こっちゃんと映画をみまちょ♪

レビューと呼ぶほど中身なし。しかし中身が無いのも中身のウチよのぅ。・・・なんちって。

男たちの大和/YAMATO (2005)

2005年12月07日 | いかすMovie

こっちゃんポイント ★★★★

鑑賞環境  試写会 
上映時間 145分
製作国 日本
公開情報 劇場公開 (東映)
初公開年月 2005/12/17
ジャンル ドラマ/戦争

昭和19年2月、神尾たち特別年少兵が、大和に乗組む。その威容に、10代の少年たちの目が輝く。がそれも束の間、厳しい訓練が始まった。彼らの前に、際立って魅力的な、かつ尊敬できる上官が二人現われる。機銃射手である内田二兵曹と、烹炊(ほうすい)所の班長を務める森脇二主曹。森脇(反町隆史)と内田(中村獅童)は、配属場所こそ違え、気心の知れた仲で、柔道で激しい申し合いをするなどお互いに切磋琢磨し、大和の下士官の中で異彩を放っていた。(goo映画より抜粋)

 

子供の頃、プラモデルの軍艦シリーズで「大和」を作って遊んだのを思い出します。出来上がったら砂場の海に浮かばせて、さっそうと進水式。灰色の海に浮かぶその船の姿に幼心ながら「カッコイイ」などと惚れこみ、そんなプラスチックの船と時間の経つのも忘れるほど夢中になって遊んでいた記憶が残っています。それが多くの命を呑み込んだまま海の底に沈んでいった船なのだと考えもせずに・・・。

この映画「男たちの大和/YAMATO」。
ただの娯楽エンターティメントに収まらず、「反戦」としての警鐘を強く打ち鳴らす作品に感じました。


(画像は実際の大和です)

菊花紋章の貼り付けられた艦首から大日本帝国海軍旗の棚引く艦尾まで、実にその長さ263m最大幅は39m弱に及ぶ。満載時の排水量72,809トン最高速力27ノット(高速51km/h)、合計出力15万馬力を誇る巨大戦艦。総建造費は当時の金額で1億3782万円、これは現在の金額に換算するとざっと1,500億円

文字通り日本が造った世界最大の戦艦、そして建造当時、誰もが「不沈艦」と信じた船。これが「大和」という軍艦でした。しかしながらその最後は悲運に満ちており、今もなお、引き揚げられることのないまま東シナ海沖の底深く、多くの魂とともに眠っているのです。


(画像は実際の大和です)

この映画は、そんな戦艦「大和」と、その船と供に命をかけて戦い抜いた若き男たち、そしてそんな姿を周囲で見守るしかなかった家族や恋人たちのドラマです。

『この戦争に勝つことが祖国や愛する人たちを守る事なのだ』と信じて闘った男たち。昭和19年春、この船に乗艦した多数の新米戦士達は皆16、17歳の若さでした。普通なら、ただの高校生の年頃です。物語はそんな彼らが艦上の厳しい訓練と体罰により成長してゆく過程をとらえながら、一方でドキュメンタリー風に「大和」の軌跡をなぞって行くのでした。

原作は辺見じゅん氏の男たちの大和。生存者と遺族への膨大な取材のもと書き上げられたと言うそのストーリーをもとに作られたこの映画は、否定しようのない重みすら感じます。

photo

さらに、映画製作サイドの熱の入りようはかなりのもの。艦首からほぼ中間の艦橋付近までの190mを原寸大でセットとして組み上げたというから驚き。日本映画にして、ここまでの規模のセットというのは正しく前代未聞ですね。
そんな生生しく再現された舞台をバックに撮られた映像は、あたかもそこに「大和」が存在するかのようでした。
まさに信じられない映像です。艦を形造るビス1本の単位で「大和」を見たのは、こっちゃんは生まれて初めて。甲板に張詰められた真新しい板、重厚感のある鉄の壁にはじまり、三連装高角砲、三連装機銃、そして、この映画では火を噴くことのなかった46センチ三連装主砲などの武器までもがシッカリと作り込まれている事に思わず息をのんでしまいました。

恐らくこれほどの「舞台」を目の前に用意された俳優さんたちは、自ずと「本気でかからねば命を落しかねない」までの気迫を持って臨んだのでしょう。とにかく、出来上がったその戦闘シーンからは鳥肌が立つほどの殺気を感じてしまいました。数々の戦争映画を観てきましたが、改めてこれが、「戦争」といううものの現状だったのか・・・と恐ろさを覚え、またやり切れない思いになり胸が詰まってしまいました。

