性を明かし、シャアから贈られた金塊を皆に分けてくれるように頼む。セイラがジオンズムダイクンの娘であることに驚くブライトだが、兄であるシャアを鬼子と呼び、暴走を自らの手で止めたいというセイラの願いを受け入れる。それがセイラにとってつらい選択だと理解したうえで。
補給のためにソロモンに到着したホワイトベースを待っていたのは、モスクハン博士だった。モスクハンはガンタンクの可動部を電磁で包むマグネットコーティングの技術とボップミサイルの試作型を持ち込んでいた。
マグネットコーティングの技術は、サイド6で見せたガンタンクの戦いからヒントを得たテムレイが、モスクハンに託したものだった。酸素欠乏症にかかっていたテムレイはわずかに残された理性からマグネットコーティング理論を完成させたが、その後はサイド6から姿を消したという。アムロは父がこの戦いをどこかで見ているような気がした。
試作型ボップミサイルについては、モスクハンは「提供者は言えない」とし、「まだ試作型だ。生きのびて実戦データを持ち帰ってくれよ」とガンタンクに装填する。
出航したホワイトベースと待ち構えていたザンジバルが交戦状態に入る。「アムロとやらがニュータイプならば、その可能性を自ら探って見せるか」と、シャアはパッカデリアのガリバルディを従えてゲルググで出撃する。
パッカデリアの援護でアムロと一騎打ちに持ち込んだシャアだが、既にゲルググではガンタンクに退けを取るようになっていた。ゲルググのビーム長刀を交わし、ガンタンクネイルでゲルググを追い込む。
「貴様は危険すぎる。ララアとまみえさせるわけにはいかんのだよ」「ララアとは一体何だ!」シャアとアムロは機体越しに交信する。シャアはアムロには勝てないことを自覚し始めていた。
一方、パッカデリアと交戦するカスバルは互角以上の戦いを見せた。カスバルはパッカデリアが「あのパイロットも半エスパーだと言うのか」と驚くほど、勘の鋭さを見せていた。
だが、パッカデリアとカスバルが接触すると同時に二人を頭痛が襲う。カスバルはハヤトに、パッカデリアはシャアに無断で出撃したララアのエルメスに救われる。「なぜ僕を助けた?」「あなたは戦ってはいけない人だから」パッカデリアは自分の力のなさに涙を流す。
こうしてモビルスーツ部隊を蹴散らされたザンジバルは、シャアたちを回収してグラナダへと撤退する。
そして、レビル率いる連邦軍のグラナダ攻略作戦が開始される。アムロのガンタンクに迫るのは、シャリアブルのブラウブロである。

第43話「グラナダ陥落」
レビル艦隊による月面侵攻が始まった。シャリアブルはホワイトベースの進撃を阻もうとするが、アムロがブラウブロを抑え込んでいる間に、ハヤトのガンダムとカイのガンキャノンがグラナダ降下を果たす。
無数の量産型ガンタンクが降下する中、キシリアもアッザム改と量産型ガリバルディを繰り出して防戦する。「ゲルググの量産は間に合わずか」と、キシリアはジオン本国からの援軍がないことに、ソロモンで単身散ったドズルの気持ちを理解し始めていた。
アッザム改の猛威に苦戦する連邦軍だが、アッザムリーダー射出時に対空ががら空きになる弱点を突いたカスバルがコアブースターで突破口を開く。
先の戦いでゲルググを失ったシャアはアッザム部隊の指揮をとりながらも、既にグラナダの陥落を予測していた。防衛線でガンダムを相手に奮戦するパッカデリアは、ララアを出撃させないシャアを訝しむ。そのパッカデリアの逡巡の隙をついて、ガンダムとガンキャノンの連携の前にガリバルディは敗れ去り、パッカデリアは脱出する。
月軌道上ではアムロとシャリアブルの交戦が続いていた。ブラウブロはオールレンジ攻撃でガンタンクの接近を許さないが、アムロもたくみに攻撃をかわしていく。
脳波で二人の意思が交錯する。
「ニュータイプ同士が戦う必要があるのか」「人類の進化に闘争が含まれているとしたらそれもありうるのだ」
シャアの傍に仕えるララアも、シャリアブルとアムロのしのぎ合いを感じていた。ララアは二人の孤独を察する。「私もシャリア大尉のようになるのでしょうか」「何を言っている?」シャアにはララアの心が読めなかった。
ガンタンクがブラウブロの左半身を破壊するが、ブラウブロもまたガンタンクの右腕と頭部を吹き飛ばす。
アムロは最後に残された武装である試作型ボップミサイルを放つ。アムロの脳波を受信して軌道を変えたミサイルはブラウブロを粉砕する。
シャリアブルが命を散らす瞬間、アムロとララア、そしてシャアもまた「ニュータイプ同士がつぶし合うこと、それが古い地球人たちの理想なのだろう」との声を聞く。
連邦軍は、ガリバルディ部隊をせん滅してグラナダ内部にまで侵攻を始めた。敗北を悟ったキシリアはグラナダの放棄を決定し、自らはジオン本国への脱出を図る。
その前にシャアが立ちはだかる。「シャリアブル大尉、これが君の望みだったのだろう」と、シャアはキシリアをバズーカで撃ち抜く。
こうして、グラナダは陥落し、シャアはララア、パッカデリア、フラナガン、勇将ダルらを連れて脱出した。
「キシリア殿は名誉の戦死を遂げました」とジオン本国に座すギレンに通信するシャアだが、その背後には「キシリア殿を討ったのはシャアに間違いない」と察する男がいた。ジュピター船団第2便に搭乗していたゴラ大尉である。
月面が落ち、「潮時か」とデギンはギレンに対して連邦との和平を進言する。しかし、ギレンは一蹴する。ジオン最終兵器が完成しつつあったからである。

