けやぐ柳会! 「月刊けやぐ」 電子版

「けやく」とは、友だち、仲間、親友といった意味あいの津軽ことばです。

2013年10月号  お題;「 する 」,「 くり 」  出題:蝉坊さん

2013年11月09日 | 川柳

「する」
秋風にすり寄る猫の調子良さ  猫じゃ猫じゃ
秋深し隣はナトリのするめいか  斜録
占いのすり寄せ術についポロリ  流美ん
お札刷る機械なくても飲む機会  良弘
階段は手すりを使い腕鍛え  良弘
肩書きが消えた名刺が秋教え  良弘
神の子もするすると抜け楽天か  芳男
仮面なし擦れた赤鼻ハローウィン  芳男
ガリ版のあの手間隙に若さあり  弧衾若衆
勘違いすると聞かれて赤面し  弧衾若衆
韓流に妻の心が掏り取られ  小心居士
記念日はもうとまだとの擦れ違い  芳男
号外に事前に書いた跡がみえ  蚤助
△ 広告は大文字お詫び文小文字  蚤助
ここからは男子禁制磨りガラス  蚤助
ごま擂らず賄賂せびらず何もせず  猫じゃ猫じゃ
ごまを擂り賄賂をせびり天下り  猫じゃ猫じゃ
○ ごまをするしがいも失せる再雇用  英治
○ 転んでは手を擦る前に顔を擦る  芳男
寒いねと摩る君の手握りしめ  久美子
じゃわめぎが凪いでねぶた師墨を摺る  蝉坊
煤はらい磯の香残る鮑殻  蝉坊
砂肝の煮付に想う内視鏡  蝉坊
すり傷が勲章になるワンパク児  満太
スリットのドレス捨てれず幾つやねん  流美ん
スリでさえ今は独創性がない  蚤助
すり鉢のヘソでピーナツ生き残り  蝉坊
すり鉢を横目で見てる胡麻すり機  久美子
すり減った靴に刑事の顔がある  満太
擦り寄るはカミさん何時も給料日  小心居士
駿河路で冬を満喫みかんと茶  斜録
することがないと悟った定年日  弧衾若衆
することをきちんとするは難しい  斜録
する・しない?今日のサインは生タマゴ  満太
するすると記憶髪の毛抜けてゆく  霜降
擦る袖を痴漢呼ばわり術もなし  駄作
するなって言われるとなおしたくなる  斜録
全勝の投手の肩に掛かるもの  蝉坊
大根は東でおろし西でする  斜録
ダイコンよどんどんすられ痛くない?  風優海
手を擦ると出てきて欲しいあの笑顔  流美ん
同業の無理な価格が載るチラシ  蚤助
○ 土曜日の万歩ひきずる月曜日  蝉坊
流されずガラケー利用で終わりたい  弧衾若衆
中刷りでリサーチしてる時の人  篤子
図らずも無心になって墨を磨る  蚤助
母がする自慢料理はとろろまま  久美子
バレン刷る恰好だけは志功似で  霜降
△ 髭剃りで血の出た客は肩を揉む  蚤助
久しぶり祖母の背擦り小さくて  久美子
頬ずりの髭逃げた子の剃りの音  流美ん
升酒を溢れさせては客掴み  流美ん
股ずれのほつれメタボのバロメータ  蝉坊
マッチ箱老舗のレジで燃え尽きる  良弘
見落としたゼロに凍ったレジの前  蚤助
身を削る墨と硯の摺り合わせ  蝉坊
横見して摺ったお経を読む和尚  小心居士
予想屋がこっそり捨てる外れ券  蚤助
△ 読み通り外れる方に来た馬券  蚤助

