Kitten Heart BLOG -Yunaとザスパと時々放浪-

『きとぅん・はーと』でも、小説を公開している創作ファンタジー小説や、普段の日常などの話を書いているザスパサポーターです。

【小説】「パスク、あの場所で待っている」第43話

2020年04月22日 06時20分12秒 | 小説「パスク」(連載中)
 しかし、いきなり敵討ちって……。いったい、なんなんだ。
「お前が来るのを待っていた!」
 上半身ほどの大きさの大剣を構え、こちらを睨み付ける。
「敵討ちって……誰のだよ。そもそも、お前は誰のだよ!」
「名前くらいは、教えてやろう。ミタチア・オイトだ」
 知らないな……。『兄貴』の敵となると、キョウコはまず違う。冗談で復讐に来たくらいだし。年齢的にオレとさほど変わらないところを見ると、若造のムギでもなさそう。
 じいさんは、昔から弟子を作ることを何故か嫌っていた。『twenty』にいたときでさえ、部下を付けなかった。あれほどの腕があったので、弟子入りを懇願するやつは多かったが、一方では倒して名を上げようとするやつも同じように存在した。
 ミタチアが何かを投げつけた。
「また煙幕か……!」
 再び、黒い煙の中に包まれてしまった。そして、闇に包まれたまま打ち合いとなった。
「カエルを使って勝って、卑怯者め!」
 カエル? なんか、前にあったな……。
「なに言ってやがる。煙幕を使いまくる方が卑怯だぞ!」
 カエルが苦手な、テオのことか。あいつに弟分がいたとは……。
 それにしても、この煙幕をどうにかしないと。
 一瞬の隙を見計らって、後ろに下がり煙幕から脱出する。
 ミタチアからの追加煙幕が投げ込まれる。
 煙幕に巻き込まれないように、常に動き回った。
 しつこいくらいに投げ込まれ、動いた先は常に煙だらけになってしまっていた。
 すると、煙の中から突撃してきた。すかさず、受け止める。
「そろそろ、来ると思ったよ」
 打ち合いから押し込み、煙幕の外に追いやった。尚も攻撃を続けた。
 息が上がったミタチアは、場を離れて間を空けた。
「煙幕は、もう終わりか?」
「くそっ……」
 やっぱり、考え通りだった。それほど、あいつは発煙弾を多くもっていない。無駄使いさせるために、動き回って正解だった。
「勝負あったな!」
 このまま決着させようと、一気に追い詰めようと間合いを詰めた。オレの方が押して、優勢に進めた。
「うぅ……」
 ミタチアの体力が落ちてきていることを感じた。あと少しで追い詰められる。
 しかし、攻撃をかわされると、ミタチアは近くにあった竹林へ逃げ込んだ。
「あと少しだったのに……」
 選考会のルールにおいて、戦いを途中放棄して逃げると、選考会の参加資格を強制離脱。それだけでなく、今後の選考会に参加する資格も無期限に停止される。なので、立て直しで一時的に逃げるやつはいるが、本当に放棄するやつは皆無である。このルールができた原因を、オレはよく知っている。
 ミタチアを追って、竹林へ入った。密集して生えており、影は見えるがなかなか追いつけない。
 相手は、この場所に慣れている。まともに戦うのは不利だろう。
 そこへ煙幕がまた投げ込まれる。補充してきたか。
「くそっ! またか!」
 追い込めたが、追い詰められない。このままだと勝てない。


≪ 第42話-[目次]-第44話 ≫
------------------------------

↓今後の展開に期待を込めて!
にほんブログ村 小説ブログ ファンタジー小説へ
にほんブログ村

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 舩津選手、退院おめでとう! | トップ | 記念すべき100回目だったのに…… »

コメントを投稿