機動戦車ガンタンク8

2024-06-27 22:58:59 | アニメ・コミック・ゲーム
第35話「ソロモン攻略戦」
宇宙要塞ソロモン攻略という連邦の思惑をようやく察したドズルは、本国と月に援軍を要請する。しかし、ギレンは試作モビルアーマービグザムを送るだけに留まった。
キシリアもまた、サイド6でフラナガン機関の所長であるフラナガン博士と合流したシャアに「貴様と女に新型を送った。フラナガンに最終調整をさせろ」と命令する。ドズル閣下への援軍は不要か?と聞くシャアに対して「構わん。ソロモンにはマクベを送っている」と興味はない様子だった。既にキシリアがソロモン陥落後の絵を描いていることをシャアは察する。
こうして、ドズルは満足な援軍を与えられず、自ら陣頭指揮を執りソロモン防衛線へと臨む。
一方、ワッケイン少佐率いる艦隊と合流したホワイトベースは、ソロモン攻略戦の先鋒につく任務が与えられる。15分だけ耐えれば本体であるティアンム艦隊が動き出す。それまでの陽動である。
ワッケインは艦隊の司令を務め、ブライトにはモビルスーツ隊の指揮を任される。ホワイトベースには艦長代行としてトワレ大尉が乗り込み、ブライトが指揮を執るモビルスーツ部隊には女性ながらパイロットとして頭角を現しつつある、量産型ガンダムを駆るライラ・ミラ・ライラ曹長がいた。
総力戦である。ワッケイン艦隊からは量産型のガンタンクとガンダムが展開され、ホワイトベースからはアムロのガンタンク、カイのガンキャノン、復帰したハヤトのガンダム、スレッガーはGファイター、セイラは補充された強化型コアファイターであるコアブースターで出撃する。対するソロモンは無数のリックドムと衛星ミサイルでこれを迎え撃つ。
アムロとセイラのコンビネーションがソロモンの戦力を削っていく。ライラは「あれがニュータイプというやつなのかねえ」と感心する。
アムロにはセイラの動きが手に取るように把握できており、それはセイラも同様であった。「あの二人できてるんじゃないの?」と軽口を叩くスレッガーもGファイターで戦果を上げていく。
そんな中、衛星ミサイルの直撃を受けたガンダムが破壊される。重傷を負いホワイトベースに回収されたハヤトは、看護に来たフラウにアムロには敵わない口惜しさを吐露する。フラウは言う「あの人は特別なのよ」と。
そして、ワッケイン艦隊が時間を稼いでいる間に、ティアンム艦隊の秘密兵器、太陽光を熱線に転換するソーラシステムの展開が完了していた。ソーラシステムから放たれた熱線がソロモンを焼き上げていく。
完全に裏をかかれたドズルは敗北を覚悟する。そして、妻のゼナと娘のミネバを救急艇で戦線から脱出させると、最後の切り札ビグザムに乗り込む。

第36話「恐怖!機動ビグ・ザム」
陥落寸前のティアンム艦隊がソロモンに進撃する中、陽動作戦を耐えきったアムロたちパイロットは補給と整備のため、いったんホワイトベースに帰還する。
着艦したスレッガーのことが気になるミライに対して、ブライトは敢えて彼のもとへと行かせる。待機するスレッガーは訪れたミライの涙で彼女の気持ちに気づくものの「止しましょうや」とその思いを拒む。だが、母の形見である指輪をミライに預けたのは、スレッガーなりの気づかいである。
一方でアムロのもとへフラウは現れない。セイラはアムロがフラウのことを気にしていることを悟り「今はわたしたちにできることをしましょう」とそっと手をかける。
ソーラシステムの破壊力はソロモンの防衛網を無効化していた。焼けたソロモンにモビルスーツ部隊が次々と降下する。だが、それらは一瞬にして巨大な影に焼き払われる。ドズルが乗り込む超大型モビルアーマービグザムの力である。直撃を免れたライラは、「ビームは攪乱膜で通用しない。これを倒すには近距離からミサイルをぶち込むしかない」と、アムロにその恐るべき存在を伝える。
その頃、キシリアからの援軍としてソロモンに向かっていたマクベと副官バロムの艦隊は、脱出してきたゼナとミネバと接触する。マクベは現況を把握し「死地に赴く必要はあるまい」と、進路を変更する。目的は、勝利に油断した連邦軍を不意打ちするためだ。軍人肌のバロムは、ソロモンを見捨てようとするマクベのことが気に入らなかった。
最後の抵抗を見せるドズルは、ビグザムをソロモンから出撃させて、大出力メガ粒子砲でティアンム艦隊をせん滅していく。「ビグザムが量産化された暁には連邦など物の数ではないわ」と高笑うドズルは、ティアンムの旗艦を撃沈するに至る。
ビーム攪乱膜と強靭な装甲を持つビグザムに対抗すべく、アムロとスレッガーはガンタンクアーマーで出撃する。
ビグザムとの接近戦に持ち込むことに成功するガンタンクアーマーだが、近距離武装によりGファイターが破壊されてスレッガーは宇宙に散る。スレッガーの犠牲でビグザムにとりついたアムロは、ボップミサイル砲を砲身ごとビグザムに突き刺して誘爆させることにより破壊に成功する。爆沈間際、生身で抵抗するドズルの背後に、アムロは巨大な悪鬼の幻影を見る。
こうして、ソロモンは陥落した。スレッガーの最後をアムロから聞いたミライは、人知れず泣き崩れる。

