川崎フランク

13年は山歩き、自転車、自作PC&デジタル1眼レフ(入門)、NFL(TV観戦)、3D映画鑑賞など、のんびりできるといいな

S/キングの『デスペレーション』 怖かった。 ほか

2009年05月24日 | 読書
■通勤電車で眠い目を擦りながら、1週間かけて読みました。砂漠にポツンと孤立した鉱山の街が全滅する憑依物語です。

最後の終わり方はあっけなかったですが(わざとかもしれませんが)、途中までは登場人物が訳の分からない怪人や獣の類に追いかけられながら、世にも恐ろしい地獄絵のような光景を街の中で見つけて行き、徐々に謎解きになっていくのですが、著者が各場面の光景を細かく描写するから、まるで映画を見ているようにおぞましい世界が頭の中に映像となって浮かんでくる。ここら辺は日本の小説において直接登場人物の心情を文章にしてしまうのとは異なり、客観的な描写がより読者の心を不安にさせる効果が有るのだろうか。とにかく怖い。

S・キングが凄いなと思ったのは、怖い話をするのに怖さの表現のエスカレーションだけではなく、場面ごとに、ごく普通の人の日常で経験するような細かな心の動きのようなもの、例えば家族同士での会話の中でふと安心感や幸福感を得るとき、など怖さ以外の情緒をふんだんに織り込んでいる。読者は「有る有る」と認めざるを得ないような内容を、しかもごく自然に。それゆえ、段々話にのめりこんでいくのかな。スイカの甘さを引き出すために、あえて塩を振るような。ストーリー・テラーの熟練技なり。

■山田風太郎の『柳生忍法帳』も読んだが、『魔界転生』の方が圧倒的に面白いことが分かった。『柳生』はおどろおどろしさを出そうと思ったのだろうが、女の裸のシーンが多すぎて、驚きを通り過ぎて大衆的なエロ小説のように出来上しまっている。また、十兵衛が強すぎて、『魔界』のようにはらはらどきどきできる場面が無かったようだ。

■『野田のトリビア』という隣町を紹介した本は、読み物ではなく、写真入で見開き2pごとに野田の地理・歴史・見所などを紹介するガイドブックだが、予想外に内容が充実(面白いテーマが分かりやすく)しており、野田を散歩しなければという気にさせられた。早速、茂木本家美術館は会社の休みの日に行ってみた。名誉館長オススメの『鯛』も良かったが、富士山ばかりのコーナーも面白い(富士山を描いた絵はほとんどが同じアングル、つまり大崩のあるほうから望んだものばかり、ということに初めて気づくのも、あれだけ並べて居ればこそ)。特別展は「相撲絵特集」で国貞が中心。これも、ちょうど相撲絵ばかりの写真集がなかなか図書館で見つからなかったので、うれしかった。庭もすっきりした綺麗なもので、完全予約制なので静かに絵画鑑賞できる。


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