「くり」
△ アドリブで遣り繰りさせている家計  蚤助
甘栗が国産ならばある景色  蝉坊
イガイガで子を遊ばせて栗拾い  良弘
△ イガグリの夢を背負った甲子園  満太
遺伝子かいが栗頭三代目  小心居士
芋と栗恋人にする母キントン  良弘
○ えり刳りにこだわる五十路二重顎  猫じゃ猫じゃ
追いつかず繰りつけリードつい離し  芳男
寡黙だと繰り返し来る中国船  芳男
繰り上げたローンにも付く手数料  芳男
繰り上げで得た議席から議長席  篤子
繰り入れて操作を重ね黒字にす  斜録
繰り入れる残金もなし我が家計  猫じゃ猫じゃ
△ 栗色の髪に白色ズカズカと  流美ん
繰り返し先達替える冬の使者  流美ん
繰り返す白髪染めても栗毛色  芳男
庫裏からのジャズに負けじと虫の声  蚤助
△ クリクリと可愛い目にも付けまつ毛  篤子
△ 繰り越されまた繰り越され復興費  小心居士
繰り言に猫もあきれてあくびする  猫じゃ猫じゃ
栗ごはん食べて笑ってまた食べて  霜降
栗ご飯旦那に任す栗の皮  篤子
クリスマス彼はいないが雪積もる  篤子
庫裡に来てにんまり笑う布施袋  弧衾若衆
刳り貫いてこっそり食べる初メロン  流美ん
栗のない茶碗蒸しってどうなのよ  霜降
△ 栗の実が毬(イガ)を脱ぎ捨て深呼吸  蚤助
栗拾い押され押されてひざにとげ  風優海
栗拾い孫を追いかけ時間切れ  小心居士
栗三つ隠したご飯僕にくれ  良弘
栗を見て松茸を見て街を見て  蝉坊
小刀をもたせ匠の七五三  蝉坊
小競り合い繰りかえしつつ共白髪  駄作
これまでもこれからもする do it  弧衾若衆
最近はヒラリーを指すクリントン  斜録
再雇用辞職や仕事繰り下げて  芳男
三回忌そろそろ栗が実をつける  満太
渋皮も剝かれて届く故郷(くに)の便  蚤助
しぶちんが触手を伸ばす柿と栗  蝉坊
△ しゃっくりの記憶たどると消えている  蝉坊
LLL(スリーエル)しっくりしない視野にある  蝉坊
説得力なくて「だから」を繰り返す  蚤助
茶碗蒸し栗を見つけてホッとする  久美子
釣果なし竿をくりくり磨く夜  流美ん
通帳にアリバイだけはある利息  蚤助
定年後勿体つけて手帳繰り  蚤助
手品師も畏れ入ってる栗の虫  蚤助
天災がゴジラ祀れと繰り返す  蝉坊
賑やかな庫裏が気になる三回忌  蝉坊
二次会にくり出すつもり替え衣装  流美ん
糠床のような脳みそ掻き混ぜる  流美ん
ハロウィン終われば街はクリスマス  斜録
久々にサルトルマロンで思い出す  斜録
へそくりが迷子になった広辞苑  蚤助
へそくりを吐かす鵜飼のような妻  蚤助
○ 本堂にろうそく点けてクリスマス  弧衾若衆
剥く事を考えないで栗拾い  久美子
紫の芋使ってもモンブラン?  斜録
やりくりは家が建ったら考える  弧衾若衆
△ 洋菓子も和菓子も栗で秋は過ぎ  良弘
我が子には何度言っても馬の耳  久美子

「自由題」
人間は死ぬと分かって生きている  弧衾若衆
やることが分からなくても目は覚める  弧衾若衆


五十音順 / 会員による互選 /
◎=天,○=地,△=人 / 互選結果は翌月公表

11月のお題;
■「 文化 」 ■「 働く 」 ■「七」or「五」or「三」の字結び 
出題;蚤助さん



▲ サンシュユの実
小石川植物園の奥深くで出会ったサンシュユの果実 。
サンシュユ/山茱萸/Cornus officinalis Sieb. et Zucc. は、
ミズキ目ミズキ科の落葉小高木。
ハルコガネバナ、アキサンゴ、ヤマグミとも呼ばれ、季語は春。
宮崎県椎葉村の民謡『稗搗(ひえつき)節』にも唄われる。
平家一族が隠れ住んだ椎葉の、
平家の鶴富姫と源氏の那須大八郎との悲恋の仕事歌。

庭のサンシュの木 鳴る鈴かけて よ-お-ほい
鈴の鳴るときゃ出ておじゃれヨ
鈴の鳴るときゃ何と言うて出ましょ よ-お-ほい
駒に水くりょと言うてでましょヨ
那須の大八鶴富捨てて よ-お-ほい
椎葉立つときゃ目に涙ヨ
泣いて待つより野に出てみやれ よ-お

可憐な一粒を食してみると、
渋いサクランボのような新鮮な酸っぱさでした。 蝉坊

小石川植物園/東京大学大学院理学系研究科附属/
東京・文京区白山/都営地下鉄三田線 白山駅下車徒歩約10分


《 関連ブログ 》
● ただの蚤助「けやぐの広場」
川柳と音楽、映画フリークの独り言。
http://blog.goo.ne.jp/keyagu575
● 蝉坊「けやぐの道草横丁」
身のまわりの自然と工芸、街あるきと川柳への視点。
http://blog.goo.ne.jp/keyagu0110