第37話「バロムの罠」
ソロモンの陥落に勇将ダルは驚きを隠せなかった。ダルはギレンの勅命により、ルナツーからサイド7へと陣を進めていた。「弟君とルナツー攻略、ギレン総帥にとってどちらが大切なのか」と疑念を抱きながらも、ダル率いる拠点攻撃型モビルスーツガッシャの部隊がルナツーを砲撃していく。
ガルマに続きドズルも失ったデギン公王も失意の底にあった。「ソロモンなぞ惜しくはありません。いつでも奪い返せます」と、ギレンはデギンにある計画書にサインをさせる。しかし、デギンは「ソロモンは奪い返せてもドズルはもう戻ってこないのだぞ」とつぶやき、秘書であるクスコ・アルに耳打ちをする。
ソロモンは攻略したものの、ティアンム艦隊は全滅し、連邦もまた疲弊していた。マクベ艦隊の接近に対して、ルナツー防衛に戻ったワッケインに代わり、ホワイトベースが迎撃に発進する。
マクベはオデッサでの失態のため、本隊から外されて辺境のパトロール艦隊に身をやつしていた。向かってくるのが失墜の原因ともいえるホワイトベースだと知ると、失地回復のためにその撃墜に執念を見せる。そして、今や廃墟と化しているサイド4ことテキサスコロニーにホワイトベースを追い込む作戦を立てる。そのためには、別動隊の協力が必要となり、マクベはバロムを通じてサイド6を出港したシャアに共闘を申し出る。
シャアはプライド高いマクベの腹の底が気になった。そこで、姑息なマクベのやり方に不信感を持つバロムを焚きつけて、ホワイトベースとともに葬り去ろうと画策する。
ホワイトベースがマクベ艦隊と接触する。バロムもまた旗艦チベの指揮をデラミン准将に任せて、自らリックドムのカスタム機であるリファインドムで出撃し、ソロモン攻略戦のダメージが残るホワイトベースを攻めていた。
迎え撃つアムロたちだが、先行してきたパッカデリアの新鋭機ガリバルディも戦いに加わる。「戦車が宇宙でえらそうにするな!」シャアの興味をララアに奪われたと逆恨みするパッカデリアの猛攻に、アムロはテキサスコロニーに逃れる。テキサスコロニーにはマクベが待ち受けていた。
バロムの攻撃に危機に陥ったホワイトベースを救ったのは、ワッケインから救援に派遣されたトワレ大尉のマゼラン艦とライラのモビルスーツ隊だった。
パッカデリアとバロムはセイラとカイを追い詰めていたが、パッカデリアはシャアからの指示でザンジバルをテキサスコロニーに入港させる防衛へと回る。援護を失ったバロムは「話が違うぞ、シャア大佐!」と恨みの咆哮を上げつつ、ライラによって撃墜される。
テキサスコロニーに不時着したガンタンクは、マクベが仕掛けた機雷により更なるダメージを受ける。そんなアムロを導いたのは、少年カスベル・ベイリーだった。

第38話「テキサスの攻防」
マクベの罠を逃れたアムロのガンタンクは、カスバルの導きにより、廃墟にカムフラージュされた修理ドッグにたどり着く。
かつてテキサスコロニーには連邦軍の駐屯基地も存在したが、ジオンの進撃でコロニーの機能ごと葬られていた。アムロを救ったのは連邦の少年兵だったカスバルとその仲間たちである。彼らは、ジオンにも連邦にも見捨てられたテキサスコロニーでジオンと戦い続けていた。
修理ドッグには、モビルスーツの応急処置を行える施設は残っていたが、燃料の備蓄は乏しかった。カスバルは仲間からザンジバルがテキサスに入港したという情報を得て、ガンタンクの燃料を奪おうと画策する。
その頃、マクベはガンタンクにとどめを刺すべく、剣技モビルスーツギャンで出撃していた。ギャンとはジオンで初となるビーム兵器を搭載したモビルスーツである。マクベには、自らの手でガンタンクを討ち、キシリアに認められたいという欲があった。そのために、試作型であるギャンを手に入れたのである。
テキサスに入港したシャアの目的は、新型モビルスーツのテストだった。だが、ララア専用機はテストさえままならない状態でフラナガン博士による調整が行われていた。「脳波で遠隔操作させるシステムか」「そのためにはララアのニュータイプ能力が必要なのです」「パッカデリアでは足りないのか」「だめなのです。遠隔機を操れるだけの脳波が一定していません」フラナガンの進言に、シャアは新型機ゲルググのテストにララアを随伴させる。留守を任されたパッカデリアは、自分がシャアに認められていないことに口惜しさをにじませる。
マクベはガンタンクの所在をキャッチした。襲い来るギャンに対して、アムロは少年兵たちの助力でガンタンクを稼働させることに成功する。
そして、始まるギャンとガンタンクの死闘。弾薬が尽きているガンタンクはギャンの剣技を潜り抜けて接近戦を挑む。新型とはいえ、マクベはアムロの敵ではなかった。
劣勢のギャンにシャアはゲルググで手を貸そうとするが、マクベのプライドは助けを許さなかった。ギャンとガンタンクの死闘をフラナガンとともに注視していたララアは、マクベの死を予見し、アムロに「もうおやめなさい、勝負はついている」と強烈な思念を投げかける。ララアの思念に共鳴したアムロは戸惑うものの、ギャンもろともマクベを打倒する。
フラナガンは一瞬見せたララアの強力な脳波に脳波兵器の実用化のめどをつけた。
一方、カスバルはザンジバルに単身潜入していた。そこでパッカデリアと遭遇する。

