【ビアトレイン2014】
電車に乗っていて、気になる広告があった。
「ビアトレイン」~喉を流れるひんやりビールと、車窓を流れる景色に酔いしれる~ サア、こころの滋養旅行に出発進行!
レトロな雰囲気の女性がジョッキを持って、微笑みかけている広告だ。
長野電鉄の駅舎に徳間ライジングキッズの元監督のYA氏が勤務していたので、さっそく電話してみた。
3000円で車両内の生ビールが飲み放題、お弁当付き、飲み物・おつまみの持ち込み自由とのこと。これはお得・・・、さっそく仲間を募ることにした。
以前から中学校の同級生のY氏から「ビール会をやろう!」と時々誘われていた。彼は薬剤師として30年以上県内県外の病院にコツコツと勤務して、今は自宅でゆったり暮らしている。彼の意向にぴったりの「ビアトレイン」の情報を知らせてみた。
すぐに返事が来て、Y氏は参加したいとのこと。あと2人はどうしよう?
同級生で誘える仲間と言ったら・・・、まずはW氏。
彼は以前、旅行会社で添乗員として仕事をしていたこともある。こういう企画に慣れているし、今は退職して自宅にいるので時間に余裕があるはずだ。
電話して誘ってみると、二つ返事で快諾。親友でもある同級生のH氏にも声をかけてくれることになった。
H氏は銀行職務を退職し、今は第二の職場「N経済研究所」でコンサルタントをしている。真面目で勤勉な性格。以前にも同級会の幹事を引き受け、いろいろなお店に連れて行ってくれたこともある。
夏の終わり、4人で駅の改札口に集まった。しばらくベンチに座って出発時間を待つ。
サラリーマンや学生が家路を急ぐ人々に混じって、「ビアトレイン」の企画に参加するグループが集まってきた。電車の座席の関係で4人グループが多い。
その中に知った顔ぶれがあった。
ドッジボールのコーチをやってくれたMさん。保護者のWさん。いずれも徳間小のPTA会長を勤めてくださった方々だ。気の合う仲間4人で誘い合って応募したとのこと。
彼らは我々と同じ車両で、すぐ斜め後ろのボックスに陣取った。
座ると同時に弁当とコップが配られ、長電従業員で愛想がいい女性がビールを注いでくれた。
「かんぱぁ~!!」
車内のあちこちから威勢の良い歓声がわいた。
我々4人は気分良く飲み、そして近況を語り合った。退職後の生活のこと、共通の友人たちのこと、身体の健康、老後の楽しみ・・・、話題は尽きない。
同級生のニックネームを話題にして、盛り上がった。
渡辺⇒『ナベ』 山崎ひろよし⇒『やまひろ』 やすはる⇒『ヤっちゃん』は、納得できる。
そう言えば、なぜ『オサ』なのか?
定正⇒お定⇒おさだ⇒オサ・・・というふうに変化した・・・という結論になった。
しかし、当時の副級長は、なぜ『オシメ』なのか? 今度同級生に聞いてみたい。
車窓を眺めると、いつの間にか夜の帳(とばり)がおり、遠くに夜景が輝いている。
特別列車なので、いくつも駅を通過し、小布施駅に到着。
車両にトイレがないので、着くと同時にトイレに直行。
駅舎では臨時の土産売り場を設置して、地元の特産品などが売られていた。
Y氏は野沢菜の葉で巻いた大きなおにぎりを買って、「どうぞ、どうぞ・・・」と、振舞ってくれた。田舎らしいご馳走だ。
アルコール検知器を使って、『一番呑んだのは誰か?』選手権大会も行われて、景品なども用意され、当選するたびに歓声が上がっていた。
1時間ほど小布施駅に停車して、列車は折り返し運転を開始。
車内は皆、酔いが回って、かなり賑やかになってきた。
「3号車の皆さん、記念写真を撮りましょう!」
Mさんが音頭をとると、全員がカメラに向かってポーズをとった。
偶然乗り合わせただけの人々が一瞬、不思議な一体感と充足感を共有することができた。
同じ時間のはずなのに、往路に比べて復路の時間はとても早く感じる。
気づくと、長野駅に着いていた。
酔いの勢いなのか、知らない人にも気軽にお別れの声をかける。
「ビールが美味しかったね。お疲れ様ぁ~。」
「またどこかでお会いしましょう!」
そして、トイレに直行だ。
4人は、改札口で再会を約束して別れた。
同級生というのはいいもんだ。そこにいるだけで、安心する。
昔、一時期を共にしたという理由で・・・、今現在いつ会っても心が通じ合えるのだ。
そして、話しているだけで、いつの間にか少年時代に戻っている。
また、来年もこの企画に参加してみたい。
2014/09/12