koheiのおもちゃ修理記録

宇部おもちゃ病院 毎月第2土曜日 13:00~16:00
宇部新天町の西の端、市民活動センターで開院してます。

5/10 宇部定期開院

2014-05-18 | おもちゃ

今日はいつもの第2土曜日、宇部おもちゃ病院の定期開院日です。

1件目は、よく来る「歩いて鳴く犬のぬいぐるみ」です。
この子は見た記憶があります。だいぶ前(2013/4/13)に見た子と同じ子ですね。
20140510_dog1
電池ボックスの端子が液漏れでサビサビ、スライドSWが動かなくなってる、という状態でした。
他のベテランドクターが対応して、電池端子の磨きまでやりましたが、SWは身ぐるみ剥がして中からやらないと触れなくて、「そりゃ~、わたくしが。」と、もらうことにしました。

電池ボックス周りの接着剥がして、後ろ足はがんばったら抜けたのですが、前足が抜けません...
どうがんばっても脱がせられないので、どこかほどこう。
だいぶ前の同じ子の時を思い出しながら、シッポの一部をほどいてみました。
そうそう、前の時はシッポが折れてて、脱がすのは比較的簡単でしたが、組む時、無理するとせっかく直したシッポがまた折れそうだったので、一旦シッポを外した状態でぬいぐるみ着せて、ほどいたところから後でシッポをつけて、縫い閉じたんでした。
シッポのとこほどいて、留め輪のカシメを削って、シッポを外したら、お尻の方からぬいぐるみめくって、前足も抜けました。
20140510_dog12
写真は、ぬいぐるみをめくった状態。
これから、頭はぬがさずに、胴体部分のガワのネジを外して、胴体を左右に分割。中身が出てきた状態で、モーターと電池ボックスの部分を外して、SWの確認です。

スライドSWは、既製品(部品)ではなく、メッキ板を曲げて電池端子間を短絡する作りでしたが、やはり液漏れでサビサビ。多分固着したのを無理やり動かそうとして、メッキ板が変形してしまったのでしょう。
分解して磨こうと思ったのですが、どうしてもSWの板が外せず、電池端子側はそのままリューターで磨き、SWの板は、付いたままの状態で何とか整形して、動く&導通するようにしました。

これで、モーター部分組戻し、足のリンクも全部つけて、ガワを組み戻して、ぬいぐるみも着せなおして、シッポも付けて動作確認...
動きが何かおかしい...後ろ足が前傾しすぎて、ちゃんと歩けてません...トホホ。もう1回分解。
後ろ足を動かすリンケージの棒に何故か穴が2つあって、後ろの穴に軸を刺さないといけないところ、1cmぐらい前にある穴に刺してしまった為、後ろ足の角度が変わってしまった様でした。

ちゃんとリンク組みなおして、またガワも組んでぬいぐるみ着せて、シッポも付けて動作確認...今度はOKそう。
電池ボックス周りの布を突っ込んで、シッポのほどいた所を縫い戻して、終了です。
結構な大仕事でした。

2件目は、新川市まつりで受け付けた、バンダイ「DXモンスターボール」です。
20140510_ball1
他のドクターが対応してたのを、横から口出ししておりました。
まず、「ネジが無い!分解できん!」という事で、「フタの後ろのピンを抜いてみたら?」と、抜いて見たところ、中ブタの後ろ半分は浮きました。この状態で中をのぞくと、フタの開閉を感知するスライドSWが割れてばらけてて、どうしようもない...
対応していたドクター曰く「こんな小さいSWは持ってないし、小さすぎて無理~」との事で、一旦カルテに「修理不能」と書いたのですが、このままだとゴミになってしまう。「ぼくなら何とかなるかも?もらって帰っていいですか?」と、もらって帰りました。

家で中ブタを外した状態です。
20140510_ball2
中ブタは結局、ボタン側(上の写真の上方向)にグイグイ押しながら外しました。
写真手前、中央の右側が、問題のスライドSW。
フタに突起が付いていて、閉めると突起がSW上部のどっかを押して、スライドスイッチが写真の右側方向に動くようです。
SWには端子が3つ。移動接点が真ん中と右側、真ん中と左側、と繋がる仕組み。
手持ちの日本おもちゃ病院協会部品セットの中に、ちょうどON-ONの2接点1回路のマイクロSWがあり、それが使えそうです。

