歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

芸「農」人は農業活性化の切り札となるか

2009-06-11 23:55:31 | Weblog
 リーマンショック後の不況の中、新規雇用の創出源の一つとして農業が注目されています。農水省の役人と最近話をする機会があった後輩曰く、農水省氏は「不況になるといつもウチが注目されるんですよ」と述べたのだそうです。

 サービス業、製造業共になかなか景気が良くならない中、慢性的な人手不足の状態にある農業が失業者の受け皿にならないか、と国が考えるのも無理がないように思われます。確かに歴史を振り返ると、かつて農業は多くの失業者を吸収する重要な役割を担ったことがありました。戦後間もない頃の日本は、都市が焼け野原になっている状況の中で、外地から多くの復員兵と引き揚げ者を受け入れざるを得ませんでしたが、これにより発生した膨大な数の失業者のうち相当数を一時的に吸収したのは農業です。しかしながら、戦後間もない頃と今とでは社会構造が変容しており、現在の多くの国民は農村との紐帯を失っているため、都会の失業者が大挙して農業での就業を目指すとは思えません。

 とはいえ、農業に対して国民が抱いていたマイナスイメージが最近少なくなっていることは事実です。農業はダサいというイメージが本格的に変わり始めたのは、イケメンのアイドルたちが様々な農作業にチャレンジするテレビ番組ザ!鉄腕!DASH!!の放映が開始された頃からではないか、と個人的には考えています。彼らはアイドルとはいえ体育会系のイメージを有するメンバーもいるので、農作業を行う姿にさほど違和感は感じませんが、近頃では農業とのあまりのミスマッチぶりに驚いてしまうような芸能人の姿が報じられています。

(以下引用)
 農業タレントといえば、15年前から秋田で米作りをしている俳優の永島敏行さんか、新潟で稲作に励むタレントの大桃美代子さんといった人が思い浮かぶ。ところがここへきて、若い世代にも農業芸能人が急増している。
 ≪米ドルでマイドル≫
 現役女子高生の末永佳子(よしこ)さん(18)は、「米ドル」として売り出し中のアイドルだ。所属事務所によると、「ファンにとって自分だけのアイドルになってほしいとの思いを込め、米(まい)(my)ドルと名付けた」そうで、「米国のお金の米(べい)ドルではありません。間違えないでくださいね」と末永さんは屈託なく笑う。
 5月10日。末永さんは千葉県香取市の水田で、地元の小学生ら30人と田植えに挑戦した。慣れない農作業に悪戦苦闘した。「翌日はすっかり腰を痛めてしまいました。でも日ごろ腰を曲げて草を刈る農家の方たちの苦労が身にしみて、食べ物を残すのはできないと思いました」と振り返る。
 「農ドル」を名乗るアイドルもいる。モデルの田中冴花(さえか)さん(22)は埼玉県の兼業農家に生まれ、小さいころから農業に親しんできた。特技は大型の農機具「コンバイン」を運転することというから驚きだ。
(引用終わり)

出所:http://sankei.jp.msn.com/entertainments/game/090609/gam0906090816001-n1.htm

 こちらが「米ドル」こと末永佳子さんです。


 田植えをやると泥んこになるので、その格好は合理的であるかもしれませんが、虫に刺されたり蛭に血を吸われたりロクなことにはならないと思うのですが。。。
 農業に対する国民の関心が高まることは大変喜ばしいことなのですが、さすがに「米ドル」のような芸「農」人は、農業に対する妙な先入観を人々に与えてしまいそうで、ちょっといかがなものかと感じてしまいます。

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8 コメント

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Unknown (デハボ1000)
2009-06-12 07:56:08
農業に興味のある芸能人さんは高木美保さんのような例もあり、まあわかります。但し「自分の商品価値」を極めて高く要求される近年のアイドル業界を考えると(以下自粛)。
確かに、産業構造という意味では米・雑穀などの素材産業的構成では既存のシステムでは若年層からの遊離はかなり高く成ってますね。但し商品性作物という傾向は産業従事者の学歴や収入に対する志向、従事者の傾向(他業種経験者の転入が多くなりがち)を考えると発達の余地はかなり高いとおもいますね。農業の産業的価値をどう(元来の意味での)リストラすりか農地解放以降改めて有効ではないでしょうかね。
Unknown (ぐるぐる)
2009-06-12 17:16:21
酪農ですが、田中義剛さんのような例もありますし。
数号前の「アエラ」は、農ビジネスの特集でした。農業で起業して高収入の人のレポートもありました。

職業イメージが高まることは、よいことでしょうね。
コメントありがとうございます (kunihiko_ouchi)
2009-06-12 22:46:54
>発達の余地はかなり高いとおもいますね。

>農業で起業して高収入の人のレポートもありました。

確かにその通りです。
しかし、人・モノ・カネを投入すれば確実に生産量が伸びて品質が向上する(売れるかどうかは別として)製造業とは異なり、農業は依然としてお天気次第なところがあります。想像以上に難しい産業だと思います。
工業の農業化 (デハボ1000)
2009-06-13 00:48:13
>農業は依然としてお天気次第
ええ。
ただ、この点は機械工業などの製造業のほうが近寄ってると私は認識しています。為替差益・9.11に伴う需要低迷・リーマンショックや地域戦闘拡大・景気変動・毒入り食品など、本質的には変動要素やパラメーターが、天候変動と同様になっているような。(しかも工業のほうが固定費がやっぱり多いでしょう)
Unknown (ぐるぐる)
2009-06-13 21:49:58
屋内で、電気の光で育てる「野菜工場」なら、天候に左右されることは少ないですね。スーパーなどから注文をもらい、それに合わせて生産できます。

ただ、農業をやろうという人は、生産性を上げようと考えているわけではないと思います。うまいもの、安全なものを作ろう。動機はコレでしょうね。一方で消費者は安全なものを求めている。

これからの農業(農村)は、この両者を結ぶ都市部との交流がキーワードじゃないでしょうか。たとえば樹木オーナー制とか収穫体験とか。素人考えながら、そう思います。

コメントありがとうございます (kunihiko_ouchi)
2009-06-14 19:20:27
>ただ、この点は機械工業などの製造業のほうが近寄ってると私は認識しています。
政情不安の国や中国のように露骨な囲い込みを行う国に大きく依存している、「産業のビタミン」のレアメタルは典型例かもしれないですね。カネを出しても調達できなくなる可能性がありますから。
>屋内で、電気の光で育てる「野菜工場」なら、天候に左右されることは少ないですね。
スーパーで売られている「もやし」がまさにそれで、いまや完全に工業製品といっても過言ではないですね。
農業といえば (MAXX)
2009-06-15 21:59:56
ホンダさんの耕運機のCMが今でも印象に残ってます。
イケメンの生徒がホンダ製耕運機でターンするたびに女子からキャーキャー言われるCM(^^)
儲からないと人は集まらないかもしれませんが、見せ方ひとつで印象はカナリ違いますね。
米ドルの活躍に期待☆
コメントありがとうございます (kunihiko_ouchi)
2009-06-16 00:33:54
こんばんは。
>ホンダさんの耕運機のCMが今でも印象に残ってます。
そういえばありましたねー
>米ドルの活躍に期待☆
まだ高校生なんですね、彼女。一発屋で終わらずにこれからも頑張って欲しいものです。でも、田んぼで水着は止めたほうがよいかと。