koheiのおもちゃ修理記録

宇部おもちゃ病院 毎月第2土曜日 13:00~16:00
宇部新天町の西の端、市民活動センターで開院してます。

6/8 おもちゃ修理(1件)

2014-06-08 | おもちゃ

1件対応、トーマスのちょっと大きな機関車でした。
20140608_anpantrain
メインスイッチを入れて、煙突の後ろのでっぱりを押すと、音や音楽がなりながら、前後に動いたり、くねくね蛇行したりする、といったおもちゃですが、動きは問題ないけど、音が全くならなくなった、との事。

結論は、「プリント基板のパターン断線」でしたが、そこに至るまで、だ~いぶ時間掛かりました。

まず、電池は単3×4本ですが、入っていた電池がエネループだったので、念のため新品のアルカリ電池に替えてみましたが、やはり音は鳴らず。(※エネループ等の充電式の電池は、1本当たり1.2V。4本なので、普通の単3電池だと6.0Vのところ、エネループだと4.8Vしかないので、ICがちゃんと動かないことがある。)

まあきっと、スピーカーの不良か断線だろうと、分解していきます。
表にネジがほとんど見えてない。シールの下に3箇所ネジ穴があり、はがそうと試みましたが、きれいにはげず、しかたなく「ズボッ」と行きました。
車輪を片側外して、車輪の陰にネジ2箇所。計6箇所ほどネジ外すと、胴体真ん中から2分割できました。

スピーカーは良さそう、スピーカーへの配線も良さそう。しかたなく基板を確認。
手すきの電子に詳しい無線系ドクターといっしょに、あちこちつついていきました。

基板(表)はこんな感じ。
20140608_anpantrain2
写真左側、モーター駆動回路の部分でしょうか、見たくないほどトランジスタがいっぱいついています。
スピーカー線は、右よりの白線2本で、この周りの部品数はごく少ないです。
スピーカーのプラス側の線は、3本足の部品に繋がってます。刻印は、Mなんとかの「D331」。「Mなんとか」の部分が見慣れなかったので、3本足のメロディICかも、と思ったのですが、手伝ってもらったドクターが「表の基板に"Q4"と書いてあるので、トランジスタでしょう。」との事。「2SD331」でしょうか。モーター駆動回路に使ってあるトランジスタは、中国製のS8050とS8550の様ですが、音声増幅のみ国産品を使ってるのでしょうか?
(※家に帰ってネットで検索したところ、三洋セミコン等の低周波増幅用2SD331で間違いない様でした。)

なんということ無いTr:1石の増幅ですが、回路を書くと、こんな感じ。
Photo
念のため、手持ちのスピーカーに取り替えてみるけど、鳴らず。
手持ちのクリスタルイヤホンを、専用ICの出力に当てると、音がする! 専用ICがだめならもう治りませんが、これなら直せるはず。
基板上のままで、電解コンデンサ確認→OKそう。同じく基板上のままでトランジスタ確認→OKそう。SPマイナス側に、意図は良くわかりませんが、小電力用ではない、1Aぐらい流せそうなシリコンダイオードが入っていますが、順・逆ともにOKそう。
しょうがなく、トランジスタ一旦外して、テスタと自作のトランジスタチェッカで確認→OK。念のため、手持ちの2SC1815を仮付けしてみるも、変わらず、結局元のトランジスタに仕戻し。

...さて、こんな単純な回路、鳴らない筈がありませんが、鳴りません...

行き詰った末、初心に帰って、もう一度クリスタルイヤホンで、どこまで音が来てるか確認すると、
①電解コンデンサの入口側端子:来てます。
②電解コンデンサの出口側端子:来てます。
それなのに、③トランジスタのベース端子:来てない!!!

という事で、見た目には全然分かりませんが、コンデンサ-トランジスタ間のプリント基板のパターン断線のようです。
きれいにレジスト掛けてあるちゃんとした基板でしたが、どうも、コンデンサの足をハンダ付けしてあるランドの際で、パターンが切れてるみたいですね。コンデンサの足からトランジスタの足まで、ビニール線で短絡したところ、鳴る様になりました。

基板裏側(ビニール線で短絡後)は、こんな感じ。
20140608_anpantrain1
これで、違うのに付け替えてたスピーカーを戻して、胴体組み戻し。
煙突後ろのSWの辺とか、ちょっとめんどうでしたが、何とか組み戻し、試運転→OK!

2歳くらいの男の子が、うれしそうに抱えて帰っていきました。
良かった良かった。

コメント (4)
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