第39話「再会!シャアとセイラ」
カスバルは、頭痛を起こしたパッカデリアの追撃から逃れ、ザンジバルから燃料パックを奪い逃走する。そんなカスバルをジンライム曹長が乗る陸戦用ドムの発展形モビルスーツ・ドワッジが追う。
その頃、ホワイトベースとトワレ艦隊はデラミン率いるマクベ艦隊の残存部隊を壊滅させていた。戦況は落ち着き、ブライトはガンタンクを救出すべく、セイラたちをテキサスコロニーの捜索に向かわせる。
一方、ギャンを打ち倒したガンタンクにはシャアのゲルググが襲い掛かっていた。その赤い塗装にアムロはシャアを感じる。満身創痍のガンタンクではあったが、ゲルググもまた新装備のビーム出力が上手くいかず満足に戦えない。シャアを救ったのは、フラナガンの指導の下でララアの脳波コントロールから放たれた遠隔ビーム砲だった。
撤退するシャアは、アムロを探しに来たセイラと遭遇する。
キャスバルとアルテイシアの父でありジオン建国者のジオンズムダイクンは、政権奪取をもくろんだデギンザビに暗殺された。キャスバルはシャアアズナブルという偽名を手に入れ、さらに仮面で素性を隠し、ジオン軍に欠かせない存在となった。それはすべてザビ家に接近して復讐を果たすためだった。
「だがザビ家が連邦を打倒して、私がザビ家を討っても何も始まらない」シャアは言う。「ニュータイプが変える未来を私は見たいのだ」
ガンタンクのパイロットがニュータイプかもしれないというシャアに、セイラはアムロの名前を告げる。では、なぜ兄とアムロは戦わなくてはならないのか。セイラは兄を愚かしく感じる。
シャアはセイラに再度軍を抜けるように告げてその場を去る。そんな二人の会話をフラウに代わって通信士を担っていたブライトがたまたま傍受してしまう。
アムロはカスバルと合流、彼が奪ってきた燃料をガンタンクにチャージして、ジンライムを返討にした。
カスバルはアムロに自分も連れて行ってくれるように願う。「軍人になったからと言って恨みは晴らせない」と渋るアムロだが、カスバルは強引についていく。
カスバルは港で金塊が詰まったアタッシュケースを見つけていた。それはシャアからセイラへと送られたものだった。ブライトはテキサス残存軍の併合という形でカスバルを迎え入れ、同時に金塊のことに関しては口止めをする。
シャアはララアとフラナガンを回収し、ザンジバルでテキサス脱出を図る。待ち受けるは、ザンジバルの動きを察知して回り込んできたトワレ艦隊である。
ザンジバルからは、シャアのゲルググとパッカデリアのガリバルディが出撃し強行突破をかける。ザンジバルで待つララアは「シャア大佐、テキサスで何があったのですか?」とシャアの荒れ狂う感情をつかみ取っていた。
ホワイトベースがトワレ艦隊の救援に駆け付けた時には、既にトワレやライラもろともマゼラン艦は撃沈されていた。

機動戦車ガンタンク7

2024-06-20 23:25:20 | アニメ・コミック・ゲーム
第31話「ザンジバル追撃」
連邦軍の目的はジオンの宇宙要塞ソロモン攻略である。ホワイトベースに課せられた役割はルナツーに集結しつつあるティアンム艦隊からジオンの目を逸らすことであった。囮としての役割にブライトは「独立部隊とはよく言ったものだな」と無常を感じる。
そのホワイトベースに補充人員としてスレッガーロウ中尉が配属される。ミライやセイラになれなれしく軽口を叩く陽気なスレッガーの態度にブライトはいい気はしない。
一方、シャアとパッカデリアはマリガン中尉率いる巡洋艦ザンジバルと合流する。ザンジバルの目的は新型宙間戦用モビルアーマーのテスト部隊であるが、シャアはジャブローを出港したホワイトベースを追跡する。
「テストにはちょうどよかろう」と、シャアはホワイトベースが大気圏を脱出するタイミングを見て、トクワン少尉が乗る新型モビルアーマービグロと宇宙用に換装されたリックドムの部隊を出撃させる。
アムロのガンタンクとホワイトベースの主砲を任されたスレッガーの連携でザンジバルの追撃は交わすものの、ビグロのスピードを前に、ハヤトのガンダムもカイのガンキャノンも歯が立たない。アムロはセイラの乗るGファイターとガンタンクをジョイントさせたガンタンクアーマーでビグロに挑むも、セイラは「兄さんが乗っている?」と攻撃を躊躇する。
アムロはそんなGファイターを切り離しガンタンクで単身ビグロに挑む。ガンタンクはビグロのパワーに苦戦するも零距離ボップミサイルでこれを討ち取る。
セイラが見せた戸惑いは、アムロに彼女が秘密を抱えていることを悟らせていた。アムロはセイラのことが気になり始める。
追撃を退けられたシャアは、ホワイトベースが何らかの陽動部隊であることに気づいていた。しかし、今はその打倒しか考えてはいない。アルテイシアが乗っているのではないかという懸念も振り払い、更にホワイトベースを追う。

第32話「強行突破作戦」
トクワンの仇討ちを果たしたいザンジバルのデミトリー曹長は、独断で試作モビルアーマーザクレロを駆り、ホワイトベースに襲撃をかける。
ブライトはビグロとの戦いで疲弊したアムロを休ませてハヤトのガンダムを出撃させるが、格闘戦にも優れたザクレロに追い込まれる。遅れて出撃したアムロのガンタンクとセイラのGファイターがザクレロを討ち取るも、ハヤトは負傷してしまう。
シャアはデミトリーの独断に苛立ちながらも、次なる手立てとしてかつての部下であるドレン大尉率いるキャメル艦隊とザンジバルでホワイトベースを挟撃する作戦を立てる。
前方のキャメル艦隊、後方のザンジバルに対して、ブライトはキャメル艦隊を強行突破する選択をする。
ガンタンクはザクレロとの戦いで整備が遅れており、ハヤトに代わりセイラがガンダムに搭乗、そしてスレッガーはGファイターで出撃する。セイラはガンダムのパイロットとして、自分の手で兄の暴走を止めるつもりだった。二人の関係を知らないアムロは、これまでに見せたことのないセイラの気迫に心を吸い込まれる。
キャメル艦隊から発進したリックドムの部隊と交戦するホワイトベース隊。だが、ドレンはその中にガンタンクの姿が見えないことを気にかける。ドレンの危惧は的中し、遅れて出撃したアムロがキャメル艦隊の死角から攻撃をかける。「たかが1機の戦車もどきに何ができるかー!」ドレンの叫びも空しく、キャメル艦隊はモスクハンの改造を受けて命中精度と射角が高められたガンタンクの全方位ミサイルで瞬く間に撃沈されてしまうのであった。
足止めさえできなかったキャメル艦隊の残骸を前に、シャアはホワイトベースの熟練度に恐怖すら感じる。そんなシャアに対してパッカデリアは「次は僕を出してください」と進言する。パッカデリアもまた、ジャブローで舐めた苦杯の雪辱を誓っていた。
その頃、ジャブローから発進したティアンム艦隊が無傷でルナツーへと入港していた。ホワイトベースの陽動は成功したのだ。

