さくらおばさんの ひとりごと

日々の想いを綴ります。

土井敏邦 『沈黙を破る』

2009-05-14 | 映画・ドラマ
          

       このシロツメクサが
       この色になったわけではないですよね?

          





 映画を観ました。


                


 「考えるのをやめたとき 僕は 怪物になった」

 チラシにあるこの言葉が、映画を観てはっきりと納得できました。

 怪物にならなければ まともな兵士 になることはできないだろうと、思ってはいました。

 が、映画の中で、イスラエルの若い元兵士たちが語ることは、まさに人間性の破壊です。

 と、このように簡単に言葉にしてしまっては、ほんとうのことから遠くなってしまう、ように思います。

 「イスラエル国防軍は世界で最も道徳的な軍隊」と教えられてきた若者たちが、銃を持って占領地へ赴き、 何をやっても許される 状態がエスカレートする。

 ゲーム機で遊んだ画面がそのまま現実になり、標的は ナマ の人間。

 それはスポーツになり、生きがいにさえなる。

 教えられたことと自分たちのしたこととのギャップに気がついた将兵たちが作ったのが、「沈黙を破る」というNGOです。

 「占領地での、虐待、略奪、一般住民の殺戮等の加害行為を告白することにより、今まで語られることのなかった占領の実態にイスラエル社会が向き合うことを願っている。」(パンフレットより)

 占領地での行為、というと日本軍が中国などの占領地でおこなったことを思い起こしますが、あの当時、自分が所属していた軍の実態を日本の国内で人々に話すなど、とんでもないことでした。

 それは即 死を覚悟する 行為でした。

 が、このNGOの人たちはイスラエル最大の都市・テルアビブで、写真展を開催したり、証言ビデオをつくり、メディアやウェブサイトで訴えたりしています。

 また、イスラエルの国会で質問に答えたりしています。

 この辺はちょっと不思議な感じがしました。

 「私たち皆の“内面”が死滅しつつあるのです。社会の深いところが死んでしまいつつあるのです。それはここイスラエルで社会と国の全体に広がっています。」

 これは元将校のユダ・シャウールさんの言葉です。

 この字幕を私はうん、うんとうなずきながら読みました。
 
 派遣切り、リストラのことを思ったのです。

 自分たちの企業の目先のことばかり考えて、少しでも身軽にしようと、どんどん失業者を増やす。
 情け容赦なく。
 切られる側のことなど考えもしないで。

 このことに無関心だったり、この状態を許したりすることは、 日本人の“内面”を死滅させ、社会の深いところが死んでしまう ことに通じるのではないか。



 『沈黙を破る』 ぜひご覧下さい。

 なるべく早いうちに。

 上映期間が短縮されないように。



            ポレポレ東中野

               http://www.mmjp.or.jp/pole2/



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