甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

江南の春 杜牧   中歴-24

2015年03月18日 21時37分52秒 | 中国の歴史とことば
↑富山と中国の江南地方と、何も関係ないですね。しかも、これは海です……。


 奥さんが書道を習っています。火曜の午後、知り合いの方の所へ行って、お手本を書いていただいて、それをひたすら書いてくるわけです。最初は楷書で、今は小筆で唐詩を書いているようです。

 その最初のお手本が、杜牧(とぼく)の「江南春(こうなんのはる)」です。書いてきた作品を見せてもらって、何十年ぶりに杜牧さんを思い出しました。もう私は30数年春嫌いになってしまったので、春といっても、あまり心浮き立つものではありません。そんな私でも、ほんの少しだけ、ほんわかした気分にさせてくれる詩ですから、特に主張はないのですが、取り上げておきたいと思います。(降り続く雨の音を聞きながら「江南の春」というのもオツなものではないですか!)




★  江南春   杜牧   

千 里 鴬 啼 緑 映 紅    千里鴬(うぐいす)啼いて 緑紅(くれない)に映ず

水 村 山 郭 酒 旗 風    水村山郭(すいそんさんかく) 酒旗(しゅき)の風

南 朝 四 百 八 十 寺    南朝 四百八十寺(しひゃくはっしんじ)

多 少 楼 台 煙 雨 中    多少楼台(たしょうのろうだい) 煙雨(えんう)の中(うち)




千里四方にウグイスの鳴き声が聞こえて、花(この花は、やはり桃かもしれませんね。梅はそんなに紅パワーはないような気がします。ウワッ、何だかすごく紅色だというのは、芝桜か、桃の花です。でも、芝桜は上から見るとそうかもしれないけれど、目に入ってくる感じはないでしょう!)は紅色に映えている。

水辺の村、山のふもとの村、酒屋の目印の旗が風にひらめいている。



南朝時代(杜牧の唐代から四百年くらい前に南には宋という国がありました。四百年というのは私たちからすると、関ヶ原の戦いの時代です。もうはるか昔ですね。それでも平安時代や奈良時代よりははるかに近いから、わりと身近だったでしょうか)、都が置かれた南京の町にはたくさんのお寺の楼台がそびえたっていた。

その建物をやさしい春の雨がつつみこむように降っている。


前半は、あざやかな春の景色。何となく空も真っ青な感じです。

後半は、雨というのだから、天気は悪いです。でも、たくさんのお寺にも雨が降り注げば、何となくそこに人間たちが生きている感じがあります。

雨が広大な田畑や、巨大な湖に降ったとしても、それは自然同士の対話でしかありません。けれども、そこにたくさんの楼台を人間たちが建てた都があれば、都の人々は、自分も傘など差さず、雨に打たれて、うるおいの春を味わいたくなるような、そんないつもと違う、何だか自分の中で何かが生まれようとするような、何かにがむしゃらに立ち向かっていきたくなるような、そんなエネルギーさえ感じさせる後半です。

どうして「よんひゃくはちじゅうてら」が「しひゃくはっしんじ」なのか? それはそういうふうに読んできたからそうなっているわけで、決して中国の人がそう読みなさいと強制したわけではなくて、私たちがそう決めてきました。しかし、他にもそういう読み方があるかもしれないので、それはまた勉強ですね。




★ 春の雨、今日の帰り、何人もの傘をささない人を見ましたので、みんなもそういう気分だったんでしょう。
「春雨じゃ、濡れてゆこう」というのは、どこかの芝居のセリフでしたね。そういうのがスッと出てこない私は、ダメですね。あまり型どおりの芝居って、あまり興味なかったからなあ。



★ 英語版を見つけましたので、貼り付けてみます。

① Spring South of the River/Du Mu

Thousand li orioles call green reflect river

Water village hill rampart wine banner wind

South dynasty 480 temples

How many pavilions mist rain in



②Orioles call for a thousand li, green's reflected in the river

Waterside village; hillside rampart; wine; a banner in the wind.

In the time of the southern dynasties, there were four hundred and eighty temples

How many pavilions there are now in the mist and rain.


何だか、そのまんまで、日本語読みよりも味わいがないですね。まるで俳句を英語にしたのと同じ感じです。

英語で無理矢理に俳句にしようとしても、限界があります。わざと17音に限定しているのに、むやみに説明しなくてはいけないから、俳句も漢詩もむずかしいですね。

何が楽しいんだかわからないけれど、とにかく漢字で書いてみるのがいいんでしょう。

私も、筆をとらなくっちゃ! キーボードをひらがな打ちしている場合じゃないですね。



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