左足が呪われてます。
数日前、タンスの角に小指をぶつけて爪を割って悶絶、まぁそれは仕方ないとして。そのあとやはり足が上がりにくくなっていたのか、古いテレビ台の角に思いっきり膝の少し下の脛部分をぶつけて七転八倒、これは少し傷がついただけでしたが痛みが残って正座状態から立ち上がるのがツラくなりました。一日で2か所も左足をぶつけたのがまずかったか、翌日朝起きてみると今度は踵が痛くて力が入らない。これは傷がついているわけでもないので触ったり叩いたりしてもなんともないのですが、歩くときに力を入れると痛くなると厄介なものでした。特に階段の下りの際に爪先立ちになるのが一番痛い。箇所が踵なので鎮痛剤入り湿布薬を貼る事も出来ず、なるべく左足に力を入れないようヘコヘコ歩くのがやっとでした。ただ、時間が経つにつれて痛みは引いていき、現在は階段を下った後に意図的に体重を掛けたりしない限りはさっきの脛の傷跡の方が痛いくらいでどうってことはない状態まで回復しましたが、こうも短期間に左足が痛む現象が続くと呪いをその理由にしたくなっちゃいます。
話変わって。
ちょっと前にこんな文章が公開されました。
テレビのCASがまたおかしな事に。これで消費者の理解は得られるか?
内容としては、「4K48K放送に、従来よりもさらに強化されたCASが導入、それも消費者負担で導入される。こんなことで消費者は納得するのか!?」という疑問の投げかけです。アクセス数は多いようですが、Twitterなどを見る限り、一般の人がこれをどう思っているのかもう一つ見えてきません。あまり話題になっていないようです、というよりもはや話題になるほど4K8K放送には世間は注目していないのでしょうか。ちなみにわたしは、「ああ、小寺信良氏もとうとうこんな文章を書くようになってしまったか」と嘆いておりますが。
と、いうのも録画した番組をコピーすることがあたかも"違法"行為に見えるという、デジタル放送移行期間中に自称有識者がさんざん行ってきたインチキな印象操作が行われているからです。しかも、当時の小寺氏はむしろそうした認識に異議を唱え、録画を規制するやり方に反対する立場をとっていたのに、です。この文章では例のBLACKCASを取り上げ、「99%の消費者は、リスクも高く手間もかかる違法なルートを選んで、4K放送を録画・コピーしたいなどと思わないはずだ」と放送の正規録画手段、所謂合法手段以外の録画・コピーは違法だ、のように書いていますが、これは全くの間違いです。まずなによりBLACKCASと録画番組のコピーには関係はありません。BLACKCASを使おうと差し込む機器が普通のレコーダーであれば録画規制の対象となり、コピーは行えません(ただし放送や自称著作権関係者は単なる録画自体を"コピー"とみなす、一般人から大きくかけ離れた価値観を持っているのでそういう意味でのコピーは行われているとも言えますが)。BLACKCASを規制の対象から外れた使い方のできる機器と組み合わせて初めてコピーが行えるわけですが、そこはもちろん無視されています。それになにより録画番組をコピーしたい人のほとんどは「有料放送を無料で録画コピーさせろ」などとは言っていません。「無料放送にわけのわからない規制をかけて録画を不自由にさせ、楽しみを奪うな」と言っているのです。そうしたおそらく無料放送におけるCASの存在を苦々しく思っている、わたしを含む人たちをすっ飛ばして、世の中のテレビ番組を録画しているには規制録画をなんとも思っていない人かBLACKCAS8を使って有料放送を違法に視聴しているかどちらかしかいないかのように書いているのです。こうした極端な定義も移行完了以前にはよく見られました。
おまけに「消費者にコストを転嫁するという重要な問題を、放送局だけしか参加していない一般社団法人で、しかも非公開で決めるというのはおかしくないだろうか」と諸悪の根源になっている一般社団法人、記事によると"
一般社団法人新CAS協議会"とあります。記事と同じリンクを貼っておきますが、この新CAS協議会、放送局だけしか参加していないのは確かなんですが、サイト内を見ると放送局は放送局でも"スカパーJSAT"、"日本放送協会"、"WOWOW"、"スター・チャンネル"の4社に加え、"日本ケーブルテレビ連盟"が入っているだけ。全部視聴者から直接お金をもらって経営しているところばかりなんです。これらにしてみればB-CASみたいな天下りの寄せ集めのせいで誰も責任も取らないCASでは信用ならないのは当たり前です。「消費者にコストを転嫁する」なんて書いてますが、新CASが制御しようとしているのはテレビよりも録画機の方ではないでしょうか。有料放送を録画することを前提とした録画機なら、コスト転嫁もへったくれもありません。消費者は納得して買うんですから。もちろんテレビを含むすべてのチューナーに新CASのチップ装着が義務付けられるのなら別ですが。どちらかと言うとこの記事、そうしたCASから外された地上波系列放送局が新CASに対する心象を悪くするために書かせた記事、と読んだ方がシックリくるんですよねぇ、わたしには。「うっとうしいカード」なんて表現も以前は地上波放送局から粉掛けられたようにしか見えない記事によくあった表現ですし。前に何度も書きましたが、無料放送を見るためだけのテレビのB-CASカードを煩わしく思う時なんて最初のセットアップの時だけで、あとはすぐに忘れられてしまう存在でしかないんですよ。わたしも先日テレビが映らなくなった原因がB-CASカードのリーダー部分が経年劣化によって緩んだためだった、という結論にたどり着くまで時間がかかったくらいですし。まぁそういう意味ではうっとうしいカードであることは間違いないのですが。