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昭和19年10月、レイテ沖海戦での大敗_。大和の同型艦「武蔵」を初め多くの艦を失った連合艦隊は、事実上壊滅状態でした。日本は既にこの戦争そのものに負けていたのです。にも関わらず、窮地に追い込まれた日本がこの時とった戦法は、まさに狂気とも言えるもでした。人間が飛行機にのったまま爆弾と供に敵艦めがけ体当たりする『神風特攻隊』もこの時に初出動しているのです。

photo08そんな翌年の昭和20年4月6日。いよいよ沖縄に米軍の手が伸び「沖縄が取られれば本土が危ない」という状況の中、「大和」以下海上特攻隊は沖縄へ向けて出陣すべく錨を上げたのでした。それは、無謀とも言える戦いへの出発でした。

最期の出航間際、臼淵大尉長島一茂)は「死ニ方用意」を若き戦死たちに告げます。
「自分の故郷に向かって別れを告げろ。想いのたけを込めて叫べ。泣いても構わない。それも『死ニ方用意』の一つだ。」・・・と。
堰を切ったように叫び始める若者たちの姿に辛さはピークを迎えます。

photo01「ああ、これは戦後60年を迎えた日本が、当時の戦争を知る者たちへ、また現在の戦争を知らない若者たちへ向けて作った映画なのだ」と感じました。「泣ける」「泣けない」で語られるべき映画ではないのだと感じました。

もしかしたら、映画の作りとしては誰もが泣ける映画ではないのかもしれません。こっちゃんは泣きませんでした。(もちろん周りでは号泣している人もいました)ドラマとして観るならば、作り的にはもう少しコマ割りに余裕が欲しかったなとも思います。「あ、泣いてしまいそう」と思うと次のシーンへパッ!パッ!と切り替わるような感じを持ってしまいました。微妙に早いんですね切り替えが。そしていかにも「東映」らしい作りでした。映像技術は素晴らしくも展開させる手法としては古典的ですね。またBGMに関してももそう感じました。

ただ、このエンドクレジット後の『特別映像』も含めた2時間半もの映画は、娯楽を求めて行ったつもりでも何かを感じて帰ってくるほどの強いメッセージがその中に刻み込まれていました。だから、これで良かったのだとも思います。

photo戦艦「大和」最期の総特攻作戦。3,333名の命を乗せ祖国を守ろうとしたこの船の勇姿を、ぜひみなさんのその目で観てきて下さい。
そして、死ぬと分かっていながらも「大和に死に場所を与えられた」として、戦地へ向かって行った若者たちの真っ直ぐな瞳を観て下さい。
ここには誰ひとり、死にたかった者などいなかったのです。
戦艦としてこの世に生まれた「大和」ですら、それを望まなかったでしょう。

米軍の戦闘機の集中攻撃を受け、黒い煙を上げながら旋回する「大和」の最期の姿は、まるで苦しみにのた打ち回り悲鳴をあげているかのようでした。

戦後60年_我々は今、「戦争に負けた国 日本」に住んでいます。

《2006.08.04記事一部改訂》

 

※この記事の『神風特攻隊』の記述に関しまして、【びえいぶる】様から誤りのご指摘を頂きました。この場を借りて【びえいぶる】様に御礼申し上げますとともに、記事の一部訂正をさせて頂きました。大変申し訳ございませんでした。

※また【ふもと】様からも同様に別箇所の記載内容についてご指摘を頂きました。この場を借りて【ふもと】様に御礼申し上げますとともに、記事内容の訂正をさせて頂きました。あらためましてお詫び申し上げます。(2006.07.19)

 

【作品】男たちの大和/YAMATO

 

 

小説 男たちの大和

角川春樹事務所

原作

CLOSE YOUR EYES/YAMATO-男たちの大和 主題歌-
長渕剛
フォーライフミュージックエンタテインメント

ラストを締めくくる主題歌


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37 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
初めての一番乗り (km_achin)
2005-12-07 16:01:45
緊張するわね。

って、あんまりコメント迷っていると、先越されるかも!

急いで書かなければ!



