国立大学職員日記
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国立大学職員日記:記事一覧




■はじめに
 統計は取っていないのですが、このブログでもっともアクセス数の多いエントリーは恐らく「運営費交付金から見る国立大学ランキング。」だと思います。
 というわけで、二匹目のドジョウを狙うべく、平成22年度のものも作成してみました。作成にあたり、昨年度は文教ニュース様に掲載されていたデータを参照しましたが、今年度は「大学受験パスナビ:旺文社」様のデータを参照させていただきました。というより、平成22年7月時点では、平成22年度運営費交付金の大学別のデータをこのサイトでしか確認することが出来ませんでした。文部科学省の報道資料などのページを自分なりに探してみたのですが、どうも該当データに行き当たりません。平成22年度になったのだから、平成22年度の予算額は出ていると思うのですが…。毎年度こういうものなのでしょうか。





 トップは相変わらず旧帝大学+筑波大学で、昨年度との順位変動もあまりありません。それ以降にはかなり細かな順位変動があるようです。鹿屋体育大学に替わり、小樽商科大学が日本で最も交付金スケールで規模の小さい大学となりました。
 運営費交付金は毎年減らされていますが、データを作ってみると全体として減少する中で、前年度に比べると交付金が増えている国立大学も半分くらいあることが分かります。
 今回は特に「減少部分」に注目し、「減少額」と「前年度比減少割合」のランキングも作成してみました。このあたりは特に、来年度の予算が大きく削られそうなので、次回のデータ作成時にどこまで変わるかに注目したいです。






 「減少額」ではやはり全体の交付金額が多い大学が上位に上ってきます。交付金額で1位だった東京大学も、減少額2位に入っています。1位の九州大学は32億円の減額。九州大学は「減少割合」も割と高く、上越教育大学一つ分か、小樽商科大学二つ分を消滅させるレベルの減少でした。





 「減少割合」では交付金額があまり多くない大学が上位にくるようです。1位は浜松医科大学で1割以上削減されています。順位でも前年より6位落ちて、順位変動のもっとも大きい大学となりました。

■おわりに
 運営費交付金はその年毎に違うものなので、順位の変動や金額が前年度比で増減することは当然と言えば当然です。とは言え、「なんか知らないけど交付金が増えました・減りました」なんてチャランポランな国立大学もさすがに無いと思いますし、恐らく全ての国立大学において、交付金額の増減に関する学内文書や説明資料はあるのだと思います。
 公表している国立大学もあるのかも知れませんが、86大学全ての資料は集められないし、目を通す時間もありません。普段仕事をしていると、たまに全ての資料に目を通した挙句に、全国立大学において交付金額の増減が具体的にどのような影響を与えているのかレポートにまとめてみたくなる衝動に駆られます。さらにその上で、交付金の削減の是非やらそれを受けて学内で行われる事務整理やら政府の言い分やら文部科学省の言い分やら各国立大学の言い分やら地方の言い分やら総合大学の言い分やら単科大学の言い分やら研究者の言い分やら事務職員の言い分やら学生の言い分やらその他何やらかにやらを全て総合した文書とかあったらもの凄く面白そうなんだけど、そんなものは神様でもなけりゃ作れないのだろうなーとか考えます。あるいは神様レベルのものでなくても良いので、どっかの研究者か、官僚がそういう資料作ってくれないですかね。「作ろうにも作る予算がありません」と言われてお終いですかね。事業仕分けしてる国会議員さんの時間と予算を使って作ってくれれば良いのになーと思わなくもないです。

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コメント
 
 
 
第一期中期目標評価 (FLYING_TO-JO-)
2010-08-01 20:51:41
いつも興味深く拝見しております。

平成22年度の運営交付金ですが,平成16年度~平成21年度までの「第一期中期目標」の達成率に応じて,増額・減額が行われました。

ですので例年よりも変動が大きかったのではないでしょうか。


ちなみに増額・減額と言っても,劇的に変わったわけではありません(そんなことしたら小規模大学が破綻します・・・)。

ですから東京大学さんのように規模が大きい大学ですと,中期目標の達成率に応じた増減よりも,年度毎の予算純減が目立っているのではないでしょうか。


あと・・・この記事と直接は関係ありませんが,平成23年度から平成25年度にかけて,国の一般予算が10%削減される方針が示されています。

国立大学協会は「今までの削減努力に鑑みて,一律削減対象から外して欲しい」と国に要望してますが,もし今後3年度間10%削減され続けると,下から40大学分を越える運営交付金に相当する額が減ることになるそうで・・・。

一体日本の高等教育はどうなってしまうのでしょうか。
末端ながら教育関係者として危機感を覚えます。
 
 
 
増減の理由 (某教員)
2010-08-01 21:16:41
第一期中期目標期間中は毎年1%減とされていましたが,こうやってみると毎年結構な増減があることが分かり,1%減はよく見えません。実際には,退職者のための退職金引当金や各種プロジェクトの開始・修了に伴う増減が効いているのではないかと思います。特に退職金は結構大きいようです。このランキングを見て,「1割近く減でも浜松医科大,一橋大や九大は立派に存続しているではないか」といった誤解が広まらないことを願います。あと,評価反映分は実際には微々たるものです。
 
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