前回ご紹介した我が家の橋之介、これが大変な甘えん坊である。
食について言えばムラがあり、人が見ていてあげないと食べない。
食べている間も時々こちらを見上げては「ちゃんと見てる?」
と確認を怠らない。
大体が食が細く、幼少の頃は発育の悪さを獣医さんに注意されたこともあって、
ついこちらも「これで食べてくれるなら」と甘やかしているのだ。
そんなわけで、その日も「またいつもの気まぐれだろう」と思っていた。
ある日の晩、橋ちゃんの食欲がない。
いくら食が細いといっても一粒も食べないとはおかしいが
とりあえず翌日まで様子を見守ることにした。
すると翌朝、食べないどころか嘔吐がはじまった。
昨晩から何も食べていないので出てくるのは黄色い胃液ばかりだ。
やっと水を飲んでは吐き、また水を飲む、この繰り返し。
母は「もともと吐き癖のあるコだし」と言うが、さすがに尋常ではない。
(この母はケガをして泣いている子供に「痛いのは生きている証拠」と
言い放つ人である)
急いで動物病院に連れて行った。
これまでの様子を説明、入念に触診をしてもらう。
続いてレントゲン撮影、血液検査、それでもわからない。
脱水症状がひどいので入院して原因を調べることになり、ひとまず帰宅。
ちょうどその1時間後、病院から電話がかかってきた。
「バリウム検査をしたところ、何か異物が十二指腸まで入り込んでいます。
すぐに開腹手術をします。」
幸い橋ちゃんは助かった。
実は少し遅ければ命が危なかったと知ったのは後のこと。
「これが手術で取り出した物です。翌日の便にも一部出てきていたので
実際はもっと長かったんでしょうね。」
そう言って渡されたものは何とも爽やかなミントブルーの紐だった。
「靴紐ですね。これから靴は玄関に出しっ放しにしないで下さい。」
靴紐・・・ではない。
見覚えのあるそれは私のパジャマの腰紐だった。
たまたま新しいパジャマにして、紐を取り外すのを忘れていたのだ。
恐らく私が寝入っている間に楽しんだのであろう。
さて悲劇はこれで終わらなかった。
1週間の入院が終わり、受付で会計を済ませる。
「お会計、9万1千○○○円です。」
絶句する私の横でキャリーバッグの中から「早く帰ろうよ!」と
橋ちゃんが言う。
タクシー代、入院中の食事代、その他含めると軽く10万円。
定職を失ったばかりの人間にどこまでも優しい猫である。
なんでも橋之介のような誤食癖のある猫は増えているとか。
猫人(ねこびと)の皆様にはくれぐれもお気をつけいただきたい。
食について言えばムラがあり、人が見ていてあげないと食べない。
食べている間も時々こちらを見上げては「ちゃんと見てる?」
と確認を怠らない。
大体が食が細く、幼少の頃は発育の悪さを獣医さんに注意されたこともあって、
ついこちらも「これで食べてくれるなら」と甘やかしているのだ。
そんなわけで、その日も「またいつもの気まぐれだろう」と思っていた。
ある日の晩、橋ちゃんの食欲がない。
いくら食が細いといっても一粒も食べないとはおかしいが
とりあえず翌日まで様子を見守ることにした。
すると翌朝、食べないどころか嘔吐がはじまった。
昨晩から何も食べていないので出てくるのは黄色い胃液ばかりだ。
やっと水を飲んでは吐き、また水を飲む、この繰り返し。
母は「もともと吐き癖のあるコだし」と言うが、さすがに尋常ではない。
(この母はケガをして泣いている子供に「痛いのは生きている証拠」と
言い放つ人である)
急いで動物病院に連れて行った。
これまでの様子を説明、入念に触診をしてもらう。
続いてレントゲン撮影、血液検査、それでもわからない。
脱水症状がひどいので入院して原因を調べることになり、ひとまず帰宅。
ちょうどその1時間後、病院から電話がかかってきた。
「バリウム検査をしたところ、何か異物が十二指腸まで入り込んでいます。
すぐに開腹手術をします。」
幸い橋ちゃんは助かった。
実は少し遅ければ命が危なかったと知ったのは後のこと。
「これが手術で取り出した物です。翌日の便にも一部出てきていたので
実際はもっと長かったんでしょうね。」
そう言って渡されたものは何とも爽やかなミントブルーの紐だった。
「靴紐ですね。これから靴は玄関に出しっ放しにしないで下さい。」
靴紐・・・ではない。
見覚えのあるそれは私のパジャマの腰紐だった。
たまたま新しいパジャマにして、紐を取り外すのを忘れていたのだ。
恐らく私が寝入っている間に楽しんだのであろう。
さて悲劇はこれで終わらなかった。
1週間の入院が終わり、受付で会計を済ませる。
「お会計、9万1千○○○円です。」
絶句する私の横でキャリーバッグの中から「早く帰ろうよ!」と
橋ちゃんが言う。
タクシー代、入院中の食事代、その他含めると軽く10万円。
定職を失ったばかりの人間にどこまでも優しい猫である。
なんでも橋之介のような誤食癖のある猫は増えているとか。
猫人(ねこびと)の皆様にはくれぐれもお気をつけいただきたい。