液晶周りのネジ4本を外すと、パネル・液晶ごと、基板が外れました。
元のSWは外してしまって、裏からビニール線3本出して、表で手持ちのマイクロSWに配線。この状態で、手でマイクロSWを押しながら動作確認。

開け閉めはちゃんと期待通りになりましたが、遊び方が分からず、ネットで調査。
「振りアクション」と「投げアクション」で遊ぶらしいです。
「ゲットモード」では、開始するとサトシが歩く絵が出る(←調べるまで、サトシが歩いてる絵とは気付きませんでした。道の真ん中にサトシのものと思われる帽子をかぶった頭が出るだけ)。一旦フタを閉めて振ると、「ピッ、ピッ」と歩数カウントの音がして、しばらくするとポケモン出現の音がするので、フタを開けて、何のポケモンか確認。またフタをしめると「ピ、ピ、ピ、ピ・・・・・・ピーーー」となるので、「ピーーー」の所で「投げアクション」をすると、ポケモンがゲットできる、、、、という遊び方らしい。

しかし、ゲットモードでフタを閉めてボールを振っても、歩行音がしない。
タイムアタックモードも、振っても歩行音がしない...
「加速度センサでの検知だろうか?センサがダメor増幅回路がダメ?」
したくないけど、さらに分解してみるしかありません...

基板裏面はこんな感じ。
20140510_ball3
何か、黒い筒に入った謎の部品が見えます。これが加速度センサでしょうか?
何となく付け根の再ハンダ付けをしてみましたが、良くなりません。

何度も、なんかやって動作確認を繰り返していたところ、「振り」では反応しませんが、ボールに「コツ、コツ」と衝撃を加えると、反応するようですが、「投げ」の反応は無理そう...
しかたなく、さらにばらします。
20140510_ball4
基板裏側からネジ4本外すと、表の白いカバーが外れました。
が、ICは出てきません。液晶の下にあるのでしょうが、とてもとても液晶をはがす気にはなりません...
とりあえず、表に出てる部品だけ、全部ハンダこてリフローしてみました。
が、結局状態変わりません。

「これ以上は改善できないのだろうか。しかし、ゲットができないとまっっったく遊べない...何とかゲットできないのだろうか?」と、何度もチャレンジ。
すると、「ピーーー」の時に、「コツコツコツ」と連打すると、ポケモンゲットできました!

元の「投げアクション」「振りアクション」と同じに直ったとは思いがたいのですが、これで何とか遊べそう。という事で、組み戻します。
マイクロSWはこんな感じです。
20140510_ball6
マイクロSWをどうやって固定しようかと悩んでいましたが、黒い中ブタをはめると、ちょうどギチギチで、結局固定無しで、中ブタで押さえ込むことにしました。

分解した時、ストラップが付いてたものが、ケース口の所で切れてしまった残りの切れ端がケース内にあったので、妻の大量の在庫資材の中から黒いヒモの切れ端探してもらって、ストラップ復旧してみました。

これでフタ付けて、開閉確認。
中ブタはめるとSW押しっぱなしになってしまったので、SWの鉄板の部分切り縮めたり、それでも当たって、中ブタの内側をリューターで削ったりと、いろいろと苦労して、やっと終了しました。

いや~、5/5の新川市まつり以来、長い戦いでした。

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5/5 新川市まつり 臨時開院

2014-05-18 | おもちゃ

今日は、新川市まつりで臨時開院です。
ドクター6名来て、おもちゃは8個受付しましたが、全部入院で対応です。
(屋外だと、細かい作業はしにくいし、手が掛かりそうな物が多かったので。)

1件目は、バンダイ獣電戦隊キョウリュウジャー「獣電剣 ガブリカリバー」です。
電源入れても、音が鳴りっぱなし(起動音の初めの部分が鳴り続けてる様な音)になって、どのボタンも効かない、という症状。
以前、全く同じ症状で来院して、「IC不良で修理不能」と判断したことがあり(201/7/13)、リベンジしようと思ったのですが...