地上波放送局が自分らをないがしろにして他社連合だけでCASを進められることに不満を感じるとしたら、それは例の4K8K放送録画禁止問題です。あれを主張していたのは地上波キー局系放送局でしたしね。記事内には「4K放送では、正規の録画手段がきちんと用意される」とあります。もちろん有料放送は何かしら用意しないと顧客にそっぽを向かれますから用意するでしょうが、無料放送はどうなんでしょうね。やはり地上波キー局の主張通り録画禁止が有効になってかつ録画禁止の番組ばかりになるんでしょうか。もし新CASがそうした録画禁止に対応できないようだったら地上波は新CASを認められないでしょうし。
で、あの問題はどうなったのかと総務省の報道用資料を見てみてもその後どうなったかの資料を見つけることができません。小寺氏も「消費者にコストを転嫁するという重要な問題を、放送局だけしか参加していない一般社団法人で、しかも非公開で決めるというのはおかしくないだろうか。全部決まってから、ハイじゃあそういうことになりましたのでお金払ってください、と言われて納得できる消費者はいないだろう。」とは書いてますが、録画禁止問題が非公開で決められるということにおかしさを感じないのでしょうか。ちなみに総務省の4K放送に関する資料はもっぱら4K放送のネット配信に関するやり取りとなっております。
「視聴環境の変化に対応した放送コンテンツの製作・流通の促進方策の在り方」
(平成28年諮問第24号)に関する情報通信審議会からの中間答申
4K放送を含む次世代放送の取り組みとして、ネット配信による同時視聴を可能とすべく技術的提案や法整備の必要性が提唱されています。が、だからと言って番組がネット配信だけで見られるようになるのか、と言えばどうやらそうではなく、放送は行っているのに配信では視聴できない状態("フタかぶせ"などというふざけた名前が付けられているそうです)にもできるようにすべき、と意見が出ているようですし、おそらくそれは通るでしょう。また、4K配信には設備費用もかかりますしテレビ局にとってはその必要性、つまりビジネスに活用できるようにしなければならないともあるのです。それはその通りですが、"フタかぶせ"可能と合わせると
・スポーツ中継などを除き、ほとんどの番組が"フタかぶせ"
・そうでない番組の大半は「見逃し視聴」の名のもとの有料配信のみ
・有料配信はテレビで見られるようにするのはもちろんパソコンやスマートフォンでも受けられるようにすることによって視聴可能機器の数を増やす
・その展開を一般的にするため、放送の録画は禁止
という展開になるのが一番ありそうなんですが。配信系の動画は録画保存が出来ないのが当たり前ですでに受け入れられている、だから放送も禁止可能にしてしまおうと考えるかも知れません。私的利用の複製権に反する問題も、今進めている放送の配信に関する法整備の中にどさくさに紛れて権利者側の複製拒否権を優先できる項目を入れてしまえば悪い意味で解決しますし。
ただの妄想ですが、録画させたくない地上波系と規制すれば録画はできるべきと考える有料放送系で対立しているので話が進んでいないように思えます。ただどっちに転んだところで消費者が付いてくるとは限りませんが。
JEITAの資料によると今年になって6月末までに出荷された(売れた、ではない)4Kテレビは69万8千台。テレビ全体が219万3千台ですから1/3にわずかに届かない程度を占めます。テレビの総出荷台数はどんどん減っているのに、4Kテレビの台数は確かに増えているんです、例え売り場にちょっといいテレビが欲しいと思うと4K対応しか売ってなかっただけだとしても。それでも2016年度までの累計216万2千台とあわせて286万台。買いなおしを無視してそれが世帯ごとに1台ずつ使われていると仮定しても、普及率は5%を少し超えただけです(国土交通省資料によると平成25年度の統計で日本の総世帯数5245万3千)。先の総務省の答申資料本文10ページには「4K(対応)テレビは、2016 年 12 月末時点で累計出荷台数が 216 万台に達し、2020 年までに約 2,600 万台の普及が予測される」とあります。が、2020年ってあとたった2年半後なんですよ。2021年3月までは2020年度だとみても3年半強~いや、事実上オリンピックを期限と考えると3年しかありません。3年で2300万台強売るには、一年で800万台弱売る必要があります。ちなみにやはりJEITA資料によると2016年の薄型テレビ全体の出荷台数で474万8千台。これからの3年間はこの昨年のテレビ全体の2倍近い台数を4K対応以上だけで売る、という大偉業をなしとげなくてはなりません。2600万台というのは単に以前から目標とされていた「2020年までに普及率50%」をテレビの台数に換算しただけかと思いますが、もし今検討されている4K放送のやり取りがこれを前提としていたのなら、捕らぬ狸の皮算用、大山鳴動して鼠一匹のことわざがしっくり来るような事態となりそうですが。多分配信を含めれば視聴可能と拡大解釈してスマホタブレットPCを加えてこの数字に持っていくオチになるんでしょう。
録画やCASに関する身勝手が無視されず、わたしらマニアの怒りに触れるような事態になればいいですね、と放送業界には皮肉を言っておきましょう。なお、わたしは録画禁止問題以降4K放送を嫌っているため、何を書いてもこういう中身になってしまいます。ご理解をよろしくお願いいたします。