システム担当ライブラリアンの日記

図書館システムやサービス系の話題を中心に。最近、歩き旅の話題も。

(2012.6.2)大図研京都支部ワンディセミナー「ディスカバリーサービス 導入とその後について経験者が語る」

2012-06-03 21:22:46 | イベント参加
(要約)
・非常によかった。ディスカバリーサービスの基礎や考え方を、いくつかの調査などを引用しつつ解説いただいた。
・最後の方の学習支援との関係の話は意外で面白い報告。
・マニュアルが必要なシステムなんてあれだと言ったU先生の言葉が思い出された。逆に広報ツールに使うつもりくらいで丁度よいか。 ←思い出されるくらい状況が変わっていないということかもしれない。
・@argさんによる togetter
http://togetter.com/li/313895

・やはり、環境や社会の変化、ユーザの変化を、システム上や物理空間のサービスにどう反映するかというのが大事。当たり前だけど、自分のサービスを規定するのはユーザ、という視点を持つようにしたい。

以下、例によって、自分なりの理解と、自分なりのメモです。

--------------
場所:キャンパスプラザ京都

■基礎知識(飯野勝則・佛大図書館)
(1)用語の話
・今日は ディスカバリーサービス=Next Generation Catalogue 

(2)図書館と検索ツール
・OPACからAtoZ 横断検索やら
・検索対象の整理: 冊子、電子(メタデータ)、電子(全文)

(3)NGC
○出現のトピック
 ・1997年 論文に登場
 ・98年 Aquabrowser Library プロトタイプ
 ・2006年 Endeca登場
 ・2007年 Marshall Breeding, NGCに関する総括的な論文発表
○代表的なNGC
○アメリカにおけるNGCのインパクト
 ・貸出冊数の急落を防止
 ・目録データの矛盾の修正
 ・ファセット分析への積極的対応(件名やら)
 ・目録ワークフローやポリシーの修正
Nagy Andrew さんの論文から◆

(4)NextGeneration?
○次世代度調査 北米260大学での調査
 カレントアウェアネス E1209 から
 ・「ワンストップで統合的に検索」?

(5)Wwb Scale Discovery (WDS)
 NGCの一種としてのWDS という理解
 ・World Cat Local
 ・Summon
 ・Primo Central
 ・EBSCO Discovery Service

(6)「ウェブスケール」概念
 ・巨大な量的概念を意味する言葉
 ・OCLC
  Institution Scale の対義語
 ・Marshall さん
  新たなパラダイム。
 ・WSDに見るWebスケール
  「検索モード」に見られる
  グローバルな検索モード(not only ローカル)
  多層的なスケール概念(ローカルスケールでも検索できる)

(7)機能から見たWSD
 ・クラウド
 ・メタデータを統合した検索用の「セントラルインデックス」
 ・ハーベストの仕組み
 ・単一窓。検索結果すべてを関連度順に表示(横断検索では無理でしょ)
  ↓
 ・HWのメンテフリー
 ・反応速度
 ・元のDBがダウンしても問題なし

(8)Next Generation
○次世代度調査の結果
 ・NGCの中でもWSDがより「次世代」
 ・セントラルインデックスを有するWSDであれば、未導入の機能への反映も期待できるのでは。
○WSDを導入する意義
 ・「形のある図書」だけを提供する時代の終焉
 ・図書館機能そのものの変化
  ...など◆

■佛教大学の導入経過とその後(飯野)
(1)導入までの流れ
・横断検索、いくつかの不満
・2010年度のシステム更新に合わせて改善
 eXtensible Catalog (XC) に魅力を感じるも...
・Summon選択の理由:
 クラウド、十分なコンテンツ対応
・導入前の課題
 日本製の図書館システムとの連携実績がない など
 日本語対応、簡易書誌や削除書誌の対応 など 解決におよそ1年