結論は、単なる電池の消耗のよるIC誤動作で、電池を替えたら治りました...
が、それに気付くまで、基板を散々つついてしまいました。

SW:4個ついてるのですが、どのSWをONにしたらどの音が鳴るか、条件があるんですね。整理すると、
①メインSW入れると、起動音
②トリガーSWを押すと、「ジャキーン」(但し、アゴが閉まってないと鳴らない。)
③アゴを開けると「ジャコッ」、締めると「チャキッ」
④アゴを開けて獣電池(円筒状の付属品)を入れると、「ジュオーン、チャキッ」
⑤獣電池を入れた状態でアゴを閉めると、「ガブリンチョ」
⑥獣電池を入れてアゴを閉めた状態で、ポンプ(黒いスライドする部分)を動かすと、必殺技待機音
⑦必殺技待機音が鳴ってる間にトリガー押すと、「バモラー!」と言った後、必殺技起動音。

という条件です。

さて、電池切れのせいとは思いもよらず、分解していきます。
20140505_
基板・SW等を確認するには、持ち手の部分は分解する必要なく、まず、写真右上に外してある薄灰色の部分を外し、写真右下のアゴの部分を外します。
それから、写真左下の、内部の黒いカバーを外すと、基板確認できます。

基板はこんな感じ。
20140505__2
IC以外には、電解コンデンサ1個と、表面実装でコンデンサ2個、抵抗5個と、トランジスタ1個。

この時点の動作確認で、下の2つのSW(アゴと獣電池の挿入)は反応するけど、上の2つ(トリガーとポンプ)は、反応せず。
これで、「機能の一部しか働かない。トリガーが効かないんじゃ、全然遊べない」と思ったのですが、これが間違い!(←条件があるので。)

間違いに気付かず、基板上の部品を確認していく事に。
電解コンデンサは100μF、取り外して測定して問題なし。
トランジスタはLED駆動用で、LEDはちゃんと点いてるので、問題無しと判断。
表面実装コンデンサは2個とも一旦外して、DMMで測定。2個とも0.1μFで、リークもなくて問題なし。
抵抗も測定。R1が、刻印と測定値が違ったので疑問となり、外して違う抵抗値で試してみたところ、音声再生がおかしくなったので、元に戻し。

ほとんどの部品を確認しましたが、問題なし。
しかしそもそも、回路を考えると、電解コンデンサは電源ラインに並列で、電源安定用。表面実装のコンデンサは、1個は電源ラインに並列で、単なるパスコン、もう1個はスピーカーと並列で低周波ライン。
どれも誤作動の原因にはなりえませんね...

ここでようやく、ネットで遊び方を調べると、上の2つのSW(トリガーとポンプ)を押して音が鳴るには、条件があることが分かりました。
分解した状態だと、アゴのSWがOFF状態で、アゴが開いてることになるので、トリガー押しても音が鳴らないんですね。
アゴのSWをONに固定したら、ちゃんとトリガー押して「ジャキーン」と音が出ました。
さらに、獣電池挿入のSWもONに固定したら、ポンプ押して必殺技待機音と、トリガー押して必殺技の起動も、ちゃんとできました。

が、次は、「短い音はちゃんと鳴るけど、音が長くなると、途中でまた起動音鳴りっぱなしになってしまう」という状態になりました。
「何故に~?」とだいぶ悩んでましたが、ここでふと、電池の電圧を測ってみたところ、LR44:1.5Vの所が、1.3Vになってました。
電池探して替えてみたら、ちゃんと動くではないですか!

...という事で、なが~い道のりの後、ようやく「電池の消耗によるIC誤動作」という結論にたどり着きました。
トホホです。「電池電圧の確認」は、おもちゃ修理のファースト・ステップ。おもちゃドクターの基礎の基礎。
ですが、「鳴らなくなる」のではなく、「余計に鳴るようになる」状況で、電池消耗とは思いもよりませんでした。
すぐ分解したがる悪い癖。まだまだ経験不足なのを思い知らされました。


さて、気を取り直して、2個目。アンパンマンの腕時計です。
20140505__3
依頼者様曰く、「電池切れと思って分解してみたけど、電池がどこか、たどり着かなかった」との事。
深く考えずに請けてしまいましたが、分解してみると、これはおもちゃドクターの仕事ではなく、時計屋さんの仕事の範疇でした。

分解すると、中身はこれ。
20140505_3
まるっきり、腕時計のユニットが出てきました。
電池は外して確認したところ、中国Vinnic社製「L736」→日本では「LR41」に相当で、まあ、特殊な電池でもなかったので、近所のホームセンターで買ってきて取り替えてみましたが...
取り替えただけでは電源入らず。
しかたなく分解することに...

