ジョルジュの窓

乳がんのこと、食べること、生きること、死ぬこと、
大切なこと、くだらないこと、
いろんなことについて、考えたい。

『置かれた場所で咲きなさい』

2013-03-01 | 読書
『置かれた場所で咲きなさい』は 
渡辺和子さんとおっしゃる ノートルダム清心学園理事長のご著書。

私が渡辺さんのご著書に触れたのは、これが最初。

仏教徒の私だが 
この本は 宗教を超えて
人を温かく励ます慈悲にあふれていると感じたので
ぜひ ご紹介したい。   

帯には
「人は どんな境遇でも 輝ける」
とある。

(幻冬舎文庫、2012.4.25、925円)



新書版のコンパクトな本で、優しい語り口の内容で、
文字も読みやすく すぐに読み終わってしまう一冊。

でも 書かれた内容は どのページを開いても 味わい深い。

「あっ」とか「ああ!」とか思った所に付箋を貼ったら
付箋だらけになってしまった(笑)。





    
          
             渡辺和子シスター



   →→→YouTube シスター渡辺和子さんの「 置かれた場所で咲きなさい」






タイトルの「置かれた場所で咲きなさい」は

Bloom where God has planted you.

である。



直訳すれば、
「神が あなたを植えた場所で 咲きなさい」。



ただ 神のご意思に従う、といった消極的な事ではなく、

置かれた状況を 喜んで受け入れて
積極的に 自分を開花させてね、、
との気持ちが見える(気がする)。






また、この本のタイトルになった
ベルギー人神父に贈られたという英詩には
続きがある。


「咲くということは、

 仕方がないと諦めることでは
 ありません。



 それは 

 自分が笑顔で幸せに生き、

 周囲の人々も幸せにすることによって、

 神が、
 あなたをここにお植えになったのは
 間違いでなかったと、

 証明することなのです」






「置かれた場所」というのは、
人それぞれ。

「置かれたところこそが、
 今のあなたの居場所なのです」(p.3)



大学に入学しても「不本意入学者」がいる。

就職しても、
結婚しても、
子育てをしていても、
「こんなはずじゃなかった」 
と思える状況は 次々に襲ってくる。



「置かれた場所」が、

つらい立場。

理不尽。

不条理な仕打ち。

憎しみの的。

信じていた人の裏切り。

ベッドの上。

歳を取って 周囲から“役立たず”と思われ、
片隅に追いやられる。

そんな時にも その状況の中で「咲く」努力を。

「咲く心」、「花を咲かせる心」を 持ち続けましょう、
と シスターはおっしゃる。(p.13)






風雨が強い時や、日照り続きで
どうしても咲けない時は

「そんな時には 無理に咲かなくてもいい。

 その代わりに、
 根を 下へ下へと降ろして、根を張るのです。

 次に咲く花が、
 より大きく、美しいものとなるために。」(p.13)






「置かれたところで 自分らしく生きていれば、
 必ず <見守っていてくださる方がいる>
 という安心感が、波立つ心を鎮めてくれるのです。」(p.3)



キリスト者の強さは 信仰という力によって
この「見守っていてくださる方」を
強く感じる事ができる点かと思う。

日本の神々や 仏教におけるホトケは
儀礼や習慣などの日常に紛れ過ぎて
現代の私達には 強く意識する事は
難しいかもしれない。

その点を 私は とても羨ましく思う。



(私は 一応 自分は仏教徒だと思っているが
 ホトケを意識するためには
 意識しなければならない(苦笑)。)






この小さな本は 愛に溢れている。



人生の岐路に迷う人だけでなく、
老いに戸惑う人だけでもなく、

年若いチャレンジャーにも
ビジネスで成功しようとしている人々にとっても

有益な言葉に溢れている。

たくさんの人に 手にとってもらいたいと思う。

2012年の年間ベストセラー総合第2位だったというが、
それでも、もっともっと たくさんの人に。






この本の中では
シスターの心の琴線に触れた
人や言葉の紹介もふんだんになされている。

仏教者や仏教詩人の言葉も出て来る。



私が「あれっ」と思ったのは
「私たちは、キリストのともしびから火を分けていただいて、
 それぞれが、置かれたところで、
 一隅を照らす光でありたいものです。
という一文。(p.29)

