ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

抽象絵画と白黒写真はどこか似ている?

2019年04月06日 11時48分22秒 | 写真とカメラ
きょうは表記の事について考えてみました。

白黒写真については今さら説明は要しませんね。カラー写真から色の情報を取り去った後の画像ですね。
言葉を変えれば明暗だけを備えた写真です。
カラー写真が発明されるまでは写真と言えば白黒だけしかありませんでした。カラー写真以前の白黒写真では「明度」のみに反応する感光剤がフィルムに塗布されていたのです。

さて、ここで抽象絵画と呼ばれている絵画を見てみましょう。

これは抽象絵画の祖と言われるカンデンスキーの作品です。
円形や三角形などが配置されてそれぞれに彩色が施されています。楽し気な雰囲気が伝わってくる絵画ですね。

次にわたくしが撮った写真を見ていただきます。

直線で区切られた面を明暗だけで現すとどうなるのかを考えてみた試作品です。酒田市の美術館の廊下の光景を写し取ったものになります。元画像はカラー写真です。元画像から色彩情報を取り去る方法にはいくつかの手法がありますが、これは輝度をモノクロ化したものです。ソフトはGIMPを使いました。

上の二つの画像を見ると、抽象絵画にあって白黒写真には無いものは何かがお分かりになると思います。
抽象絵画は対象(目に見えるものや想像上のものも含んで)の具体性をそぎ落として成立している事に気がつきます。円形や三角形は色が与えられているとは言えそれ自身では具体性を持っていません。円形のボールや三角の具体物が絵画に描かれているわけではありません。
白黒写真にはモノの形と明暗は存在しますが、色相と彩度はそぎ落とされています。抽象絵画には具体的なモノとしての形態が存在してなく、白黒写真にはモノの形態と明度はあるのだが、色が存在してません。
白黒写真は「モノの形態と明度」が抽象された「抽象写真」とも言えるでしょう。

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