第33話「コンスコン強襲」
ホワイトベースはザンジバルの追撃を逃れて、補給と修理のために中立サイトであるサイド6へと入港した。その監査官であるカムランブルームは、かつてのミライの婚約者だった。ブライトは気が気ではない。だが、戦争を避けてサイド6へと逃げ落ちたカムランに対して、ミライの心は既に離れていた。
ホワイトベースを追うシャアの動向はドズルも把握していた。ガルマを守れなかったシャアに対して、その無能を示すため腹心であるコンスコン少将を送り込む。
コンスコンに無能呼ばわりされたシャアは「お手並みを拝見させていただく」と平静を装いつつも、まんまと連邦の陽動に乗ってソロモンの戦力を割いたドズルの無能さに、内心ではほくそ笑んでいた。
その頃、サイド6内で食料の買い出しに付き添っていたアムロは、雑踏の中に父テムレイの姿を見る。テムレイはサイド7の戦闘に巻き込まれて宇宙を漂流していたところをサイド6に身柄を保護されていた。だが、酸素欠乏症の影響で脳に障害が出ており、記憶がつながっていなかった。「ガンタンクこそわたしの最高傑作だ」と、アムロにガラクタ同然のガンタンクのパワーアップパーツを渡してきた父に、アムロはかつての父はもういないことを悟る。
修理のためにサイド6領空外に出たホワイトベースを、大型巡洋艦チベを旗艦とするコンスコン艦隊が強襲する。だが、父との別れで気持ちが吹っ切れたアムロは、全方位ミサイルでリックドム12機を3分で撃墜する。12個の標的に一度にミサイルを命中させるアムロの能力とガンタンクの性能に、コンスコンは腰から砕け落ちる。そんなコンスコンの失態を嘲笑うかのようにザンジバルが姿を現す。

第34話「宿命の出会い」
いったんサイド6に撤退しようとするホワイトベースを、パッカデリアがモビルアーマーブラウブロで奇襲をかける。ブラウブロとはシャアがキシリアから「貴様が拾ってきた女にテストさせてみろ」と預かったニュータイプ専用モビルアーマーである。シャアが既に自分を見ていないことが不満なパッカデリアの独断先行であった。
パッカデリアの放つ強烈な悪意にアムロは圧倒されかかるが、パッカデリアの能力ではブラウブロの性能を引き出すに至らなかった。負傷して帰還したパッカデリアをシャアは不問にするも「しょせんはニュータイプではないか」と既に半エスパーを見限り始めていた。
そして、ザンジバルもホワイトベースを追うようにサイド6へと入港する。ザンジバルとホワイトベースがドッグで肩を並べるという中立サイトならではの光景である。
アムロは既に母親のことすらまともに考えていない父テムレイに別れを告げる。母に続き父との絆も断ち切ったアムロは喪失感を味わっていた。そんな傷心のアムロは湖畔で白鳥に自分を重ねる少女ララアスンと出会う。神秘的なララアにアムロは心を惹かれる。
名残を感じながらホワイトベースに戻ろうとしていたアムロは、偶然通りかかったララアと再会する。そして、その傍らにはシャアがいた。アムロは初めて出会うシャア本人に対して激しく動揺する。シャアもまた、アムロがガンタンクのパイロットであることには気づかないものの、ララアの表情の変化に彼が特殊な存在であることに気づいていた。
ホワイトベースがサイド6から出港する。領空外には雪辱を期すコンスコンが巨大モビルアーマードグザムを従えて待ち受けていた。ドグザムは未完成の試作型だが、リックドム全機を失ったコンスコンの手札はこれしか残っていなかった。
ドグザム中心に陣を張るコンスコン艦隊に対して、もうミライが自分のもとには帰ってこないと悟ったカムランは、せめてもの手向けに領空ギリギリまで弾除けになる申し出をする。そんなカムランを無碍にするミライを「この人は本気なんだよ、わかる?」とスレッガーが𠮟責する。ミライは自身の気持ちしか考えていなかった愚かさに気づき、それを気づかせてくれたスレッガーを意識する。
カムランの尽力で領空外寸前まで戦力を温存できたホワイトベースにとって、コンスコンは既に敵ではなかった。テレビ中継されている両艦の戦闘を見ていたララアがシャアに対して「鈍色の戦車が勝つわ」とつぶやいた頃には、アムロがドグザムをガンタンク砲で破壊し、返す刀で旗艦チベも零距離ボップミサイルで沈めていた。
その光景をテレビで見ていたテムレイもガンタンクの勝利に歓喜していた。喜びのあまり階段から足を踏み外したテムレイを寸前で助けたのは、モスクハンとともにかつてのテムレイの部下だったフラナガン博士である。

