きらせん

仙台のきらめき










東北大学公共政策大学院准教授
佐分利 応貴

 「理論と実践の融合」

2007-10-22 21:45:08 | Weblog
  経済ゼミ第3回め(毎週月曜日13時から16時10分まで)。
  場所は、通常の演習室ではなく、大講義室を使っている。
  (グループに分かれて議論するにはいいが、車座に座れないのが難。)

  結局チーム編成は、
  「地域活性化」
  「国防」
  「3万人を超える自殺者対策」
  「安全・安心まちづくり」
  「ライフ・ワーク・バランス」
  「うつ病と貧困」
  の6チームとなった。いずれも前回高い得票を得ていたテーマであり、順当な結果である。

  早速チーム内で各自自己紹介をさせ、リーダーを決定させた。
  ファシリテーター(司会進行役)も決定。ワークショップ(参加型会議)では、このファシリテーターが非常に重要である。ファシリテーターの仕事もこれから教え込まねば。

  そしていよいよチームで問題設定と目標設定を開始。大きな特製ポストイットを使った親和図法をさせてみる。親和図法とは、混沌を言語化する優れた手法である。KJ法ともいう。

  … で、やっぱり混乱。
  社会問題の解決において、問題の設定は非常に重要なステップである。
  多くの役所の仕事が、問題を設定しないまま金を使っている。
  なんとなく風邪だから解熱剤、みたいな。
  
  「誰にとって」「何が問題なのか」
  たとえば、安全・安心のまちづくり、といっても漠然としすぎていて何が問題なのかわからない。美しいキャッチフレーズは、微妙に違う関心をもつ人を参集させるためには有効だが、よくよく詰めていくと、一人一人関心は違う。犯罪に関心があるのか、老後の生活なのか、バリアフリーなのか。犯罪も、空き巣なのか、ひったくりなのか、痴漢なのか、全部含めた「犯罪者の入り込みにくい地域」をイメージするのか。となると住民同志の交流が必要だが、むしろ匿名性を求める人(隣近所と関わりたくない人)もいる。ムラ社会的な相互監視がいいのか。などなど。学生も、やらせてはじめてわかったらしく、「頭で考えてわかったつもりだった」「先生が授業で強調していた問題発見の難しさがやっとわかった」との弁。となるとやはり前期で講義形式で教えただけではダメだったのか。う~む。

  「防衛チーム」では、公共政策研究会のH君が、安全保障の概念を拡大して「食糧安全保障」にすべく攻め込んでいる(かなり他のメンバー頭のリセットに成功したようだ)。「地域活性化チーム(チーム名は(株)種まく人)」はメンバー全員やる気満々。早速宮城県のどこかの地域に入り込んで「種をまこう」と張り切っている。

  終了後に行っているアンケートは、ジョハリの窓を広げるのに有効である。
  今回もF君から“MECEやロジックツリーの考え方を教えないで議論をさせてもメンバー内で話がかみ合わない”との指摘あり。確かにそのとおり。早速次回説明しよう。Nさんのコメントも、前期の経産政策論の時から毎回非常に興味深い。期待の星の一人である。