東京 DOWNTOWN STREET 1980's

東京ダウンタウンストリート1980's
1980年代初頭に撮影した東京の町並み、そして消え去った過去へと思いを馳せる。

「大阪古地図むかし案内(正、続、続々)」本渡章著を読む

2013-05-20 20:53:31 | 書籍

大阪古地図むかし案内 本渡章著 創元社刊
アマゾンの内容紹介より
「江戸時代を中心とした大阪の古地図を題材に、古今の地誌や生活文化を探る案内書。俯瞰図と細部拡大図の両方から謎解きを試みる「読み解きスタイル」という独自の趣向で、見応えと読み応えを兼ね備えた構成とする。大阪旧市街を中心に、堺、平野等の地図も使って、細部を解読・鑑賞する面白さを味わいながら、大阪各地の歴史・地理・文化がわかる本。好評「名所むかし案内」シリーズの姉妹編。折込み古地図「大坂大絵図」の付録つき。」



続・大阪古地図むかし案内 本渡章著 創元社刊
アマゾンの内容紹介より
「明治~昭和初期の近代古地図を題材に、大阪の地誌や暮らしを探る案内書。俯瞰図と細部拡大図の両方から謎解きを試みる「読み解きスタイル」という独自の趣向で、見応えと読み応えを兼ね備えた構成とする。市街図から鉄道路線図、鳥瞰図(パノラマ図)、観光案内図まで、多種多彩な地図の細部を解読する面白さを味わいながら、大阪各地の歴史・地理・文化がわかる本。好評「大阪古地図むかし案内」の続編。折込み古地図の付録つき。」


続々・大阪古地図むかし案内 本渡章著 創元社刊
アマゾンの内容紹介より
「戦中~昭和中期の「昭和古地図」を題材に、大阪の地誌や暮らしを探る案内書。市街図から名所図、交通図、戦時下の軍用地図、戦災焼失地図、復興のための都市計画地図まで、多種多彩な地図が登場。俯瞰図と細部拡大図の両方で謎解きを試みる「読み解きスタイル」という独自の趣向で、地図を解読する面白さを味わいながら、大阪の歴史・地理・文化がわかる本。好評「古地図むかし案内」シリーズの第3弾。折込み古地図の付録つき。」

 さて、今回は番外といった感じで、大阪をテーマにした書籍である。大阪は、江戸時代には天下の台所といわれ、全国の物資が集まる町であった。江戸が統治の為の都市であったのに対して、大阪は商業、流通の町であり、日本の中での二大都市でもあった。武士の多かった江戸と違って、大阪は町人の町として歩んできた歴史を持っている。大正時代には、東京を上回る人口を持っていた時期もあり、正に大大阪といった時代もあった。だが、近年の地盤沈下振りは少々淋しいものがあるというほどで、大阪には再び活力を取り戻して欲しいと思っている。

 私自身は、東京から離れたことがないので、大阪については何度か訪れてみた経験のみである。そんな中で、明治時代の大阪の面影を捜して歩いたこともある。とはいえ、東京と同様に大阪も戦災の被害も受けているし、川が埋め立てられ、高速道路が造られてというのは、同じ轍を踏んでいるとも言える。とはいっても、大阪の中心部である船場エリアなどは戦災を免れた古い商家や洋館、江戸以来の適塾の建物も残っている。経済的な活力が衰えているからという側面もあるのかもしれないが、船場エリアは商業の中心地という位置付けを失っており、それが故に昔の建物が失われていないという、皮肉な状況にあるのかもしれない。東京という町では、全てが金銭換算されて、直ぐにより大きな金銭価値を生み出すものへと移り変わっていく流れが激しい。東京という町の、奥行きはそう言った形で失われている。そんな思いで見ると大阪には、まだまだ数多くの財産が残されているところがいいと、私には感じられる。

 そんな大阪の変遷を追い掛けるのに丁度良い書籍が、この「大阪古地図むかし案内」である。正編から続編、続々編まで刊行されており、それぞれに江戸時代、明治~昭和初期、戦中~昭和中期という区切りになっている。私にとっては、続編の明治~昭和初期が一番興味のある時期で、熱心に読んだ。通して読んでいくことで、大阪という町の成り立ちから、今日に至る流れまで知ることができるというところも面白い。

 大阪は、日本一の規模を誇る都市であった時代があるのに、東京とは違うと思わされるところがある。それは、資料の数の違いである。明治の東京について、調べ物をしていると、明治中期頃から印刷の技術が凄まじい勢いで進化していき、明治末頃には相当にポピュラーなものになっていく様が伝わってくる。東京の様々な出来事や地理的なこと、商業にまつわること、様々な資料が数多く出てくる。ところが、大阪について、同じように調べようとしても、数量的なオーダーでいえば、桁が全く違うというくらいに資料の数が少なくなっていく。明治期には大阪にも印刷会社はあったし、出版社だってあったはずなのだが、現存している資料数としては極めて少ないのが実情である。

 そういったなかで、こうした形で古い時代の地図が気楽に見ることが出来る形で出てくれることは、有り難い。また、いつか訪れる時には参考になるだろうと思える。そんな意味合いからも、本書はお薦めできる。東京の町でやっているのと同じように、大阪の町も歩いてみると、似たところもあり、違ったところもあり、新しい発見があって楽しいと思う。

最後に、2004年頃から2007年頃までに掛けて大阪に行った時に撮影した画像を見て頂こう。
北区天満の造幣局の旧正門。


中央区高麗橋の北川金物店。


中央区伏見町の蕎麦屋土山人。


中央区伏見町青山ビルの丸福珈琲店。


中央区今橋の市立愛珠幼稚園。これが公立の幼稚園であるというのは、正に驚き以外の何物でもなかった。大阪って凄いと思わされた。


中央区松屋町住吉のたこ竹。大阪寿司の店。絶品のちらし、穴子の棒寿司等々、忘れがたい名店。大阪に行ったら、必ず寄る店。


天王寺区下寺町の横丁。


西区立売堀、江島橋跡の碑。大阪も数多くの川が埋め立てられており、廃橋になった橋は数知れない。


西区本田、尻無川跡の碑。


西区立売堀、江之子島の南端。マンションがあるところが、かつては中洲で江之子島と呼ばれた大阪府庁のあったところ。右手にも川が続いていたのだが、埋め立てられている。その痕跡が分かる。


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