歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

仏教と精密測定機器

2008-06-28 02:20:15 | ものづくり・素形材
 ホテルに泊まると、たいてい部屋には「聖書」と一緒に「仏教聖典」が置いてあります。ご覧になった方は多いのではないでしょうか。
 「仏教聖典」を印刷して無料でホテルに配布しているのは、財団法人仏教伝道協会です。この団体を設立した沼田惠範氏という方は、精密測定機器の国内トップメーカーである株式会社ミツトヨの創業者であり、そもそもミツトヨという会社は仏教伝道のために創業されたということ、現在でも同社は仏教と深い関係があることを、私は同社のブラジル子会社Mitutoyo Sul Americana Ltda.を訪問したときに初めて知りました。

(以下、仏教伝道協会のホームページより引用)
発願者沼田惠範氏
昭和9年
●仏教伝道のための起業を志し、マイクロメータの国産化を目指して、試作・研究を重ね三豊製作所を創業する(現株式会社ミツトヨ)。
(引用終わり)


 ブラジル子会社にて詳しくお話を伺ったのですが、現在でもミツトヨは収益の一部を財団法人仏教伝道協会に寄付しており、そのお金は「仏教聖典」の各国版への翻訳、発行や海外の大学における仏教講座の開設など、仏教の伝道を目的とした活動に充てられています。また、毎月行われる「祖先祭」と呼ばれる行事では、全社員による社歌と仏教精神に基づいた歌の斉唱、僧侶による講話などが開かれています。私は仏教のことをよく知らないのですが、「正確にものを測る」ということは仏の教えにかなっているのだそうです。

 ちなみにミツトヨの関連会社にミツトヨフーズという食品メーカーがあります。測定機械メーカーが食品分野に進出するというのはかなり意外性がありますが、この関連会社は湯葉を作っていると聞いて納得しました。湯葉と言えば精進料理、仏教と深い関係がありますからね。

 そして驚いたことに、ブラジル現地法人も収益の1%を仏教の伝道活動に充てており、「祖先祭」(ブラジルではSOSSEN-SAI)も僧侶を招いて毎月開催しているのです。ブラジル人従業員のほとんどはカトリックであって仏教徒は少ないのですが、こうした行事を通じて仏教精神に基づく社是「良い環境、良い人間、良い技術」が社内に浸透している、とのことでした。



 お土産にMitutoyo Sul Americanaの「祖先祭」用の歌集をいただきました。ローマ字表記の日本語とポルトガル語が併記されていますが、日本語で歌うのだそうです。

最新の画像もっと見る