梅様の教室

独り言

西出雲町の出来事

2013-02-20 17:36:06 | Weblog
  少々ニュースとしては古くなりますが、先日島根県西出雲町という小さな町でちょっとした騒動があったことを覚えているでしょうか。そもそもは会社社長かなにかという人物が町に対する感謝の気持ちを込めて、古代ギリシャのダビデ像とミロのビーナス像(かなりでかい)を贈呈し、町がこれを町民が集まる公園のような場所に設置したことに発しています。これに対して町民の間から、素っ裸の像を誰からも見えるような所に建てられて困っているという苦情がかなり出て来たというものです。

  どちらの像も美術の教科書に写真が掲載されている全世界的にポピュラーなものではあるのですが、いざでーんと日の当る所に鎮座している姿を見ると、思わず眼をそらしてしまう人もまあ、確かにいるのではないかと思います。

  ただ今回の騒動の報道を見て感じたのは、これらの像は芸術作品なのだから問題ではないと主張する人の口ぶりの裏に、「芸術がわからない奴はこれだから困る。」という傲慢さと軽蔑の気持ちが透けて見えたのは問題があるということでした。

  私は不幸にして芸術を解さない人間なので、ダビデやビーナス像を見れば、芸術としての美しさを感じ取る以前に、真っ裸の男と女の像が立っていることに違いはないではないかと思ってしまいます。第一あれは古代ギリシャ人が考えた、いわゆる白人の体型の理想像であって、我々モンゴル人種には到底届かない姿です。あの像は日本のどこにおいても、風景に溶け込める代物ではありません。

  私が思うに、問題なのはギリシャ芸術を解さない住民がいることではなく、保守的な気風を持った田舎町にあんな外人さんの裸の像を持ち込んだ、会社社長という人のセンスのなさです。町に感謝の意を表したければ、他にいくらでも方法はあったはず。一番望ましいのは、感謝の気持ちを込めて何か形ある物を寄贈したいので、町として希望する物はないか、直接問い合わせることでした。さもなければ島根県という古事記の舞台になった由緒ある土地柄を踏まえて、スサノオの尊の像でも贈呈しておけば何も問題はなかったのです。

  芸術を解さない人はこれだから困るとでも言いたげに胸を張っていた人々の猛反省を促したいと思います。像の設置に反発した人には何の落ち度もありません。