機動戦車ガンタンク6

2024-06-14 23:09:10 | アニメ・コミック・ゲーム
第26話「復活のシャア」
オデッサを攻略した連邦軍は、地球圏での勢力をほぼジオンから取り戻していた。
一連の戦いで疲弊したホワイトベースは、整備と補給のため、ヨーロッパの軍事拠点ベルファスト基地へと入港する。
そこでアムロたちホワイトベースのクルーは、前線視察のために滞留していた連邦の総大将レビル将軍と初接見する。
レビルは語る。ガンタンクの出現がジオンから注視されている。そしてジオンもまた単機で戦局を塗り替えられる存在としてモビルスーツの生産性より性能の追及を始めていた。
だが、アムロやカイは思う。いくらモビルスーツの性能が優れていても、リュウやマチルダは救えなかった。人を救うことができるのは人の力であり、自分たちはそこには及ばないことを自覚していた。
その結論にカイは軍からの離脱を決意する。なし崩し的に軍隊に組み込まれて負の感情を強要されることへの逃亡でもあった。
その頃、ジオン海軍の潜水艦部隊であるマッドアングラー隊がベルファストに接近していた。その指揮を執るのは、キシリア配下として軍に復帰したシャアである。
「木馬がベルファストに入港したのは確かなのだな」「スパイからの報告です」副官のブーンが提示した写真は、確かにホワイトベースだった。怨敵との再会にシャアは僥倖を感じ、水陸両用モビルスーツゴッグを出撃させる。
そんなシャアの傍らには、出撃を志願する少年兵パッカデリアがいた。
シャアはキシリアとの会談を思い返した。パッカデリアとは、木星のヘリウム採取を目的としたジュピター船団に所属していた少年兵である。木星では洞察力や危機回避能力に強い高まりを見せており周囲から半エスパーと呼ばれる存在だった。
その能力に目を付けたキシリアが「私はギレン総帥のようにモビルスーツの性能を当てにはしていない。この少年、貴様がものにしてみせろ」とシャアのもとに送り込んだのである。
「若いな。いくつだ?」「17です。しかし連邦のモビルスーツのパイロットも同じくらいと聞きました」
攻撃的な自信を見せるパッカデリアにシャアは「君の出番はやがて訪れる。今は連邦のモビルスーツの力を目に焼き付けておくのだな」と出撃を控えさせる。かつて自分を苦しめたガンタンクのパイロットの戦いぶりをシャアも見極めるつもりだった。
ベルファストに上陸したゴッグは、連邦軍の抵抗をものともせず進撃する。整備途中のガンタンクで出撃したアムロは、1機はガンタンク砲で破壊するものの、もう1機に接近戦に持ち込まれて苦戦を強いられる。
ゴッグの装甲にはガンタンクハンマーもヒートロッドも通用しない。アムロはようやく整備を終えたGファイターと合流し、ガンタンクブルに換装。ビームキャノンでゴッグを撃ち抜く。
ゴッグを打ち倒したガンタンクの雄姿を、陸上ではレビルが、海中ではシャアとパッカデリアが、そして、地元の物売りの少女ミハルが、それぞれの思惑を抱えてじっと見つめていた。

第27話「女スパイ潜入」
ゴッグとの戦いから、アムロはガンタンクのウィークポイントである接近戦の強化のために、ガンダムのシールドをガンタンクに転用する提案を行う。本来のV作戦とはガンダムを完成形とした量産型モビルスーツの開発生産が目的だったが、今やアムロの存在そのものがV作戦の帰着点となっていることをレビルも認めていた。
「納得しない連中もいるがな」レビルの抱える不安は古い考えを持つ連邦の官僚たちという存在を示していた。
レビル将軍もまた、自身の老いへの自覚と人類の革新を信じる人間である。アムロはレビル将軍から「君やブライトくんのような存在が連邦には必要なのだ」と告げられる。だが、レビルと握手を交わしたアムロはその力強さに不安を覚える。レビルが持つ新しい人類への期待と不安をアムロは感じ取っていた。その洞察力もまたアムロの秘めたる能力の目覚めなのかもしれない。
しかし、改めてガンダムのメインパイロットに抜擢されたハヤトにはそれが面白くない。アムロには負けたくないというハヤトに敵愾心が芽生えつつあった。
一方、行く当てもなく港町をさまようカイに声をかけたのは、地元の少女ミハルラトキエだった。物売りに身を隠した少女ミハルはジオンのスパイである。軍を抜けたカイとの出会いも、幼い弟たちを養うために連邦の情報を盗む目的だった。
ミハルが隠し持っていた拳銃からカイもその思惑を悟りつつも、戦いを離れた平穏なひと時を捨てきれない。そのゆるみはミハルに整備中のホワイトベースの弱点を漏らすに至る。
マッドアングラー隊はミハルからもたらされた情報により、新型モビルスーツズゴックで身動きの取れないホワイトベースに襲撃をかける。
迎え撃つハヤトのガンダムだが、機動性と装甲に優るズゴックに歯が立たない。遅れて出撃したアムロのガンタンクも水中戦に持ち込まれて苦戦をする。
一連の戦いを傍観していたカイだが、自分がミハルに漏らした情報により危機に瀕しているホワイトベースの姿に責任を感じる。そしてホワイトベースに帰還したカイは、対潜魚雷を装備したガンペリーで出撃。ガンタンクの誘導がズゴックをガンペリーの射程圏に誘いだし、ズゴックは海のチリと化す。
こうして、ホワイトベースは出航する。連邦の動向を探れというシャアの特命を受けて潜入したミハルを乗せて。

第28話「大西洋、血に染めて」
ホワイトベースに潜入したミハルは、図らずもカイと再会する。ミハルの立場を理解するカイは匿ってやろうとする。だが、偶然その場に居合わせたアムロとカイの会話から、ミハルはホワイトベースの目的地が連邦本部があるジャブローであることを突き止める。
その頃、マッドアングラー隊は連邦艦隊と交戦し、これが初出撃となるパッカデリアはズゴックを乗りこなし、旗艦ヒマラヤを沈める。
「相手が止まって見えました。不自由な地球の重力圏にいる奴らなぞ敵ではありません」「それが半エスパーの能力なのか、それとも君の資質なのかな」「両方でしょう」
パッカデリアの覚醒は始まっていた。しかし、マッドアングラー隊の副官であるブーンにとっては、彼は小生意気な小僧にしか見えなかった。
民間人を装い、ホワイトベースに乗り込んだブーンは極秘にミハルと接触し、ホワイトベースに関する情報を得る。そして、ブーンはシャアにホワイトベースが連邦の本拠地に合流する前に叩く進言をする。
「最大の戦力が2番艦にあります。初陣にはなりますが、その力はモビルスーツ以上です」最大の戦力とは、水中戦に特化したモビルアーマーグラブロであった。
シャアの承諾を得てブーンはグラブロで発進する。「あんな小僧にいい顔されてたまるかよ」それはブーンの本心でもあり、若い世代に立場を急追される恐れでもあった。
グラブロの対空攻撃にさらされるホワイトベース。ミハルは自分の情報がもたらした結果という自責の念に駆られて、カイとともにガンペリーで防戦に出撃する。
その戦闘にパッカデリアもブーンの援護に出撃を志願するが、シャアは「花を持たせてやれ」という。グラブロがガンタンクを討ち取ればそれまで、そうでなければ本戦はジャブローということになる。ここで消耗すべきではないシャアの思惑があった。
アムロは水中に潜むグラブロを叩くため、水中戦を渋るハヤトを差し置き、先の戦闘でズゴックから鹵獲したアイアンネイルを装備したガンタンクで突撃をかける。
ガンタンクはグラブロにキャタピラを引きちぎられるも、逆に身軽になりアイアンネイルでその装甲を貫き零距離ボップミサイルで動きを止める。
カイは空中からガンペリーの対潜魚雷でグラブロを狙うも、発射装置が故障。ミハルによって手動発射された魚雷がグラブロをせん滅するも、その爆風にされされてミハルは大西洋に散った。
「なんで死んじまったんだよ」カイの慟哭の理由を、ホワイトベースの面々は知る由もなかった。

