コメちゃんの悪性リンパ腫闘病日記

悪性リンパ腫になってからの生活の様子と病気についての考え方を書いていきます。

グルタチオンについての考察

2017-01-19 12:30:56 | 日記
健康づくりの勉強の中でよく目にする「グルタチオン」について考察してみた。
グルタチオンは抗酸化物質の1つで
アミノ酸のグルタミン酸、システイン、グリシンが、この順番でペプチド結合したトリペプチドである。
構成アミノ酸の中のシステインが持っているチオール基(硫黄)を用いて
過酸化物や活性酸素種を還元して消去するという体の中で最も重要な抗酸化物質の一つとなっている。
また様々な毒物・薬物・伝達物質等を細胞外に排出する働きもある。
ある種の金属イオンは非酵素的にグルタチオンと結合するので
グルタチオンとこれらの物質の結合物(抱合体)は細胞外に排出され
細胞から有害物質が取り除かれる。
哺乳類の場合は抱合体は血中を移動し、腎臓まで運ばれ
腎臓でこの抱合体はメルカプツール酸に変換され、胆汁中や尿中に排出される。
グルタチオン合成はγ-グルタミルシステイン合成酵素によって
グルタミン酸とシステインがくっつきγ-グルタミルシステインとなり
次いでグルタチオン合成酵素によってγ-グルタミルシステインとグリシンがくっついてグルタチオンが出来る。
それぞれの酵素反応にはATPが必要である。
グルタチオンは過酸化物や活性酸素種を還元して、これらを消去するが
自らは酸化され、グルタチオンジスルフィド(酸化型)となる。
体は細胞内のチオール環境を維持する為に、
グルタチオンレダクターゼ(還元酵素)により、
グルタチオンジスルフィド(酸化型)をグルタチオン(還元型)に戻す。
これにより細胞内はグルタチオン(還元型)が高濃度に維持されていることになる。
この酵素反応にはNADPHが必要である。
このNADPHはグルコース解糖系の分岐経路のペントース・リン酸経路で作られる。
また補因子としてFADが用いられる。
グルタチオン分解は、まずグルタチオンγ-グルタミルトランスペプチターゼ(γ-GTP)によって
グルタミン酸とシステイニルグリシンに分解され
次いでジペプチターゼによって
システインとグリシンに分解される。
グルタミン酸とシステインの結合は通常のペプチド結合とは異なったγ-グルタミル結合となっており
このためグルタチオンは、ペプチドでありながら、ほとんどのプロテアーゼに対して耐性であり、分解されない。
グルタチオンを直接分解できる酵素はγ-グルタミルトランスペプチターゼや
その近縁のごく限られた酵素のみとなっている。
またγ-グルタミルトランスペプチターゼは細胞外に存在する酵素であるため
グルタチオンの分解は細胞外でしか行われない。
これらのことから細胞内はグルタチオンが高濃度に存在し、抗酸化物質として働ける環境にあると言える。
これまで述べたグルタチオンの働きを考えると
グルタチオンの合成を増やして濃度を高めることは
発がん予防の観点からは
抗酸化力を高め、遺伝子のダメージや変異を防ぐ効果が期待できるが
抗がん剤や放射線治療を行っているとき(無理に酸化ストレスを与えている)は
反対にがん細胞が死ににくくなってしまう(耐性を持つ)ので
グルタチオンの濃度を高めることがいいとも言えなくなってくる。
これががん細胞に対するグルタチオンの2面性である。
いくら体にいいものでも、使い方で良くも悪くもなる(時と場所を選ばないといけない)といういい例です。
またグルタチオンは他の抗酸化物質を還元型に戻す働きもあります。
酸化されて働きを失ったビタミンC(デヒドロアスコルビン酸)を
グルタチオン-アスコルビン酸回路のデヒドロアスコルビン酸レダクターゼによって
還元型ビタミンC(アスコルビン酸)に戻す働きです。
グルタチオンとビタミンCはこのような関係にある(片方があり過ぎるともう一方は足りなくなる?)ので
それぞれが抗酸化物質としてうまく働くバランスというものがあります。
バランスが崩れるとかえって酸化ストレスを増すことに繋がります。
高濃度ビタミンC療法が無理に抗酸化物質のバランスを崩して
酸化ストレスを増している方法だと思います。
ビタミンCも酸化型ビタミンEを還元型ビタミンEに戻す働きがあるので
抗酸化物質のことを考える時は抗酸化物質全体(体全体)のことを考え
それぞれが上手く機能するようなバランスを考えるべきだと思います。
人間の恒常性は血圧・体温調整にしろホルモンバランスにしろ電解質濃度にしろ、体全体の絶妙な調整機構で保たれています。
病気の予防やがん治療を考える時、それを忘れて部分だけで考えてしまうと
体全体の健康が損なわれる恐れがあるので、
「木を見て森を見ず」にならないように気を付けたい思います。


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