この映画は、観た後にヘコムかなぁ。

血のシーンとかリアルそうだし。

観るかどうか思案中であります。
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そうなんだね~~ (kuu)
2005-12-07 17:16:57
どうだかな~?と思っていたけど、結構良さそうではないですか。

この間、中村獅童がインタビュー中に絶句していたけど、それほど、映画に入り込むってことは、やっぱり期待できるみたいね。

ただ、これは、私の年末の予定に入ってないのよ。「ALWAYS」みたいにじっくり評判を聞いてから見に行くかどうか決めようかな。

戦争物は、ちょっと苦手よ。
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今日もっ (miyu)
2005-12-07 23:48:18
1位だねっ♪定着したらいいねっ♪

コレはあたしも試写状をゲットしてます

前売りの大和ストラップの誘惑に負けなくって、良かったょ♪

じっくり観たい映画って感じなのかな?

楽しみですっ。
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今日もっ2 (やっぱり邦画好き…)
2005-12-08 11:29:30
1位だねっ♪ 私は2位に転落 ここんとこ記事さぼってたからね。自業自得



大和は試写会で観てきたら、またコメントにきますね~
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今日も1位だっ!(〃 ̄ω ̄〃ゞ エヘヘ (【お返事】こっちゃん)
2005-12-08 13:36:34
みなさんのお陰です。本当にありがとネ♪

2位のmiyuさんも応援してね♪



▼km_achinさんへ

あ!オメデトー!

初めての1番乗りだねっ!

いつもマメに来てくれてるからこそですね。

本当にありがとう。



この映画、観た後にヘコむようには作られてないですよ。

後味は良いです。

どっちかっていうとヘコむのは「ロード・オブ・ウォー」ですね。

あれはどん底節ですよ。、最後の最後で。



これは落ち込むんじゃなくて、忘れてはいけないモノに気がつくって映画ですね



▼kuuさんへ

「ALWAYS 三丁目の夕日」とは全く異次元の映画です。

だから「泣き」だけを期待していくなら失敗するでしょうねぇ。

戦争モノ苦手なkuuさんにはちょっとキワドイ映画かもしれませんねぇ



▼miyuさんへ

あ!miyuさんも試写会行くんだねっ!

ぜひ感想を聞かせてね。

大和ストラップは魅力的なアイテムですねぇ。

どこかの劇場に落ちてないかな。

拾いたい。



miyuさんも、こっちゃんと一緒にポイントUPしてるね!

3位との差が開いていきますね~。

頑張ってこっちゃんを抜いてね



▼やっぱり邦画好き・・・さんへ

あは。ありがちょ♪

邦画好きさんとこは厳しいね。

ちょっと記事のUP数減っただけなのに

それで1位がひっくり返っちゃうなんて。

また1位取り返せるようにこっちゃんも応援するね。

邦画好きさんも試写会で観るんだね「大和」。

感想待ってマ~ス♪
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すげー迫力 (kossy)
2005-12-08 15:11:28
エンドロールが終わったら、腰を抜かしてた。

ずどん、ずどんと撃ち抜かれちゃいましたよ。

あ、やべぇ、ギックリ腰やっちゃったかな・・・・

てな感じの映画でした。

映画館で観るときはなるべく前の方に座って、

血飛沫が飛んでくるのを体感するのがベスト。



試写会で、最後まで座ってた人が9割以上ってのも初めて経験しますた。
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▼kossyさんへ (【お返事】こっちゃん)
2005-12-08 16:00:33
本当ですね。

あの戦闘シーンは腰抜かすかもしれませんね。

あんなところで敵と戦って死んでゆくということが

いったいどんなことなのか

スクリーンを通して伝わって来ましたね。



ちなみにこっちゃんは最前列での鑑賞でした(笑)

ベストポジション・キープってコトで良いですか?



札幌もほとんど皆最後まで観てたと思いますよ。
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心して観ようと思います (yuki)
2005-12-08 18:41:35
予告を見て、気になる作品として、そして絶対に見ようと思いました。

忘れてはいけない記憶だと思います。
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この映画は (m52387177)
2005-12-08 22:11:47
是非みたいですね。

出来れば劇場でね。

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うーむ (kino)
2005-12-09 01:33:07
硬派なレビューのこっちゃんでしたね。

うーむ よくある大コケ映画かと思っていましたが、

なかなか興味の沸く記事をありがとうございます。

鑑賞を検討してみようと思います!

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