- 横隈山山頂から城峯山方面の眺め -
その存在を知りながら、理由は様々ですが未だに登っていない山というものが沢山あります。
その中には近場にありながら、単に面白くなさそうだという理由で「登り残し」の状態になっている山があります。
横隈(よこがい)山は、その近場の「登り残し」の山でした。
実際に登ってちょっと意外だったのは(冬枯れだったからとはいえ)山頂からの展望が好かったことです。
途中の道が面白くなくても、山頂からの展望がいいとその山の印象はちょっと好くなります。
でも、冬以外は歩く気が起こりません。
秩父鉄道の皆野駅から少し離れたバス乗場から町営金沢線のバスに乗ります。
他には地元のお婆さんが二人乗っているだけです。
そのバスを出牛(じゅうし)の先の「いろは橋折り返し場」で降ります。
「いろは橋折り返し場」付近から横隈山方面の眺め
そこから少し北に進み、いろは橋を渡って直ぐに左の道に入ります。
家が疎らに点在する平沢地区の最後の家の先で舗装道路は終わります。
ここが横隈山への登山口で、本庄市山岳協会の指導標があります。
以降、山頂までこの本庄市山岳協会と児玉山の会によって要所に指導標が設置されています。
薄暗い植林の中を概ね沢に沿って登って行きます。面白みはありません。
しばらく行くと南北に延びる尾根を越える峠に着きます。
傍らには古い石の道標(みちしるべ)があります。
少し欠けている部分もありますが ・・・
左 = 秩父郡金沢村更?(木)
右 = 若泉村ヲ経テ鬼石
と思われます。
更木は今回下山した場所で、若泉村はかつて児玉郡にあった村で、昭和24年に阿久原村と渡瀬村に分かれたそうです。その場所は現在の神川町の阿久原・渡瀬地区一帯と思われますので、若泉村を経て鬼石へという道順に納得できます。
また、尾根の反対側にも道形の痕跡が見られました。
ただ、この峠の名前はハッキリしません。
峠で右に曲がります。尾根の左(西)側は杉で、右(東)側は明るい落葉樹林です。
山頂が近づくと左側に林道が現れました。
五万図にもハッキリ記載されているので驚きはしませんが ・・・。
最後に杉の植林の中を少し登ると東西に細長い山頂の西の端に出ます。
北側の展望が開けます。
赤久縄山・御荷鉾山・雨降山方面の眺め
この日は残念にも遠くはほとんど見えませんでした。
見えるはずの ・・・ 浅間山、赤城山などもダメでした。
なんとか榛名山が薄っすらと確認できる程度でした。
直ぐ下には鬼石の街並み - 神流川の手前が神川町の阿久原、そして川の向こうが鬼石の街です。
また、石碑が幾つか祀られていました。
石碑は概ね北から西を向いていました。
さて、ここから少し進んだ東の端に山頂標識と三角点があります。
横隈山山頂(東の端)
山頂から城峯山
展望そのものは西の端の方がいいかもしれませんが日陰です。
一方、東の端の山頂では暖かい陽の光を浴びることができます。
今の時期、暖かい方がいいですからここで独り静かに休息です(この日は山中では誰とも会いませんでした)。
さて、西の端に戻り再び展望を楽しんだ後、先の峠まで戻ります。
峠ではそのまま真っ直ぐに尾根を進みます。
尚、この後は特に指導標は目につきませんでした。
所々倒木が道を塞ぎますが通り抜けるのに困難なほどではありません。
御荷鉾山・神流湖が望める場所もありました。
二つ目の送電線の鉄塔の下から簡易舗装された道に変わります。
それを少し辿ると林道の三叉路に出ます。
さて、ここからは舗装された道路を辿ります。
面白くありませんが仕方ありません。
最初に人家の現れるのが更木です。
峠の道標の「更?」=「更木」が正しければ、峠道はこの更木に繋がっていたということになります。
町営金沢線のバスはこの更木まで上がってきて、さらに奥の浦山が終点になっています。
しかし、本数が少ないので今の時間バスはありません。
更木から少し下ると砂岩採取場があって、ダンプカーが行交う道となります。
その中を住吉神社まで下りてきました。
そこにあった古い石の道標(みちしるべ)です。
左 = 秩父町 小鹿野町ニ至ル
右 = 児玉町 本庄町 ニ至ル
歩いて帰るとするならば、出牛から出牛峠を越えて野上駅に出るのが一番近いのですが ・・・。
しかし、出牛峠越えはかつて歩いたこともあり、かつ決して面白いとはいえないので、山形まで南下して、宝登山を越えて行く事にしました。
(出牛及び出牛峠についてはいろいろ興味深い事実があるのですが、ここでは省略します)
西光寺の前から宝登山への山道に入ります。
山頂部の蝋梅は ・・・
西蝋梅園は見頃になったといえるでしょう。
東蝋梅園はまだ咲き始めの状態です。
蝋梅目当ての観光客も増えてきているようです。
後は長瀞駅まで下るだけです。
下山途中、アップで撮影した横隈山
【 参考 】
神川町の金鑽(かなさな)神社の御獄山(その一角の御室ヶ獄一帯が御神体)からの眺め - 左端に横隈山、中央奥が城峯山、城峯山の右手前に神山(頭だけしか見えませんが) [2004.2 撮影]
横隈山は秩父側から見ると決して目立つ山ではありませんが、鬼石・神川側からだと存在感があります。