くり太の日常猫飯事(にちじょうにゃめしごと)

生まれも育ちも葛飾区
キャットシッターとして日々を転がる栗一粒、心の旅日記

橋之介殿、御縄でござる!

2007年01月27日 | あんたがパートニャー
前回ご紹介した我が家の橋之介、これが大変な甘えん坊である。
食について言えばムラがあり、人が見ていてあげないと食べない。
食べている間も時々こちらを見上げては「ちゃんと見てる?」
と確認を怠らない。
大体が食が細く、幼少の頃は発育の悪さを獣医さんに注意されたこともあって、
ついこちらも「これで食べてくれるなら」と甘やかしているのだ。
そんなわけで、その日も「またいつもの気まぐれだろう」と思っていた。

ある日の晩、橋ちゃんの食欲がない。
いくら食が細いといっても一粒も食べないとはおかしいが
とりあえず翌日まで様子を見守ることにした。
すると翌朝、食べないどころか嘔吐がはじまった。
昨晩から何も食べていないので出てくるのは黄色い胃液ばかりだ。
やっと水を飲んでは吐き、また水を飲む、この繰り返し。
母は「もともと吐き癖のあるコだし」と言うが、さすがに尋常ではない。
(この母はケガをして泣いている子供に「痛いのは生きている証拠」と
 言い放つ人である)
急いで動物病院に連れて行った。
これまでの様子を説明、入念に触診をしてもらう。
続いてレントゲン撮影、血液検査、それでもわからない。
脱水症状がひどいので入院して原因を調べることになり、ひとまず帰宅。
ちょうどその1時間後、病院から電話がかかってきた。
「バリウム検査をしたところ、何か異物が十二指腸まで入り込んでいます。
 すぐに開腹手術をします。」

幸い橋ちゃんは助かった。
実は少し遅ければ命が危なかったと知ったのは後のこと。
「これが手術で取り出した物です。翌日の便にも一部出てきていたので
 実際はもっと長かったんでしょうね。」
そう言って渡されたものは何とも爽やかなミントブルーの紐だった。
「靴紐ですね。これから靴は玄関に出しっ放しにしないで下さい。」
靴紐・・・ではない。
見覚えのあるそれは私のパジャマの腰紐だった。
たまたま新しいパジャマにして、紐を取り外すのを忘れていたのだ。
恐らく私が寝入っている間に楽しんだのであろう。

さて悲劇はこれで終わらなかった。
1週間の入院が終わり、受付で会計を済ませる。
「お会計、9万1千○○○円です。」
絶句する私の横でキャリーバッグの中から「早く帰ろうよ!」と
橋ちゃんが言う。
タクシー代、入院中の食事代、その他含めると軽く10万円。
定職を失ったばかりの人間にどこまでも優しい猫である。

なんでも橋之介のような誤食癖のある猫は増えているとか。
猫人(ねこびと)の皆様にはくれぐれもお気をつけいただきたい。