(富山県中新川郡立山町芦峅寺 中部山岳国立公園 2000年7月14日)
室堂平を下る頃から、辺りはガスが立ち込め始めた。下界に近づくにつれて気温も夏を思い出すように高くなってきた。やがて杉の原生林にさしかかると標高977mの美女平へ。我が住居近隣の本宮山より高いが、昼過ぎということもあってか、かなり暑く感じた。ここから弥陀ヶ原方向に目を向けるとカルデラを見ることができる。美女平の由来は、飛鳥時代の越中国司佐伯有若の子、有頼によって立山が開山されたことに始まる。有頼には許婚者の美しい姫がいた。ある時、有頼に逢いたい一心で姫は立山に登ったが、有頼は山を拓くまで帰ることはできないと、素気なく姫を追い返した。姫は仕方なく山を下りる途中、一本の杉に「美しき 御山の杉よ 心あらば わが ひそかなる 祈り ききしや」と祈ったところ、後にその願いが成就し、二人はめでたく結ばれたという。その後この杉を「美女杉」と呼ぶようになり、この美女杉のある辺り一帯を「美女平」と呼ぶようになったのだという。
この後は立山連峰から発する常願寺川に沿う富山地鉄に乗り富山市へと向かう。
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