二胡工房 光舜堂

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二胡の弦その3.

2013-02-25 10:46:00 | ■工房便り 総合 
いつもは、購入して、袋から出して、くるっと木軸に回して、コレ良い弦ですねとか、もう少し硬い方がとか、

勝手な事を言っていたなと、最近凄く反省しています。

弦メーカーさんありがとう。

弦を作るというのは、これは大変な事だとつくづく思います。

0,3ミリ0,6ミリなどという細い弦の中に、何段階もの工程が有ります。

その弦の元の鋼の線一つにしてもその硬さ、その焼き入れ、そのメッキなど様々な工程を含んでいます。

更にそれに0,1ミリの鋼の線を巻きつけていくのですから、これはもうとんでもなく繊細な仕事です。

短い物は私もやってはみたのです。

旋盤に加えて、薄い鋼を巻きつけます。

無理ですね。

一分間に500回などという回転について行けないのです。

それではと抵抗器をつけて回転をおとすと、今度は芯をしっかりとした一本の線に仕切れず手の力が懸って綺麗に巻けません。

最初にこの巻き弦作った人はどうやったのだろうかなどと考えてしまいます。まだモーターの無かった時代ですから。

きっと二人がかりで手で回したのでしょう。

モーターの無い時代に、こけしやお椀の生地を作る轆轤は、たいがい、女性が手でひもで回して、男性が刃物で削ったりもしています。

或いは水車か、風車か。

今はモーターが有りますから,それでも大変過ぎて、投げ出したくなります。

これは時間食い過ぎて駄目。他の仕事が出来なくなってしまいます。

やはり既成の物の改造に目を向けることにしました。

要するに巻き弦の巻いてある鋼が隣とぴったりと強く巻かれれば今の隙間のある物より、同じ素材でも弦は硬くなるはずなのです。

既成の物の巻き直しか、或いは、今の弦の巻いてある隙間を埋めるかですね。

巻き直しはやってみた結果、弦がボロボロになります。

最終的に熱加工してありかなり鋼が硬くなっていますから。これはもう巻き直せません。

後は隙間を埋めるか。

市販品に銀弦というのが売られています。

コレ良く見ると巻き弦のあとがとても少ないのです。

比較的ツルっとしています。

これはもしかするとと思い、細かいヤスリりで擦ってみると、さらさらと銀が取れ、下からステンレスの巻き弦が見えてきます。

ヤスリではなく、少し硬い木で擦っても、お落ちます。

これはどうも蒸着のような気がします。

メッキの一種ですね。

或いはアマルガム、まさかとは思いますがあり得ないことではありません。

アマルガムというのはメッキの一種、古い方法です。

多分歯医者さんはこの方法をまだやっているのではないでしょうか?(歯医者さんに聞いてみなければ)

要するに、水銀に銀や金を溶かしこんで、他の金属の上に塗ります。

次に小手を厚くしておいて水銀だけを熱で飛ばします。

これは大変危険な方法で死人が出たというぐらいなものです。

昔の仏像などの金のメッキはこのようにして行われていました。(大仏様も)

しかし今は水銀などは使っていないはずですからご心配なく。

銀弦の評判を聴いていると最初は良いのだけれど、割とすぐに音が変わるというのが幾つかありました。

どうも、これは塗装に近い方法のようなのです。

きっちりとしたメッキには思えないのです。なんとなく表面が粉っぽいのです。

さすが彼国と言ってもそれはそれで難しい技術ではありますし、最初のうちは効果も有ります。

耐久力という点でイマイチなような気がしますが、もしかしたらちゃんとしたメッキの物もあるのかもしれません。

もしあるようでしたら教えて下さい。

しかしこの方法は可成り弦をしっかりすることは解りました。

では次なる工程は、メッキという事になるとは思います。



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