歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

労働災害防止のためのカナダ職場安全保険局のすごいCM

2009-06-07 21:21:52 | Weblog
 労働災害が発生しないよう、労使共に安全意識の向上に努めなければならないことは言うまでもありません。厚生労働省の外郭団体の労働衛生情報センターがまとめた平成9年から平成19年までのデータによると、全産業の労働者1,000人あたり1年間に発生する死傷者数は緩やかに減少しており、平成9年に3.2人であったのが平成19年には2.3人にまで減っています(こちら)。しかしながら産業によっては依然として多くの死傷事故が発生しています。特に多いのが、鉱山(平成19年で33.3人)、林業(同29.5人)、漁業(同17.2人)で、製造業でも造船(同10.3人)、鋳物(同10.1人)、木材・木製品(9.2人)は特に高い数字を示しています。これらの業界は労働災害の発生防止に向けて今後も一層努力していくことが求められます。

 さて、労働災害の発生を防ぐため、厚生労働省は写真のようなポスター等を通じて安全意識の高揚を図っているところですが、高速道路のSAで時々見かける交通事故写真のように、「安全意識を怠るとこんな悲惨なことになりますよ」というポスター等は見かけたことはありません。それが当たり前だと思っていましたが、海を越えた外国では労働災害防止のためにものすごいCMを放映する国がありました。カナダの職場安全保険局のCMなのですが、これは怖すぎます。気の弱い方には視聴はお勧めしません。




 登場人物のセリフがわかれば、単なる衝撃映像ではなく深い意味が込められたCMであることが理解出来ると思います。ありがたいことにセリフの和訳をコメントに寄せている方がいらっしゃるので、以下に引用させていただきます。なお、CMの最後にThere really are no accident.というメッセージが表示されますが、セリフの和訳を寄せているこの方の解説によると、「accidentは、自然発生的な事故という意味。つまり、人災は防げるってことが言いたいんでしょう。」とのことです。

1番目:ブティックにて
「事故よ!誰か助けて!」
「事故?事故じゃないし。会社がずっと前にハシゴを取り替えてくれてたら。あんな高いとこ届くわけないわ。働いてる人少ないのになんでちゃんとした規則がないの?」

2番目:レストランの厨房にて
「私はここの副シェフなの。運良ければ来年までにはシェフになれそう。私には素敵な婚約者もいる。でも今週末の式は挙げられないの。私がひどい事故に遭ってしまって。本当に、私はこのあたりの床の(上に飛び散った)油をきれいに掃除しておくべきだった。そうしておけば、私が「揚げ物」になることもなかったのに。」(悲鳴)
(男性の声)「誰か手を貸して!」

3番目:工場にて
「おい、ジム!あの部品をよこしてくれ」
「ああ!」
「110番!(911)事故だ!」
「これは事故なんかじゃない。会社は上にあんな重荷を積むのが規則違反だってわかってるはずだ。オレもやってることに集中してなかったけど。上司たちが壊れた棚も買い換えられないとはね。」

4番目:建設現場にて
「オレは家族をいい旅行に連れてってあげたいから残業しているんだ。でも、もうすぐ家族はオレが『事故』で殺されたって電話を受けるんだ。でもオレはすげぇハーネス着てるだ。でも、会社はタンクを点検するべきだった」
「事故だ!助けを呼べ!」



 「労働災害が発生しないよう、労使共に安全意識の向上に努めなければならない」、というメッセージは実によく理解できるCMなのですが、この映像の衝撃度は日本では許容されないでしょうね。

最新の画像もっと見る

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (mikan)
2009-06-07 22:10:44
こ、これは、ホントよくある図ですよね。
胸が痛い。

過去、製造現場を任されていたとき、
作業者の方が何度か怪我をされて、
とても悲しく、悔しかったことを
思い出しました。

気をつけなきゃ。
返信する
コメントありがとうございます (kunihiko_ouchi)
2009-06-08 02:08:17
mikanさんコメントありがとうございます。
>過去、製造現場を任されていたとき、作業者の方が何度か怪我をされて、とても悲しく、悔しかったことを思い出しました。
それは本当に胸が痛いですね。
労災は天災とは異なり、備えがあれば(100%は難しいですが)回避することができるわけですから、このCMの言うThere really are no accident.というメッセージの持つ意味は重いですね。
返信する
安全 (KADOTA)
2009-06-09 12:54:31
こんにちは。こちらも、安全衛生委員や安全教育など、これに類する業務は多いです。楽しく作業をするためには、あまり最初に「危ない」という話はしたくないのですが、言わなくて事故が起きればそれこそ問題なので、毎回苦労しております。
返信する
Unknown (デハボ1000)
2009-06-09 20:54:17
企業内研修のカリキュラム作成をしていた人間としておもうのですが。
安全研修の最初にこれを和訳付で流して、一言感想文をかかせるというのは、現場主任者に「考える」習慣をつけるという意味でもいいとおもいます。さっそくダウンロードっと・・・・
返信する
Unknown (niwatadumi)
2009-06-09 22:32:27
こんばんは。スゴイ動画をありがとうございます。さっそくトラックバック記事をアップさせていただきました。
返信する
コメントありがとうございます (kunihiko_ouchi)
2009-06-10 00:26:23
KADOTAさん、デハボ1000さん、niwatadumiさん、コメントありがとうございます。
>楽しく作業をするためには、あまり最初に「危ない」という話はしたくないのですが、言わなくて事故が起きればそれこそ問題なので、
ご指摘の通りだと思います。この動画はあまりにもインパクトが強すぎますが、厚生労働省のパンフレットや教材ではちょっと訴求力が弱いかなと思います。
返信する