日本史学習拾遺

日本史よもやま話、授業の補足、学習方法

卒論返却・・・合格です。

2016-02-06 18:17:58 | 大学通信 卒論関係
奈良大通信教育の卒論が戻って参りました。審査結果通知書とともに。

宅急便配達の予告メールが来ていたので、今日届くというのはわかっていたのですが、結果を見るのが恐くて、気持ちがざわざわしていました。

思い切って封を開けてみると、「90点」との評価でした。ありがたいことです。
例年、80点や90点の方がいらっしゃるのはなんとなく知っているのですが、95点とか100点という方もいらっしゃるのでしょうか?

ともかく、60点以上なら合格ですので、残りのスクーリングを仮に受けられなくて卒業できないとしても、来年度は学費19万円を支払わずに済みます。これで一安心です。

卒論のテーマは、後日改めて紹介できればと思いますが、大まかにいうと、古墳時代に祭祀に用いられた「子持勾玉」の出土地についてです。
子持勾玉は、勾玉に子どもの勾玉がいくつもくっついたような不思議な形をしていて、全国でも500個足らずしか発見されていません。多くが、単独出土(1個しか出土しない)です。
結構大きいんです。だいたい、10cm前後はあります。
不思議なことに、古墳内部からはほとんど出土しません。

奈良県の三輪山周辺(大神神社=大和国一之宮)で子持勾玉が多く出土しているというので興味を持ち、調べてみると、特に東国で出土が多く、一之宮など古社の境内や周辺の遺跡で出土しているという特徴がありました。
全体でみると、東日本で多く出土しており、西日本では少なくて、ただ、今世界遺産登録を目指している沖ノ島ではたくさん出土しています。

卒論では、東国の子持勾玉出土地の特徴、共通性などについて現地を調査しながら考察しました。
詳しい内容については、別の機会に紹介できればと思います。

現地調査前に現地の博物館に問い合せて所蔵を確認したり、博物館訪問当日に実際の所有者が新しくわかって、その日にいきなり所有者のお宅を訪問して上がり込み、貴重な子持勾玉を見せていただき、手に取らせていただくという経験もできました!そういった、地域の方々との触れ合いも、私にとっての大切な財産になりました。

奈良大学の現地・現物主義を実践できて、卒論執筆を通して本当によい経験ができました。
卒論の指導教官のT先生は、演習のスクーリングも受講させていただいたのですが、その際の、「現地を見て来てください。」という言葉が、文献史学をやってきた私にはとても新鮮で、大きな刺激を受けました。

これからも、現地に行き、現物を見るという行動力は大切にしていきたいと思います。

卒論では、子持勾玉そのものについてではなく、その出土地について考察しました。
一之宮でいうと、東国では、武蔵国の小野神社、常陸国の鹿島神宮、陸奥国の都々古別神社(福島県白河市)などの周辺で出土しています。二之宮や式内社(延喜式神名帳にも載っている古い神社)ですともっとたくさんになります。
こうした子持勾玉が出土しているということは、その土地が、古墳時代・5世紀頃からずっと祭祀の場であったという証拠になります。
私はもともと神社は好きではなかったのですが、そんなに古くからそこが祭祀の場であったのかもしれないと思うと、あなどれないなと思うようになりました。
神社もいろいろで、最近できた神社(例:明治神宮や靖国神社など)と、式内社や一之宮のような、1000年以上の古い由緒をもつ神社とは、一緒には論じられないとは思います。

子持勾玉出土地については、まだ調べきれていない所もたくさんありますので、これからも、暇をみつけて旅に出たりして、調べていきたいと思っています。

卒論完成まで多くの方々にお世話になりました。感謝しつつ、今後、この経験や研究成果を還元・発展させていきたいと思います。



昨年のお彼岸に奈良日帰り弾丸ツアーを決行した際に見た、桜井市立埋蔵文化財センターの企画展「魅惑の玉」で展示されていた子持勾玉です。


大神神社でこの子持勾玉が購入できます。

今日はこのへんで。

追記:子持勾玉について、いろいろご存知の方がいらっしゃいましたら、ぜひ、ご教示ください。よろしくお願いいたします。

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10 コメント

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Unknown (ゆき)
2020-08-10 19:13:04
埼玉の遺跡です
https://www.saimaibun.or.jp/ka/10611.htm

