ややごぶさたしています。その間に、14日のことですが、博物館学芸員資格課程のレポート「博物館資料保存論」が返ってきて、「合格」でした。これも全く手探りで自信がありませんでしたが、結構評価はよかったので、甘いのかな??
秋は例年ですが学校行事等で忙しく、レポート提出の予定もだいぶ遅れています。次に今レポートを書いているのが「博物館資料論」です。
あと1年で学芸員資格課程を終わらせるつもりでいましたが、「展示論」や「経営論」は手強く、また、多くの博物館を見てからにしようかなと思うようになりました。というわけで、来年度実習を受けるために必要なレポートも今年度中に提出・合格できる見込みが薄くなり、あと1年での学芸員資格課程の修了は無理っぽいです。
今年度は、代わりに、「生涯学習概論」他、簡単そうなレポートの数を稼ぐことにします。
実は、5日前に、奈良・吉野や長谷寺に、紅葉を見に行く旅をしてきたのですが、その話題は先延ばしにして・・・紅葉はきれいでしたよ。代わりに、今日は、東京の博物館のチケットブック「ぐるっとパス」を使って、博物館を見てきたので、ここに整理しておきたいと思います。
今月は、四つの博物館・美術館に行きました。前回、「禅」と「月」の展覧会について書きました。今日は、13日に見た「色の博物誌―江戸の色材を視る・読む」(目黒区美術館)と、今日見てきた「武士と印刷」(印刷博物館)について書きます。
まず、目黒区博物館の「色の博物誌―江戸の色材を視る・読む」です。
https://mmat.jp/exhibition/archives/ex161022
江戸時代に絵を描く時に使われた色材について紹介する展示でした。印象に残った点を以下、書きます。
まず、いわゆるツユクサ、も色材だったのだということです。実際には、ツユクサを改良して「青草」というものにして、青い色をとっていたらしいです。ツユクサは確かに花びらをつぶしたりすると青い色が手などにつきます。
他にも、ベニバナや鉱物などからとった色のサンプルや、実際に絵画に使われている例が展示されていました。
照明は、やや暗く、色も白色ではなかったので、本当の色がややわかりにくかったです。
多くの江戸時代の本も展示されていたのですが、開いているページ以外を見るために、タブレット型パソコンが置いてあって、画面をタップしてぺらぺらページをめくったり、拡大したりということができました。タブレットPCを使っているのを見たのは初めてかもしれません。パネル型の触れることのできる画面はよく博物館等にありますが。
現在の岡山県:備前国の国絵図が展示されている部屋がありました。江戸時代に各国が作らされた国絵図ですが、こんなに大きいのか?と思うほど、部屋一面に地図が広げられていました。
「色」の展示になぜ国絵図かというと、その絵の中で、海は紺色とか、金色の線(金泥)とか、赤い境界線とか、たくさんの種類の色を使って表現されているので、その説明がされているのです。
奈良大の「歴史地理学」スクーリングでも、絵図を使って、現在の土地の状況と比較したりということをしました。その中で先生が、こういう絵図を、いつまでもずっと観察している変な人になってください、という趣旨のことを言いました。確かに見ているといろいろな情報が詰まっていて、面白いのですが、私は粘りがなく淡泊なので、長時間は見る気にはならないな・・・と思いながらその場を後にしました。そこにも、タブレットPCが置いてあって、国絵図を拡大したりして見ることができました。興味のある人は存分に見られると思います。
色の使い方が違う2枚の版画が並べられていたりして、いろいろな表現があるのだなということがわかりました。
全体として、色材の実物をふんだんに見ることができたりして興味深かったのですが、私はコンタクトをしても視力がよくないことなどもあってか、照明が暗めで解説が見にくかったり、色を見るのにこの照明が適切なのだろうかと思ったり、しました。つい、学芸員資格課程で勉強していると、欠点を探そうとしてしまいますけれども・・・
タブレットPCを活用していたのはなかなかよかったと思います。今後も使う博物館等が増えていくかもしれません。
次に、今日見てきた印刷博物館の「武士と印刷」です。こちらも、「ぐるっとパス」があれば無料で入れるし、都心にあって近いので気軽に行って来ました。凸版印刷がやっている博物館です。
