aimotokiyotakabu

本是山中人

金木犀

2008-10-06 21:12:42 | nanikotomonashi
昨日は雨だったけれど、今日は薄曇りの日、
街路も庭々も、室内さえ柔らかな明るさ、
金木犀の薫り、
薫りに気がついたのは、雨の降る前の一昨日の日没後の暗い帰路で、
何処が境だったか知らないままに、薫りの中にいて、
薫りを吸いながら、
その日の午後に、壁に映っていた幽像を思い出した。

窓の反対側の白い壁の上で水気が揺らいでいるように見えたので、
何かと訝りながら眺めていたのだけれど、
蜘蛛の糸が天井から垂れているのか知ら、とも思い、緩やかな揺れに暫く眼を遊ばせて、
それが薄の影と分かるまで過ごした、
窓の向こうの駐車場の隅に薄が茂っていて、穂が開いて戦いでいる、
止めてある自動車のガラスか、車体かに当たった陽が反射して薄の影を投げていた様子、
もしかしたら、その影は、そのまま窓へと投げられたのでもなく、
建物の壁でもう一度跳ねたのかもしれない、
幽かな光の痕跡のようでしたから。
コメント (2)
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