https://www.saimaibun.or.jp/odekake/kengaku-news/r2_snap/r2_kengaku/
Unknown (ツツコワケ)
2020-08-11 01:34:15
ゆきさん、投稿ありがとうございます。
とても興味深い情報です。
子持勾玉があんな姿で出土するとは。
いずれにせよやはり単独出土(1個ずつ)で、古墳の中でなく住居跡から見つかるという特徴があるように見えます。
近くに古い神社があるかなとざっと探してみましたが、そもそもさきたま古墳群に近く、そこに式内社の前玉神社がありますね。ちょっと遠いかなとも思いますが。
山もきれいに見えるようで、現地に行ってみたくなりました。
北大竹遺跡のあるエリアは、若小玉というのでしょうか?そのあたりにも若小玉古墳群というものがあるようですね。
そもそもこのあたりに、さきたま・さいたま、前玉、若小玉など、玉にまつわる地名が多くて、子持勾玉などの玉との関わりもありそうで興味深いです。
埼玉ですと、児玉郡神川町二ノ宮 金鑚神社(かなさな)の周辺でも子持勾玉が出ていて、ここも児玉郡という玉に関わりがありそうな地名、神川町二ノ宮という神さびた地名がみられます。
また謎を探究してみたくなりました。ありがとうございました。
Unknown (ゆき)
2020-08-19 22:45:01
ホームページが更新されました。
https://www.saimaibun.or.jp/ka/10886.htm

先日の現地説明会の資料です。
https://www.saimaibun.or.jp/wp/wp-content/uploads/2020/08/76cfc6333cc3a2bf640e78985de771cd.pdf
Unknown (ツツコワケ)
2020-08-20 19:15:15
ゆきさんこんばんは。
また情報をありがとうございます。
見て驚きました。子持勾玉がごろごろ。
本来5世紀が中心ですが、6~7世紀と、だいぶ時代が後のもののようです。形がだいぶ省略化されているように見えます。
奈良大の現地主義の魂で、現地に行ってみたいところですが、学校ももう今週で夏休みが終わりだし、猛暑だし、身動きが取れずに終わり、という感じです。
またよろしくお願いします。
Unknown (ゆき)
2020-08-21 10:20:29
ここの遺跡は9/17で現場の作業は終了です。昨年12月からこちらで発掘作業のお手伝いをさせていただいておりますが、普段は博物館で見るような土器などの遺物を間近で見たり、取り上げたり貴重な経験をさせていただきました。
新聞等の報道関係の発表も、この御時世なので現場の作業が終わり、整理作業に入ってからになるそうです。我々作業員にも守秘義務があるので詳しくは、発表を楽しみにお待ちください。
Unknown (ツツコワケ)
2020-08-22 18:29:59
ゆきさん、ありがとうございます。
そのようなお仕事、私も一度やってみたいな、と思っていました。夏は暑い、冬は寒い、など大変なことも多いのでしょうけれども。定年後に元気で機会があれば雇ってもらえることがあるでしょうか?
またプレス発表などの折りに、こちらにお知らせいただけるととてもうれしいです。今後ともよろしくお願い致します。
Unknown (ゆき)
2020-12-19 16:28:26
今月号を飾ってます
https://www.fujisan.co.jp/product/1281683105/new/
Unknown (ツツコワケ)
2020-12-20 19:23:10
ゆきさん、いつもありがとうございます。
その号を近日手に取り、読ませていただこうと思います。
少し前にも奈良で私有地の古墳から大きな子持勾玉が見つかったというニュースを見ました。そしてその子持勾玉が、二上山博物館で今週末まで展示されているとか。コロナその他でなかなか奈良まで行けず残念です。
また情報をお願いいたします。
おめでとうございます (ゆり)
2020-12-29 22:05:27
卒論、いい成績だったのですね(*^^*)

で、卒業かと思えば…スクーリング単位がのこってるのですね・・・
来夏?出席出来るといいですね~~

子持ち勾玉は初めて見ました。
勾玉は大好きで、旅の折には勾玉を購入してました。
普段使いのバックにも勾玉を漬けてあります。
大神神社で勾玉を買おう!! でも!いつ行けるんでしょう・・・(;^_^A
Unknown (ツツコワケ)
2020-12-30 15:28:33
ゆりさん、こちらにもコメントありがとうございます。
卒論は、もう5年前ですね。もう大学は卒業して、今は学芸員の資格を取るために科目等履修生をしています。
三輪山・大神神社と子持勾玉の謎は本当に私にとっては興味深いテーマです。
大神神社にはこの子持勾玉が売っているのでいつか見てみてください。多分子持勾玉を売っているのはここだけでしょうね。見た目はちょっとグロテスクとも思えますし。

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