二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

5月24日(日)練習のこと、調整のこと、商品のこと 『1』 11:00~17:00

2015-05-27 12:16:22 | ○営業日の報告日記
二胡を愛する皆様こんばんは、鞄持ち ほぉです。
ワタクシ事ですが最近エア練習の効能にハマっております。

「 美しい音を出すには音を出さない練習も有効 」

と、一見矛盾にも思える説を謳う我がボスは、
ラーメン屋のカウンターさえも手を真っ直ぐ動かす練習台にする御仁。
外出先でも所構わずエア練習するツレにワタクシは毎度かなり恥ずかしい思いをしますが、
しかしその姿勢に学ぶ事は多いです。

と言ってもワタクシの場合はヴァイオリンなのですが、
35年物に悪癖が熟成されたワタクシの汚フォームは、
集合住宅住まいを言い訳にロクに練習しなかった報いです。
しかし、実は音なんて出さなくても、日々の練習としてやれることは沢山あったのですね!
夜毎の無音練習を始めてからわずか約1ヶ月、
我が超熟悪癖は徐々にではありますが矯正されつつあります。
すると不思議と(というか、当然の結果なのですが)音色も美しく成るのですね。
そして音色が美しくなると楽しくなってもっと練習したくなるというループが出来上がり、
上達速度も格段にアップするわけで、良い事ずくめです。



さて本題の二胡の話においても、
正しいフォームで弾けなければ良い音色は奏でられないわけですが、
しかしその大前提として
 楽器のコンディションがベスト状態にある事が必須!」
と店主は言います。

民族楽器である二胡は西洋の擦弦楽器に比べて完成度が低く不調も出やすいのに、
日本に伝わった時、楽器を調整する重要性は全くと言っていいほど無視されました。
ほんの数年前までは有名な楽器店でも
「雑音があるのが二胡」とHPでも堂々と公言していましたから、
他楽器で調整の重要性を知っている日本人でなければ誤解したままだったでしょう。
多くの日本人は楽器の直せる不調も二胡の倍音と混同し、
「これが本場の二胡の趣きなのだね」
と間違いを受け入れてしまって来たようです。

しかしこの日曜日に光舜堂を訪れた二胡歴長い会員さんは、
調整によって再び美しい音色を取り戻しました。
遠方にお住まいながら、もう今までにも数度上京され調整を受けていらっしゃる方でしたが、
にもかかわらず、楽器たる物、経年変化で不調は出続けるのです。
天然素材の木と生の蛇皮を使った楽器なのですから当然です。
そして、それは、趣でもなんでも無く、直すことの出来る只の不調です。
この素材である限り皆さんの二胡も同じく、季節や年数を経て行く過程で不調が出ます。

「なんだか響かないのです」

そうおっしゃって差し出されたお客様の二胡、
店主は楽器を受け取り音色を聴くとすぐに答えました。

「千斤が劣化して弾力が無くなってるから本来の役目として活きてないですよ」

それに育って来ている皮の状態に巻き方が合っていない、
控制綿も硬すぎる、
今張ってある弦に駒が合っていない、、、等々。

そして、それらを整えることで再び綺麗な響きを取り戻しました。
しかも楽器自体は育っていますから、前よりいっそう良い音色です。
「後は脱力だね」と店主がちょっとレクチャーしてみせると、
さすが元々お上手な方ですから直ぐに勘をつかみ、更に美しい音色になりました。



また別の会員さんは、
店主がブログでアップしていた千斤の巻き方画像を見て
果敢にもご自分で巻き直してみたチャレンジャー。
見事、巻き方はマスターされました!
が、巻くことと調整は別次元。
「巻けたことは巻けたのだけれど、音がなんだかな~になっちゃって。。。(苦笑)」
とのご来店でした。
楽器に合わせた締め方や、使っている弦に合わせた巻き数量までは
読めていなかったのですね。 
しかしそれは本当に難しいですし、気付かなくても無理も無い事。
今回またひとつ千斤を巻く時のポイントをしっかり覚えて帰られました。
こうして1つづつ失敗しながらも覚えていく女性は頼もしいですね!
応援してます☆


調整が整う、というのは、本当にピンポイントです。
例えば、千斤の高さも、
よく、好みで上げたり手の小ささで下げ目にする方がいますが、
良い音色のためだけに厳密に言えば、本当は変えない方が良い
その楽器にとってベストな位置があります。
一様に同じく肘を立てて測っても、楽器一把一把でピンポイントは違います。

調整する時、「それだけ?!」と言われるくらい、
ほんのちょっとの差でしかない作業の時もあります。
しかし、その僅差がまるで違う音色や響きを生み出します。
だから、
結果が傍で聴いていらっしゃる持ち主さんにも解り易く出ないのであれば、
また、持ち主さんが弾いてみて明らかに以前と違くなったとすぐ判らなければ、
それは正しい調製が出来ているとは言えません。
「千斤を巻き直したから調整OK!」ではない事、
覚えておいて下さいね!


『2』 へ続く

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