http://www.printing-museum.org/exhibition/temporary/161022/index.html
中に入ると、案内の方に、これから安土城のVR(ヴァーチャル・リアリティ)が上映されるのでいかがですか?20分くらいです、と言われ、スルーしようかとも思ったのですが、博物館学芸員資格課程の身として、さまざまな形態の展示の工夫・経営努力などを学ぶためにも、見ておくか、ということで見ることにしました。
VRシアターへのかどかどに、案内の女性が一人ずつ、計3名くらいついていて、手厚いなあと思いました。お客さんはそんなに多くないんですけどね。今チラシを確認したら、このVRシアターは土日などの休日でないと開いていないようです。
曲面の巨大なスクリーンに、安土城のVRが映し出されました。なかなかよくできています。水面から見たり、上空から見たり、内部に入ったり・・・これは、滋賀県の近江八幡市にある「信長の館」でも上映されているもののようでした。風邪をひいていたりして体調があまりよくないのと、このVRを目当てに来たわけではなく、たまたま誘導されて見に来たのと、会場が心地よいのとで、終わりの方でうとうとしてしまいました。
「信長の館」のチラシも置いてあって、それを見ると、そこのレストランの食事の写真も載っていて、「信長ハンバーグ定食」とか、「戦国焼き定食」とか、「近江牛牛丼」とか、お手頃な値段でおいしそうなんですよ。
滋賀県もそういえば宿泊したことがないので、いつか行ってみたいです。
さて、印刷博物館の展示ですが、1階が無料で入れる展示、地下が有料です。
企画展示中心に紹介しますと、今回の「武士と印刷」は、
第一部「武者絵に見る武士たちの系譜」
第二部「武士による印刷物」
に大きく分かれています。
第一部の武者絵は、そういえば時代順に展示されていました。最初が平安時代で、鬼退治をした渡辺の綱らの絵がトップでした。渡辺家は鬼退治をしたから節分に豆まきをしなくていいんだ、と父親が言うので子どもの頃はあまり家で豆まきをしませんでした。そういう渡辺綱が出てくる絵の隣が、私の好きな源為朝の絵でした。最初の方から私にとって興味深い絵が出てきたので楽しくなりました。しかし何しろ、解説のプレートの文字が小さいので、一つ一つ、目がいまいちよくない私は腰を折るようにして読みとらなければならず、全部の絵を丁寧には見ませんでした。展示室も広くて、おなかいっぱい、という感じになりました。
第二部は、約70人の武士が刷らせた約160点の印刷資料が展示されています。大きな日本地図に該当する各藩の名称が表示され、そこに対応する武士(大名)名と印刷物名が表になっていました。
全部を丁寧にみると膨大な時間がかかってしまいますし、基本的に江戸時代の版本が、あるページを開いて展示してあるだけなので、私も興味がある武士の名前が見えるものだけをややじっくり見る程度で、駆け足で見ました。
伏見版とか駿河版という言葉は、奈良大通信の書誌学で勉強しました。駿河版の活字なども展示されていて、家康が作らせたとのことですが、大したものだなと感心しながら眺めました。
高校日本史的には、徳川光圀の『大日本史』など、教科書にも出てくる本が、大きいスペースにダーッと並べられていました。
他には、豊臣秀頼、柳沢吉保なども、出版をさせているんだなあと目にとまったり、あとは何といっても私の実家・白河の殿様だった松平定信の『集古十種』をはじめとする出版物群は、初めて見たのですがややじっくり見ました。『集古十種』は、かなりの大判でした。松平定信はやはりさすがです。文化人であるなと改めて思いました。小さな自分の歌集もありました。また、谷文晁が描き、定信が「賛」を入れたという『異国船図』という掛軸があって、これによって定信は、国防の必要性を喚起しようとした、という説明書きがありました。
本当にたくさんの武士(大名)の印刷物が出ているので、お目当ての武士のものだけでもよいので見るのもよいと思います。
以上が企画展示で、常設展の方も続けて見ることができましたが、こちらも広いスペースでかなり充実していました。グーテンベルクの印刷機の復元したものなどもありましたし、浮世絵の刷り方を分解して説明してあったり、ゆっくり見ようと思えばいくらでも見るべき所はありました。