第29話「ジャブローに散る」
ジャブローの宇宙ドッグに着港したホワイトベースの面々は、それまでの成果を評価されてそれぞれ軍人としての階級を得る。しかし、アムロにとってそんなものは何の価値もなかった。マチルダの婚約者であったウッディ大尉との出会いもまた、いろんなものを失ったアムロの悔恨を加速させるに過ぎない。そんなアムロをウッディは
「自惚れるなアムロくん。一人の力が戦局を変えるなどと思わないことだ」と叱責する。
ホワイトベースをひそかに追跡していたマッドアングラー隊はジャブローの位置を突き止めた。そして、先に連邦に制圧された北米基地の残存部隊を加えてジャブローに総攻撃を仕掛ける。
シャアもまた、北米基地からもたらされた新型モビルスーツゾックを得たパッカデリアを従えて、ズゴックで出撃する。
ジオンの総攻撃に、ホワイトベースのクルーには休息する間も与えられず、侵入したモビルスーツ部隊を相手に出撃を余儀なくされる。
そして、真っ赤なズゴックが量産型ガンタンクを一撃で破壊する瞬間を目撃したアムロは、シャアの復活を知る。
ズゴックのスピードに翻弄されるガンタンクだが、「マチルダが守ったホワイトベースを討たせはせん!」とウッディがホバー機で戦闘に介入する。ウッディはシャアの動きを止めることには成功するもコクピットをたたき割られて戦死する。形勢逆転したアムロはシャアを追い詰めるも、シャアはパッカデリアの援護で脱出する。パッカデリアと初接触したアムロは「今までに感じたことのないプレッシャーだ」と得体のしれない悪寒を覚える。
ジオンを退けてようやく平穏を得たホワイトベースだが、アムロによるシャアの戦線復帰という報告を受けたセイラは、兄が再び敵として現れた現実に戸惑いを隠せなかった。

第30話「小さな防衛線」
ジャブローの宇宙ドッグで整備を続けるホワイトベースの所属が、連邦宇宙軍の雄であるティアンム提督の艦隊に決定する。
これからは宇宙が戦場となることから、本来は地上用であるガンタンクの処遇が検討される中、アムロは父テムレイの部下だった工学博士モスクハンと再会する。
まだ幼かったアムロだがモスクハンのことは微かに記憶があった。アムロはもう一人のテムレイの部下、フラナガン博士のことも覚えていたが「彼はジオンに寝返ったよ」とモスクハンから告げられる。
ガンタンクの戦闘記録に惹かれたモスクハンは、「君が乗るガンタンクの宙間戦闘のデータが欲しい、これは科学者の欲だよ」と独断でガンタンクの改造を行う。アムロはサイド7で行方不明になった父のことが気になったが、それはモスクハンも知らなかった。
また、孤児であるホワイトベースの子供たちの処遇も検討されていた。これからの危険な任務に備えてジャブローに引き取られることに決定した子供たちだが、彼らは親代わりのホワイトベースのクルーたちと離れることに激しく反発する。
一方、ジャブロー攻略をしくじったマッドアングラー隊だが、雪辱を誓うパッカデリアが独自でジャブローへの侵入経路を探り出す。
既にジオン宇宙軍への転属が決定していたシャアだが「キシリア殿の手土産にはちょうどいいだろう」と少数精鋭の部隊でジャブローへと潜入する。目的はモビルスーツ生産工場の破壊工作ではある。
シャアは工場に爆弾を仕掛けることに成功するが、ジャブローに引き取れらることに反発して逃げ出していたホワイトベースの子供たちがその現場を目撃する。
爆弾は子供たちと駆け付けたアムロの活躍で解除される。作戦の失敗で脱出を図るシャアは、子供たちを追ってきたセイラと再会する。もはやキャスバルとアルテイシアという名前を隠す必要もなく「軍を抜けろ」とシャアはセイラに告げる。
シャアを追撃するアムロに、しんがりを申し出たパッカデリアのゾックが立ちふさがる。緒戦でガンタンクの攻撃を見切っていたパッカデリアであったが、それはアムロも同様だった。ビームとミサイルの打ち合いに、地球の重力をものにできずゾックを破壊されたパッカデリアは、シャアに窮地を救われて逃げ延びる。
カイやフラウの助力もあり、ホワイトベースの子供たちはその希望がかなえられて引き続き乗船することになる。そして、ガンタンクもブースターの追加で機動力が強化された。
ホワイトベースこと第13独立部隊の次の目標は宇宙である。だが、今回のシャアの襲撃にホワイトベースがジオンに目をつけられていることを利用した連邦の官僚は、彼らにジオンの目を逸らすための囮部隊としての任務を与える。