20140505_1
予想通りですが、基板-液晶は、電卓等でよく見るタイプ。基板上のパターンに、液晶側のゴムみたいなところを押し付けるだけのヤツです。これでどうして液晶が表示されるのか、不思議です。
直るかどうか不安でしたが、何回か、綿棒にアルコール付けて拭いて、組んでみたら、何とか復活したようです。

ちょっと接触が不安定な感じもあって、完全復活かどうか心配です...
鳩時計のような仕掛け時計ならともかく、腕時計ともなると、やはりプロ(時計屋さん)にまかせたい所です。(が、一応直ったと思います。)

3個目は、来ました、プリモプエルです。
20140505__4
一番良くある、「左手SWの作動が不確実(効かなかったり、腕をひねったら効いたり)」です。
まず間違いなく断線と思われますが、切開手術の前に、念のため電池ボックス・基板側の不具合でないことを確認しておきます。
20140505_1_2
写真、向かって右から、「赤線2本:右手SW」、「オレンジ線2本:左手SW」、「黄線2本:シッポSW」なので、ターミナルのところで直接短絡して、ちゃんとSW押したときの動作をするかどうか、確認しておきます。(ちなみに、残りの配線は多分、「紫線2本:オデコの明るさセンサ」、「水色・黒:右耳のマイク」、「緑線2本:ホッペの明るさセンサ」と思います。)
ボックス・基板側の不具合は、確率は少ないようですが、これをやっとくと、実は配線には問題なくて無駄な手術をしてしまう、という失敗をせずに済みます。

案の定ですが、ボックス側は問題なし。断線と判断して、切開手術開始です。
まず、手首の綿口のところから開口します。
20140505_2
写真は、手縫いの糸を切って、綿口を開いた状態です。

プリモちゃんの様な作りのぬいぐるみは、ミシンで縫製した後、どこか最後に、綿を詰め込んで、手縫いで仕舞いした、通称「綿口」があるはずです。
プリモちゃんの場合、毛足が長いし縫製もいいので、知らずに探すのは中々困難ですが、両手とも手首の後ろ側の1~2cm程度が、手の綿口です。(SWがあるので、どうしてもここに綿口を設定しとかないと、SWの取り付けができない構造。)

手のSWへの配線は、ひどい時にはビニール線の被覆が硬化してポロポロになって切れてる事があり、その場合は、背中の綿口も切開して、線を引き換える必要がありますが、今回は見た目には繋がっていたので、背中は開かずに、ボックス出たところで、新しい線を一旦仮ハンダ付けして、手の方から引っ張り込んで取り替える方法にチャレンジしてみたところ、バッチリ成功しました。

手首の綿口開口後、手と腕の綿を全部抜いて、ツメを外して手のひらのSWのついてる基板を取り外し。
ボックス側でオレンジ線を一旦切って、新しい線を繋いで、SWを引っ張って、配線引き換え。
新しい線が引っ張り込めたら、SW付け根で新しい線に繋ぎなおし。
SW側繋ぎなおしたら、長さを決めて、ボックス側で新しい線と古い線とを接続。
といった手順です。

ボックス側接続の状況です。
20140505_3_2
ここは、ターミナルからやりかえると面倒そうなので、古い線を残して、途中で繋ぎなおします。

手の線は、腕の辺りから硬化してポロポロになってることが多いですが、その状況でも、胴体内の線はあまり劣化してない様です。この状況からすると、ビニール線被覆の劣化は、やはり紫外線の影響と思われます。(布・綿の中とはいえ、手~腕は紫外線が当たるのでしょう。胴体内はさすがに、紫外線もあまり届かないのでしょう。)
SWの部分は古い線を残すと、またすぐ断線してしまうので、必ずSW付け根から新しい線に引きなおす必要がありますが、胴体内の線はだいじょうぶと考えています。

SW側の状態です。
20140505_4
これで動作確認。
取り替えた配線は、見た目には切れておらず、被覆の硬化もそれほどでもありませんでしたが、内部で芯線が切れ掛かってたのでしょう、取り替えたら動作は確実になりました。
手の形に気をつけながら綿を入れなおして、綿口を縫い戻したら終了です。

前回、山口おもちゃ病院で対応した際は、背中の綿口も開く必要があって、2時間ほど掛かりましたが、今回は背中を開かずに済んだので、1時間程度で完了しました。


さてさて、この新川市まつりで預かった物の内、もう1件対応する事になるのですが、それは次の「5/10 宇部定期開院」の方に記載します。

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