甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

初めてのビデオ、S社の没落

2024年05月15日 21時55分22秒 | 私たちの社会・世界

 初めてのビデオレコーダーは、S社のものを買った記憶があります。80年代の終わりでしたか。S社よりもP社やSN社を信頼していたけれど、新製品で最新型で、いろんな技術を盛り込んである! というお店の人の売り言葉にほだされてついつい買ってしまいました。十万くらいは奮発したでしょう。何しろ給料はあるわけだし、実家から通いで仕事をしてたから、給料は丸もうけでしたもんね。あまり貯金もしないで、好きなことに使ってました。

 まあ、もらうお金も少なかったし……。

 それにしても、最新型のビデオの機械は、テープを厳かに機械のてっぺんから投入する形でした。ということは、ビデオの上にものは載せられないし、どしんとリビングの真ん中に鎮座させなさい、というようなビデオ様の風格でした。

 確かに、奮発したし、映画など録画したい時もあったけれど、テープが一つ二千円とかの時代だったから、テープ一つ買うのも大変なことでした。録画は厳選し、大切なテープ様は大事に飾っておいたりしたでしょうか。

 それからしばらくしたら、機械の前面からテープを出し入れできるようになり、なんだ、どうして上から入れる形を買ってしまったんだろう。最新型だったのに、あっという間に旧式になってしまったと、残念な気持ちになりましたね。

 当時のビデオは出し入れが大変だった。入れてみようと思うと、上からでも前からでも、強く押し込んで、機械にテープを意識させ、ちゃんとセットしろよ! と命令しなくてはならなかった。機械は、テープのツボを押して、テープをあらわにして、それを巻き込んで、さて、どこから再生・録画するかなと自分が始めたいところを決めて、そこから再生・録画をすることになりました。こちらの気持ちと機械の決めたところはギャップがあるし、何ごともすぐに操作するものの気持ちと一緒に動くということはなく、タイムラグみたいなのがありました。

 そして、画面の最初は、そのどっちともつかない再生なのか、ミスなのか、つなぎ目なのか、よくわからないグニャグニャ映像が少し流れたりしました。次第に継ぎ目がきれいになっていくのですが、最初の機械は実にズサンで、モニョモニョした画面がつなぎでたくさん出てきたものでした。

 しばらくして、S社のレコーダーはテープを上手に巻いたり、流したりという基本性能に難点があって、壊れてしまいます。ああ、やっぱり、信用していないS社の機械を買ったから、こんなことになった。私の奮発した十万円はただの粗大ごみになったのか、と悲しい気持ちになりました。言わんこっちゃない。それ以降は、何代かのビデオレコーダーはP社にしましたっけ。壊れても納得というのか、かなり使ったしな。仕方ないよと諦めのつく感じ。基本性能が安定していたのが大事でした。


 いつ頃だったのか、たぶん、90年代の初め、大型テレビ、液晶テレビという時代がやって来ます。

 テレビといえば、ブラウン管だろう。大きくなったとしても、そのバックには巨大な背後装置があるものだろう。なんてまだまだ思っていて、薄いテレビができたよ、なんて言われても信用できてなかった。

 けれども、S社さんは社運をかけて、奈良、三重のあちらこちらと、次々と液晶テレビシフトに傾き、そこで世界のS社になろうとしました。「世界のK山モデル」なんて、三重のK山工場にたくさんの労働者を集めて、大工場をいくつも建てました。

 それは十数年前二十年未満だったでしょう。一時期は世界トップになったんだろうか。それはそれでいいけど、そんなにまでして投資して、それが永遠に続くと思っていたのか?

 世界は、より安く、より新しい技術で、よりいいものを作ろうとする、そんなのは当たり前で、S社は飛びぬけたと思った時にはもう後が続かなくなっていたのかもしれません。それがピークだったのか?

 それから後も、大阪のS市で世界最大の工場を建設する、なんてぶち上げてた時、もう私は心配でした。三重県ではみんなの憧れになったところだったのに、もう三重を捨てて、堺に帰るのか? それは勝算はあるのか? 戦略はあるのか? 何を作るのか? もう、どうでもいいという気持ちも働きました。

 三重を捨てるのなら、それは会社が決めたことだし、会社はそれでいいと判断したのだろうと。

 それから、会社は、低迷し、台湾の会社に引き取られる形になりました。そして、世界最大の工場は閉鎖に追い込まれた。三重県はどうなるのか、私にはどうすることもできないけど、来るとこまで来てしまった。意外と短い蜜月関係だったと思うだけです。

 会社って、地域の思うようにはならないし、経営陣の判断で、どこへでも転がっていく存在なのでしょう。儲かると思えばすり寄ってきて、儲からないと思えばあっさり捨てる。そして、会社そのものも世の中から捨てられてしまう。

 恐ろしい、食うか食われるかの世界だけど、基本的なことを地道にやって、大儲けはできなくとも、みんなから信頼される、あそこなら大丈夫と思われる存在にならなくちゃ! 私が信頼してたパン会社さんでも、とんでもないことが起こりました。ほんの小さなミスかもしれないけど、食品会社にとって致命的なミスが起こりました。あれから、あんなに信頼してたパン会社さんの製品は買わなくなりました。これから、買わなくちゃいけないなら、他の会社を選ぼうと思ってしまう。ああ、恐ろしいことです。

 信頼回復できるのかどうか? みんな忘れっぽいから、しばらくしたらみんなケロリと食べてるかもしれない。でも、なるべく私は避けて通りたい、そう思ってしまいます。

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