人を苦しみの業火から救ってくれる宗教の言っている事は
結局、ひとつなのだ
という思いを 強くした。






本書の終わりの方にある 
シスターと 2.26事件との関わりには
びっくりしてしまった。

過日 2月26日だった事に気づいて書き始め、
本日の投稿となった。

寒かった冬も 3月となって 
ご近所に咲く花も増えてきている。

私たちの花も キレイに咲きますように。




11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
良い話だ・・・ (トト)
2013-03-01 15:50:42
お尻から少しは根が降りてきてます、確実に?

「根を 下へ下へと降ろして、根を張るのです」良い言葉だ!

花が咲くのはもう少し後の様です。


外出も少なくなり、好きな日帰り温泉も行けなくなった、それでも仕事は頑張ってる(治療代を稼がなくては・・・)

辛い嫁さんを見てると胸が痛いです、そう思っているとせんべい食いながらテレビを観て、ワッハッハッと大笑いしてる、えっ~???

こんな嫁さんの性格は私にとっては救いにもなります!しかしまあ・・・

咲いた花も素敵ですが、私の人生、つぼみくらいが丁度いい。
つぼみは  (ジョルジュ)
2013-03-01 18:32:03
いつか咲く日を 夢に見ながら ふくらんでいくものですし、
そして いつかはきっと 花を咲かせてくれるはずです。

せんべい食いながらテレビを観て・・・、私と一緒です!(笑)
そんな奥様をお選びになったトトさんも ステキな方です。

職場は 「置かれた場所」ですから、仕事は頑張るしかありませんね。
頑張りましょうね!

亭主は最近、スーパー銭湯の岩盤浴に凝っています。
あれは 場所が空いていれば 仲よく並んでねそべって イビキをかく事ができます(笑)。
でも 最近は 寒くて露天風呂には入れません(涙)。
YouTube (きらら)
2013-03-02 21:11:15
わ=♪見た事あります~。
そのときの感動を燃やし続けていきたいと誓ったはずなのに、気付いたら忘れてて^^;
思い出させてもらい、有り難うございました。

今日は週末のまとめ買いをする日でした。
カラッポになった食品が満たされて、ほっとします。
やっぱり読もうかな~ (結)
2013-03-03 12:31:18
この本は、教師をしている友人が、この半年ほど、会うたびに勧めてくれる本の中の一冊です。
本屋さんでパラパラ見て、文字が少ないからと止めたのですが・・・
そういうとこで判断してはダメですね(笑

つい先日、ぼんやりと歌舞伎役者さんのご一家をTVで見ていて
「置かれた場所・・」という言葉を思いだし、それから考えていたのですが
神様が最初に置かれた場所から
わけあってたとえ移動してもそこが今の置かれた場所なのですね。

いろいろあるのが人生なのです。

全体的にはしおれっぱなしのような気もしたのですが
YOUTUBEを見ながら 振り返ってみたら
部分としては、時々は咲こうとしている。
あるいは咲いている。。。ともいえるなぁ~と。

宗教は前進する力のある時には、時に厳しく
でも本当にへこたれているときには 限りなく優しいものです。
あれ、やっぱり、ワタシ、へこたれてるのか・・・?

読後にまたお邪魔することに致します
買ってきました!!! (結)
2013-03-03 17:38:21
図書館に行って、本を借り換えて
本屋さんによって、本を買ってきました!
一種の買いだし状態(爆

バスの中で、本長者だとホクホクしていたら
前の席に座っていた女の人が、
バスの乗り降りが不自由な方に手を貸していました。
その姿を見て、余計に心がホコホコです♪
春だ~♪
コメントが消えた! (ジョルジュ)
2013-03-04 00:44:28
明日にします(苦笑)。
遅くなりました~ (ジョルジュ)
2013-03-07 00:35:03
せっかく書いたコメントが すっかり消えてしまい、ガッカリしたのでした。
遅くなってしまい、大変失礼いたしました。

