kasaiさんの江戸甲府物語

江戸時代の甲府の様子を庶民の生活を中心につづる。

第145回 甲府市のガイドブック3

2017-08-02 09:04:25 | 説明
商店のガイドブック3


 江戸時代もガイドブックが出版されています。
ガイドブックには嘉永7年(改元されて安政1年、1854)に出版されたものと明治5年(1872)に出版されたものがあります。嘉永7年(改元されて安政1年、1854)に出版されたものは「甲府独買物案内」とタイトルがつけられ、明治5年(1872)に出版されたものは「甲斐市中買物独案内」とタイトルが付けられています。明治5年の「甲斐市中買物独案内」は嘉永7年の「甲府独買物案内」の様式を踏襲しており、両方とも扱っている商品ごとにイロハ順で店が掲載されています。

 今回は明治5年のものです。明治5年版は国会図書館のアーカイブに収録されており,インターネットを通じて閲覧できます。また,山梨県立博物館にも収蔵されていますが,山梨県立博物館の者は現存するページが少ないようです。国会図書館所蔵の「甲斐市中買物独案内」には453件の記事が掲載されていますが,複数の商品を扱っている店の場合は商品ごとに掲載されているので,同じ店が複数回あらわれています。
「甲府独買物案内」と「甲斐市中独買物案内」では166軒の店が共通しています。代替わりにより名前がかわっている者や名前を変更している者もあると思いますので、実際はさらに多くの店が共通している可能性があります

 明治5年の「甲斐市中独買物案内」には次のような特徴があります。
(1) 輸入品を扱う店が増えています。
扱っている商品には、”西洋蝋燭”、 “本朝舶来唐物類”、 “和漢西洋書物” 、”西洋和漢筆墨類”、”本朝舶来砂糖”、”舶来小間物”などの輸入品を扱っていることを示す表記が見られます。
(2) 幕末に急速に台頭した商人の名前があらわれています。
若尾逸平、京屋伊七がその代表です。若尾逸平と京屋伊七は糸繭綿商として掲載されていますが、輸出品である生糸を扱って急速に台頭した商人です。
(3) 料理屋や鰻、蕎麦の店が掲載されています。
料理屋として割烹松亭、松鶴楼などが掲載されていますが、これらは会席料理です。蕎麦屋としては柳町横丁の奥村が掲載されていますが、奥村は現在でも続いています。この外鰻のかば焼きや茶漬け、すしの店が掲載されています。

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