(2)運用開始と気づき
・一次情報への誘導の点で「単独では」十分な能力を発揮できない
  →リンクリゾルバの重要性
・ダイナミック・リンクリゾルバという提案

(3)導入結果と評価
○波及効果
 来館者数が減る中で(PCを館外に移したり)、検索利用は増加
 DB利用が激減
 ・Summon経由のOPAC利用が増えた
 ・貸出108%増加
 ・出納式雑誌の利用が107%増加

 ・ILL減少(複写依頼はアメリカでの報告と同傾向)
 ・オンラインサイトを通じての非対面申込における謝絶率の減少(学内で見つけられるようになった?)
○減少するDB利用
 ・PsycInfo、Factiva.com、MAGAZINE PLUS
  、、、Summonに搭載されていない
 ・前年度比 マイナス90%以上とか、80%以下とかのものも
○運用1年での評価
 ・外部API等の活用はもっと
 ・ハーベストの壁、削除書誌、ファセット分析のデータ不足、従来からのOPACの扱い、ローカル画面を手軽にカスタマイズしたい、CSSやJavaScriptの導入
 

■立命館大学の導入経過(安藤正玄・立命館大学図書館)

 主に導入過程を

1.ディスカバリーサービスを導入した背景
・OPAC中心主義の限界
・業務系よりサービス系
・上司「ラーニング・コモンズの次は? システムで何かできないの?」

2.お金の工面をどうしたか
・リース期間 4→5年

3.なぜEDSか

4.工夫したところ

5.苦労したところ
・既存システムの入替作業にどうしても注力せざるを得ない
・OPACの「貸出中」等の制御も新OPACが固まらないと、連携テストさえできない

 →リンクリゾルバ大切
 →システム更新とディスカバリーサービス導入時期はずらすべき

6.今後
・検索の絞り込みだけでなく、広がりも
・一次情報にたどり着ける仕組み

■発表者同士の質問
○日本語対応が心配な中、導入した決意
・導入した大学図書館サイトを日本語で検索 →いまいちだったので、提案すればやってくれるだろうと。

○上層部への理解をどのように?
・システム更新と合わせて。
・ディスカバリーサービスを同時にするのは無謀です。同時にしたいという気持ちは分かりますが、助走期間は長く取って、、、◆

○最近も変わったけど、工夫は?
・某大学と協力したり、ベンダーに対して急いでやってもらうように。
・いいものは全体に適用したいというベンダーの考え方も。

○学生向け、研究者向けの活用イメージ
・「おきがる検索」という考えなので、研究支援はあまり考えていなかった。使ってもらっているような数字も。

○ディスカバリーサービスもあくまで「検索」。学習効果は?
・日本語のDBが使われるようになったのは、いいこと。
 システムを通じてできちゃったのかも。
・情報の使い方を学んできている印象。図書館の本とインターネットだけでなく、DBも使うようになってきたのではないか。

 館内PCでSummonから使っている学生をよく見る。キクゾウの利用が伸びているのも、広い意味では学習支援になっているのではないか。◆

・学習支援の文脈での影響は「予見を超えていた」
 Summon対応のものは増えることは予想していたが、キクゾウなど周辺のものが伸びたのは意外。

■フロアも交えて
○ユーザに対しての広報。誘導、位置づけ
・(飯野)基本的に野放し。図書館のポータルサイトから。ガイダンス等で話はしますけど、積極的にはしていない。
・(安東)まだあんまり。VPN経由で。
 広報は積極的にとは考えていない。Googleを目指すという考え方、詳しいマニュアルを使うつもりはない。しかし、詳細検索、アラート機能のようなものなどは、何か必要かも。◆

○よく似たDBをハーベストしたら重複?
・Summonでは人為的に統合作業している。「スーパー・メタデータ」と。
 当然タイムラグも。
・EDSもしているらしい。


■メモ
・車の運転
・登山
・大学教育
・パソコン
・地図の利用
・賃貸マンション、アパート探し
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