きららさん、大変失礼いたしました。
素晴らしい言葉に出会って感激して 私もそんなふうに生きていこうと誓う。
それこそが素晴らしい事なのであります(笑)。
忘れたら 思い出せばいいし、
誓った通りにできなかったら 
明日から、あるいは 今日から そんなふうに努力をすればいいだけの事。
人間は 失敗するけれども 反省する事ができる。
と、日々 自分をなぐさめているのです(笑)。
冷蔵庫が一杯になると ココロまで満たされた感じになりますね。
あとは 腕を振るうのみです。
凝った料理を作るつもりで買った食材を やっぱりいつも通りに調理する事が多いです(苦笑)。

結さん、大変失礼いたしました。
本長者だなんて、ステキ過ぎます!(笑)
本は 図書館で借りるという手もありますが、字が少ない本は 立ち読みという手も使えます(笑)。
へこたれた時に力を与えてくれるのが 宗教のいい所、と思っていました。
前進する力のある時に厳しい、という面もあったのですね。
そう、まるで 親のようですね。
有り難いものです。
そう言えば 慢心している者にも 厳しいですよね。
私はまだまだ宗教心が足りないなあ(苦笑)。
私にとって 結さんは ブログの中で充分に花を咲かせておいでです。
読んでみたい (とほ)
2013-03-07 06:53:55
読んでみたいです。心に響くタイトルです。
読む前の気持ちは、それでもやはり置かれた場所から希望の場所へかわる努力が1番だと思います。
その上で、かわれないからと腐るのではなく、そこで咲けと。
どうなんでしょう。

某青少年育成団体の指導者をしているとき、出会った言葉があります。

今、やらなければならない仕事が、自分のやりたい仕事と思え。

なんだか同じ香りがする言葉だと思いません?
とほさんちでも 話題にしましたね (ジョルジュ)
2013-03-08 10:00:36
同じ香りですね。
「やらなければならない」というのと「やりたい」というのは
かなりの隔たりがあります。
そして 「やりたい」と思った方が 一所懸命になれるし 頑張れるし 楽しい!

人は 必ずしもそうではない、というか、
ほとんどの人が、 置かれたい場所に置かれる事がありません。
仕方なく 居るだけです。
その場所で 仕方なく【居る】のと 望んで【居る】、このふたつの開きは 大きくて 埋まる事がないように思えます。

ビジネスマンとしては 「置かれたい場所に行ける努力をする」のが正しいのかもしれません。
けれど 家庭や地域など 職場以外の場所では 「置かれた場所」での活動以外に 選択肢がない事が ほとんどかと思います。

必要な努力は より楽しんでできた人の勝ちだとも思います。
また、仕方なしにであっても、努力し続ける事によって だんだん楽しくなってくる事が多いのも事実です。
楽しめない事に取り組む必要がある時は 根っこを下に、ですよね。
気分転換を図りながら、ですよね。
読み返す・・・ (トト)
2017-03-18 08:40:20
昨夜のNHKでした、「置かれた場所で咲きなさい」を観て

この言葉を知ったのは、ジョルジュさんからでした。

コメントも書いていました、乳がん手術が終わり、放射線、抗がん剤の始まりの頃だと思います?

先日、他の手術も終わり術後の治療計画に抗がん剤がありました・・・予防の為とはいい、厄介なタイプでしたので、致し方ないのか?

二度と使わないように?と思って仕舞い込んだウイッグでしたが、そうもいきません!

抗がん剤治療をしながらの仕事復帰となります、「頑張れ!」の言葉よりも、何も言わない家族のバックアップを感じてほしいです。

この場が分かれ目です?

仕事を辞めて治療に専念するか?仕事復帰を目指して普通の生活を取り戻すか・・・

職場復帰は本人が一番辛いと思います、体力的な面と精神的な面、アラ50の女性には想像も出来ます。

渡辺和子さんの言葉に「神は決して、あなたの力に余る試練を与えない。」

私はこの言葉が好きで、嫁にもピッタリだと思いました。

あっ、そういえば入院前の嫁さん、病院食に興味津々で、毎日運ばれてくる三度の食事を楽しみにしていました・・・

そんな長期休暇気分な嫁の入院にも、少しは救われます。

置かれた場所に、花はすでに咲いているのかもしれません?

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