企業が運営している博物館でも、こんなにゆったりとして、充実した博物館もあるのだなと感心しました。企画展は来年1月15日までです。
印刷博物館の入り口です。左側から入ります。
秋は例年ですが学校行事等で忙しく、レポート提出の予定もだいぶ遅れています。次に今レポートを書いているのが「博物館資料論」です。
あと1年で学芸員資格課程を終わらせるつもりでいましたが、「展示論」や「経営論」は手強く、また、多くの博物館を見てからにしようかなと思うようになりました。というわけで、来年度実習を受けるために必要なレポートも今年度中に提出・合格できる見込みが薄くなり、あと1年での学芸員資格課程の修了は無理っぽいです。
今年度は、代わりに、「生涯学習概論」他、簡単そうなレポートの数を稼ぐことにします。
実は、5日前に、奈良・吉野や長谷寺に、紅葉を見に行く旅をしてきたのですが、その話題は先延ばしにして・・・紅葉はきれいでしたよ。代わりに、今日は、東京の博物館のチケットブック「ぐるっとパス」を使って、博物館を見てきたので、ここに整理しておきたいと思います。
今月は、四つの博物館・美術館に行きました。前回、「禅」と「月」の展覧会について書きました。今日は、13日に見た「色の博物誌―江戸の色材を視る・読む」(目黒区美術館)と、今日見てきた「武士と印刷」(印刷博物館)について書きます。
まず、目黒区博物館の「色の博物誌―江戸の色材を視る・読む」です。
https://mmat.jp/exhibition/archives/ex161022
江戸時代に絵を描く時に使われた色材について紹介する展示でした。印象に残った点を以下、書きます。
まず、いわゆるツユクサ、も色材だったのだということです。実際には、ツユクサを改良して「青草」というものにして、青い色をとっていたらしいです。ツユクサは確かに花びらをつぶしたりすると青い色が手などにつきます。
他にも、ベニバナや鉱物などからとった色のサンプルや、実際に絵画に使われている例が展示されていました。
照明は、やや暗く、色も白色ではなかったので、本当の色がややわかりにくかったです。
多くの江戸時代の本も展示されていたのですが、開いているページ以外を見るために、タブレット型パソコンが置いてあって、画面をタップしてぺらぺらページをめくったり、拡大したりということができました。タブレットPCを使っているのを見たのは初めてかもしれません。パネル型の触れることのできる画面はよく博物館等にありますが。
現在の岡山県:備前国の国絵図が展示されている部屋がありました。江戸時代に各国が作らされた国絵図ですが、こんなに大きいのか?と思うほど、部屋一面に地図が広げられていました。
「色」の展示になぜ国絵図かというと、その絵の中で、海は紺色とか、金色の線(金泥)とか、赤い境界線とか、たくさんの種類の色を使って表現されているので、その説明がされているのです。
奈良大の「歴史地理学」スクーリングでも、絵図を使って、現在の土地の状況と比較したりということをしました。その中で先生が、こういう絵図を、いつまでもずっと観察している変な人になってください、という趣旨のことを言いました。確かに見ているといろいろな情報が詰まっていて、面白いのですが、私は粘りがなく淡泊なので、長時間は見る気にはならないな・・・と思いながらその場を後にしました。そこにも、タブレットPCが置いてあって、国絵図を拡大したりして見ることができました。興味のある人は存分に見られると思います。
色の使い方が違う2枚の版画が並べられていたりして、いろいろな表現があるのだなということがわかりました。
全体として、色材の実物をふんだんに見ることができたりして興味深かったのですが、私はコンタクトをしても視力がよくないことなどもあってか、照明が暗めで解説が見にくかったり、色を見るのにこの照明が適切なのだろうかと思ったり、しました。つい、学芸員資格課程で勉強していると、欠点を探そうとしてしまいますけれども・・・
タブレットPCを活用していたのはなかなかよかったと思います。今後も使う博物館等が増えていくかもしれません。
次に、今日見てきた印刷博物館の「武士と印刷」です。こちらも、「ぐるっとパス」があれば無料で入れるし、都心にあって近いので気軽に行って来ました。凸版印刷がやっている博物館です。
http://www.printing-museum.org/exhibition/temporary/161022/index.html
