散歩瞑想記 & ツレの物語

歩きながら自然とエネルギーを循環させる、散歩瞑想をしています
そして、ツレ、物語る

十二月二日 筆箱 三

2013年12月02日 12時19分40秒 | 物語「筆箱」
「つづきを書いてよ~」とねだったら送ってくれた。


ナニナニ?最後まで続けて欲しいとな。…しょうがないのう~♪

なんにせよ、筆箱は大切なアイテムだ。
諦める訳にはいかない。
Fは覚悟を決め氷の上に乗った。
一歩一歩慎重に進む。
大丈夫だ。
とうとう筆箱をつかみゆっくり方向転換する。
まだまだこれからが勝負だ。
ゆっくりゆっくりこちらに向かう。
俺等も息を殺して見守る。
あと少し!
「あ!」
「急げ!」
破滅の音と共に亀裂が向かってきた。
ビッビッビシッビシッ
ザブ~ン
「冷てぇ~」
幸いに転ばなかったから腰の下あたりまでの被害だった。

Fはランドセルと筆箱を俺等に預けて着替えに帰った。
始業時間には間に合わないので先生やみんなには俺等が説明した。
「お腹の調子悪いみたいでした」
「下の方を着替えに帰りました」
「やっちゃったみたいでした」

「池にはまったと言ってくれとのことです」

みんながクスクス笑っているとFが戻った。
「アノ~池に落ちちゃって…」
爆笑だった。

     終

十一月三十日 筆箱 二

2013年11月30日 21時53分56秒 | 物語「筆箱」
両足で踏ん張っても雪はガチガチで、長靴なんかじゃ全く歯がたたない。
絶体絶命
もはやこれまで…

いや、まだ奥の手があると気が付いた!
リコーダーをピッケルみたく雪面に突き刺す。
急激な制御を利用して体をヒネリ、うつ伏せ状態になり、全身を使いやっと止まった。
ふう、危機一髪♪
他の奴等もなんとか大丈夫なようだ。
けどなあ、ランドセルがなぁ~

辺り一面に、全員分の中身をぶちまけている。
どれが誰のやらわからない。
取りあえず全員で回収作業にかかり、一ヶ所に集めた。

まぁ教科書なんて誰のでも同じだから、どうでもいいので適当にわける。
だが筆箱は大事だ。
宝箱だ。
大切なシャーペンや消しゴムが入っている。
俺のはあった!
でも一人分足りない…
可哀想だから手分けして探す。

「あったぞ~」池の方から声がする。
やはり恐れていた通りだ。
池に落ちちゃったか。
だが、事態は予想をはるかに超えていた。
ア~ァ
池には氷が張り、筆箱は岸から遥か彼方の丁度真ん中にあった。

…もう良いでしょう?後は想像してください。

     おわり? つづく?

十一月二十九日 筆箱

2013年11月29日 22時38分43秒 | 物語「筆箱」
(ツレの物語、ひさしぶりだぁ~)


真冬の時期
前日の夜に少し気温が上がり、晴天のその翌朝には雪はガチガチの堅雪になる。

まだ体重の軽い小学生は、余裕で雪上を何の制約もなしに歩き回ることが可能だ。
冬期のある一時にのみ手に入れられる自由だ!
つまり、学校までの登校ルートは何でもありということだ。

だが、堅雪が堅雪たる時間は案外短い。
そこで、涙ながらに足手まといの奴等は切り捨てて有志一同、イザ出発!

民家を避け、学校までの直線から斜度45°の山に向かう。
まぁあれだ、学校にランドセルのソリで颯爽と登場するのが目的だ♪
ハイジとぺ―タ―に影響されたのは間違いない…


目的地に到着し学校を見下ろす。
扇谷の義経もさぞやの気分だ♪
ヒャホ―のかけ声と共にランドセルにまたがり駆け滑る…

学校の裏山から滑り出したから、玄関前に到達するには池の手前を迂回しなければならない。
体を傾け右に旋回する技を使う。
だが、ランドセルはソリではない。
イメージ通りには曲がらない。
てか、ぜんぜんコントロール出来ない。
しかも肩掛けに足を通しているから脱出不可能な状態だ。
まずい!
このままだと池に突っ込んでしまう最悪なオチになる。

     つづく