システム担当ライブラリアンの日記

図書館システムやサービス系の話題を中心に。最近、歩き旅の話題も。

英語学習で学んだスピーチと効果(「大学の図書館」 30(5), 2011-05)

2012-08-31 17:48:45 | その他
特集 図書館員の外国語事情 という特集に寄稿したものです。

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英語学習で学んだスピーチと効果             久保山 健

■はじめに
 英語の学習というと、英語自体の能力に焦点を当ててしまいがちですが、英語でスピーチの方法を学んだ私の例をご紹介したいと思います。

■学習の経緯
就職して3年たった頃、何か語学を身に付けたいと思いました。そして、大阪市内にあるアジア図書館の語学教室で英語を学ぶことにしました(*1)。当時は、中学校レベルの英語も危うい状態でしたが、中級クラスから始め、その後、上級クラスに移りました。合計4年ほど通ったように記憶します。レベルとしては、中級ではワンパラグラフの英語スピーチが話せること、上級では15分の英語スピーチができることが目標でした。
 それ以外には、NHKラジオの英語講座も使いました。クラスで学んだ学習法、例えば、シャドーイング、オーバーラッピング、ディクテーション(書き取り)も活用しました。ディクテーションも中学校レベルのラジオ講座15分の間に、全てを書き取るのも意外に難しかったですね。

■英語学習の目的
 その英語クラスで強調されたことの一つは、自分の考えを伝える、ということでした。そのためには自分の考えを持つことが必要となります。伝える技術も必要になります。必要な語彙も、特に名詞は、人によって異なります。図書館のことを話すのであれば、図書館のサービス用語は必要ですが、自動車を運転しない人なら、ハンドルの英単語や、保険が”補償する”ことに cover が使えることを知らなくても構いません。
1分間での自己紹介などは、典型的な題材ですが、一方、やり取りが大体決まっているようなホテルのチェックインの練習などはなかったと思います。

 英語そのものを学習する時間もありましたが、そのクラスで教えられたスピーチ関連の項目を簡単にご紹介します。
・トピックセンテンスについて
・スピーチの全体構成: 導入、Body、Conclusion。
・構成それぞれの具体例: Bodyなら、重要度順、時間順、比較など。項目ごとのつなぎ方など。
・デリバリー: 声の大きさや速さ、アイコンタクトなど
・その他: テーマの選び方、聴衆の分析、具体的手段 (即興、アウトライン、文章を作る等)、目的 (伝達、説得、楽しみ等)

 私はこのクラスを通じて、これらスピーチの基礎を身に付けることができました。
 なお、私の英語の師匠は、松中みどりさんで、今も原稿執筆時点で、アジア図書館で英語を教えていらっしゃるようです。

■英語学習の効果
 私にとっての英語学習の効果は、(1)自分の考えを伝える手段を学習したこと (2)英語を通じてインプットが増えたことです。そして、旅などの効果も相まって (3)ものの見方や考え方が発展したことです。
 (1)については、日本人は一般的に自分の考えをはっきり言わない、と言われたりしますが、仕事の場面では、必ずしもよいことではありません。打合せなどの場面で結論から話すのは当然として、何か提案する時に分かりやすく伝えないと、相手にも理解してもらえません。
 その前提としては、自分の考えを持つということもあるでしょう。例えば、職場においても自分の目で見て、何をどうしたいのかということがなければ、働く意味も小さくなってしまうのではないでしょうか。

 (2)のインプットについては、最近はブログやツイッターなど情報量が多くて困るほどですが、英語を学習することによって、英語の能力だけでなく、英語というコンテンツの上にある別のものを身に付けることができます。例えば、NHKラジオでビジネス英語を聴けば、ビジネスの場面での話題や良識を、意識せずとも、インプットすることができます。海外の図書館事情も入手しやすくなり、日本の状況を比較することも容易になります。

 (3)については、書くと切りがありませんが、そのクラスで英語を学ばなければ、今の自分はなかったと感じるほどです。

 一方、(1)に関連して、自分の考えを持つというのは、文化の違いのように難しいと思うことがあります。京都の江上さんがブログの中で北米でのサンドイッチの注文を例に書かれていたのは象徴的なことだと思います(*2)。私なりに要約すると、北米ではパンなどの種類まで希望を伝えないとサンドイッチも食べられない、ということです。カナダのレストランで働く日本人にも、「サラダは要らないから、代わりに○○を」というのも珍しいことではないと聞いたことがあります。
 カナダのスキーリゾートで、一般客を集めて夏用パンフレットについての意見を求める場に参加したことがありますが、そこでも司会者が特に促さなくても、次々といろんな意見が出てきました。
 日常生活での「自分の考え」の質まで違うのかもしれませんが、自分の考えを持って伝えるということは大事なことでしょう。

 また、英語の能力=仕事の能力 とは思いません。確かに、英語の能力は必要ですし、私が上司だとしたら、部下が身に付けている能力として期待することの一つです。しかし、英語だけできても、それは手段に過ぎません。
以前、あるメーカの広報誌だったと思いますが、英語ができる人と、仕事一般ができる人、どちらを採用するかといった文章がありました。その筆者は後者だと書いていました。その理由は、後者は英語をフォローしてあげれば結果が付いてきますが、前者は、英語ができるからといって、よく分からないことを勝手にしかねないから、確かそんな理由だったと思います。

■補足:英語学習で非常に役立ったもの
 私にとって、英語学習で非常に役立った教材を紹介します。
 Hummingbird (ISBN: 1878705008) という7巻セットのビデオです(*3)。この教材は、アメリカ西部の主に白人の英語がモデルのようですが、発音が非常に上達しました。TVニュースでの英語が不思議と耳に入ってきたのも、このおかげだと思います。
このビデオは3巻目にして3文字の発音練習(ABCやCNN)が出てくるという本当に基礎的なものです。けれども、日本語なら全て「ア」の Dad, Mom, Comeの発音方法の違い、Father, Haveがどれと一緒かなど、あまり意識しないこともあるのではないでしょうか。それに、アルファベットの発音のしかたも意外に知らなかったりしませんか。本当に顎が筋肉痛になるほど練習しました。

■まとめ
私の経験を例に、英語を通じて学んだ例を書かせていただきました。
特にこれから英語を学ぼうと思っている方は、まずスタートされて、プラスαの何かを身に付けていただければと思います。ものの見方や仕事上の小さなこと、仕事に対する姿勢など、いろいろ変わっていく一つの方法になるはずですよ。


(1)アジア図書館
http://www.asian-library-osaka.org/ (accessed 2011.4.22.)

(2) 日本の図書館員とアメリカのライブラリアンの一番の違い。(HVUday)
http://hvuday.seesaa.net/article/85585141.html (accessed 2011.4.22.)

(3)大阪大学附属図書館にありますが、DVDも販売されているようです。
Hummingbird English Pronunciation Course
http://www.humbird.com/ (accessed 2011.4.22.)
 日本語ページの方に、サンプル動画、DVDの販売ページがあります。

(くぼやまたけし 大阪大学 総合図書館)
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※勤務先の機関リポジトリには、基準に合致しないとのことで登録されなかったので、ここに掲載します。内容が軽すぎたのでしょうね。
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