中に入ると、案内の方に、これから安土城のVR(ヴァーチャル・リアリティ)が上映されるのでいかがですか?20分くらいです、と言われ、スルーしようかとも思ったのですが、博物館学芸員資格課程の身として、さまざまな形態の展示の工夫・経営努力などを学ぶためにも、見ておくか、ということで見ることにしました。
VRシアターへのかどかどに、案内の女性が一人ずつ、計3名くらいついていて、手厚いなあと思いました。お客さんはそんなに多くないんですけどね。今チラシを確認したら、このVRシアターは土日などの休日でないと開いていないようです。
曲面の巨大なスクリーンに、安土城のVRが映し出されました。なかなかよくできています。水面から見たり、上空から見たり、内部に入ったり・・・これは、滋賀県の近江八幡市にある「信長の館」でも上映されているもののようでした。風邪をひいていたりして体調があまりよくないのと、このVRを目当てに来たわけではなく、たまたま誘導されて見に来たのと、会場が心地よいのとで、終わりの方でうとうとしてしまいました。
「信長の館」のチラシも置いてあって、それを見ると、そこのレストランの食事の写真も載っていて、「信長ハンバーグ定食」とか、「戦国焼き定食」とか、「近江牛牛丼」とか、お手頃な値段でおいしそうなんですよ。
滋賀県もそういえば宿泊したことがないので、いつか行ってみたいです。
さて、印刷博物館の展示ですが、1階が無料で入れる展示、地下が有料です。
企画展示中心に紹介しますと、今回の「武士と印刷」は、
第一部「武者絵に見る武士たちの系譜」
第二部「武士による印刷物」
に大きく分かれています。
第一部の武者絵は、そういえば時代順に展示されていました。最初が平安時代で、鬼退治をした渡辺の綱らの絵がトップでした。渡辺家は鬼退治をしたから節分に豆まきをしなくていいんだ、と父親が言うので子どもの頃はあまり家で豆まきをしませんでした。そういう渡辺綱が出てくる絵の隣が、私の好きな源為朝の絵でした。最初の方から私にとって興味深い絵が出てきたので楽しくなりました。しかし何しろ、解説のプレートの文字が小さいので、一つ一つ、目がいまいちよくない私は腰を折るようにして読みとらなければならず、全部の絵を丁寧には見ませんでした。展示室も広くて、おなかいっぱい、という感じになりました。
第二部は、約70人の武士が刷らせた約160点の印刷資料が展示されています。大きな日本地図に該当する各藩の名称が表示され、そこに対応する武士(大名)名と印刷物名が表になっていました。
全部を丁寧にみると膨大な時間がかかってしまいますし、基本的に江戸時代の版本が、あるページを開いて展示してあるだけなので、私も興味がある武士の名前が見えるものだけをややじっくり見る程度で、駆け足で見ました。
伏見版とか駿河版という言葉は、奈良大通信の書誌学で勉強しました。駿河版の活字なども展示されていて、家康が作らせたとのことですが、大したものだなと感心しながら眺めました。
高校日本史的には、徳川光圀の『大日本史』など、教科書にも出てくる本が、大きいスペースにダーッと並べられていました。
他には、豊臣秀頼、柳沢吉保なども、出版をさせているんだなあと目にとまったり、あとは何といっても私の実家・白河の殿様だった松平定信の『集古十種』をはじめとする出版物群は、初めて見たのですがややじっくり見ました。『集古十種』は、かなりの大判でした。松平定信はやはりさすがです。文化人であるなと改めて思いました。小さな自分の歌集もありました。また、谷文晁が描き、定信が「賛」を入れたという『異国船図』という掛軸があって、これによって定信は、国防の必要性を喚起しようとした、という説明書きがありました。
本当にたくさんの武士(大名)の印刷物が出ているので、お目当ての武士のものだけでもよいので見るのもよいと思います。
以上が企画展示で、常設展の方も続けて見ることができましたが、こちらも広いスペースでかなり充実していました。グーテンベルクの印刷機の復元したものなどもありましたし、浮世絵の刷り方を分解して説明してあったり、ゆっくり見ようと思えばいくらでも見るべき所はありました。
企業が運営している博物館でも、こんなにゆったりとして、充実した博物館もあるのだなと感心しました。企画展は来年1月15日までです。
印刷博物館の入り口です。左側から入ります。