機動戦車ガンタンク5

2024-04-23 23:29:38 | アニメ・コミック・ゲーム
第21話「激闘は憎しみ深く」
ランバラルを失ったラル隊はハモンを中心に弔い合戦を計画する。
ランバラルの兄であり、ドズル麾下で宇宙攻撃軍の勇将ダルは、ハモンの報告を受けて、そこに待ち受ける運命を憂う。
ハモン隊は、マクベから形ばかりに補給で送られたザクカスタムを駆り、最後の決戦をホワイトベースに挑む。切り札は爆薬を積んだカーゴの特攻だ。
その意図をつかんだアムロは、ザクカスタムの相手をハヤトのガンダムに任せて、ガンタンクでカーゴを抑えにかかる。
しかし、カーゴさえも囮でハモンの真の狙いは、実質上ランバラルの軍人生命を絶ったガンタンクの打倒だった。カーゴに動きを止められたガンタンクにハモンのマゼラトップ砲が向けられる。
そんなアムロを救ったのは、混乱の最中に独房を抜け出したリュウの特攻だった。カスタムザクと相打ちになり破損したガンダムからコアファイターを分離させたリュウは、ハモンのマゼラトップ砲に特攻し荒野に散った。断末魔の雄たけびは軍人としてのリュウの誇りだったのであろうか。

第22話「マクベレポート」
オデッサ防衛を固めつつ、マクベは現状のジオン軍と連邦軍の情報をまとめていた。
ドズルが管轄している宇宙戦線は安定しており、攻める方は勇将ダルが、守る方はコンスコン少将率いる宇宙艦隊が連戦連勝を収めていた。ただし、ゲリラ的に勝利を重ねるのみであり、戦力的にも宇宙の完全制圧とはなっていない。
オデッサを防衛しきることができれば、その戦力を連邦軍の本拠地であるジャブローに投入して、スパイから情報を得ているモビルスーツ量産計画をつぶすことも可能である。オデッサを守り切るにあたって、最大の危惧はホワイトベースの存在だった。対ホワイトベースに勇将ダルの援護を求めるが、弟を見殺しにされたと思っているダルは動かず、キシリアの勅命で黒い三連星の異名をとるエリート部隊が地球に降下する。
その頃、シャアはいったん軍を離れてインドにいた。インドでシャアは一人の聡明な少女をわが手に迎えていた。
一方、ホワイトベースの動きを止めるべく、マクベ直属のグフ部隊が襲来する。リュウを弔う間もなく、ガンタンクとガンキャノンは、終わりなき修羅の戦いを強いられる。

第23話「その名はGファイター」
間断なきマクベの攻撃は、ついにホワイトベースの動きを止める。エンジンをやられたホワイトベースはマチルダの補給を待つことしかできない。
そんな中、過労でブライトが倒れてミライが艦長代理となる。迫りくるドダイ爆撃機に乗ったグフに対して、ミライはハヤトのガンダムを出撃させる。だが、グフの空中からの攻撃にとってそれは絶好の的だった。状況が読めないミライの采配に、アムロたちは臍を噛むしかない。
ガンダムが苦戦する中、アムロはようやく到着したマチルダからガンタンクのパワーアップメカを受け取る。その名はGファイター。汎用大型戦闘機でガンタンクとのジョイントも可能なメカだ。セイラの操縦でタンク部分を外したガンタンクと合体したGファイターは超火力戦闘機ガンタンクスカイとなり、瞬く間にグフ部隊をせん滅する。
そんなガンタンクの活躍に、何一つ結果を残せなかったガンキャノンのカイは、あこがれのマチルダに対して戦果を焦る。

第24話「迫撃!トリプルドム」
黒い三連星がオデッサに着任する。3人はオデッサの防衛に徹したいマクベの意向を無視して、新型陸戦用モビルスーツドムに搭乗しホワイトベース撃墜に向かう。彼らは、赤い彗星のシャアがニュータイプと呼ばれる人類の進化系と接触したという噂を聞いていた。シャア自身もニュータイプと目されることに対して、彼らはオールドタイプの底力を見せたかった。そのためにはニュータイプ部隊と評価されているホワイトベースの撃墜こそが、彼らの意地だった。
Gファイターのパイロットとして指名されたセイラは、その小回りの利かない機体の扱いに苦戦していた。「リュウがいてくれたら」それは全員の思いであるが、今は禁句だ。
セイラの煩悶、カイの焦り、ハヤトの苦悩、そしてアムロのプレッシャー、マチルダはそのすべてを受け入れる母親のような存在であった。
だが、マチルダは黒い三連星の攻撃から功を焦って出張りすぎたカイのガンキャノンをかばってその命を散らした。
散りゆくマチルダの残像が脳裏に走ったアムロは、改造により単座になったガンタンクでトリプルドムが放つ必殺のジェットストリームアタックを打倒する。
「あなたはニュータイプかもしれない」それは遺言のようなマチルダのラストメッセージであった。

第25話「オデッサの激戦」
オデッサデイが迫る中、ホワイトベースを中心に戦力を集中させる連邦の作戦をつかんだマクベは、生き残りの黒い三連星を軸に防戦の陣を張る。先陣を切ったガンタンクとドムの死闘、仇討ちに逸るカイもガンキャノンでアッザムを撃ち落とす。しかし、ホワイトベースに主力を集中させたジオンとの戦力差は歴然だった。
勝利を確信したマクベだが、突如として別方面から出現した連邦軍の本体の奇襲に唖然とする。それはスパイの内通を見抜き偽の情報を流すことにより、ホワイトベースを囮にした連邦軍の計略だった。ウッディ大尉率いる量産型ガンタンクがたちまちオデッサを制圧する。
マクベは最後のあがきで南極条約で禁止されている核ミサイルを発射するも、Gファイターと合体したアムロのガンタンクスカイの迎撃によってもろくも阻止された。
「木馬に戦力を割きすぎた」負け惜しみとも取れるマクベの戯言を残してオデッサは陥落する。
一連の戦いが終わり、ホワイトベースの面々はリュウとマチルダを追悼する。悲劇はいつまで続くのか。