
"The New World"
2005年アメリカ
監督)テレンス・マリック
出演)コリン・ファレル クオリアンカ・キルヒャー クリスチャン・ベール
満足度)★★★★☆ (満点は★5つです)
シネプレックス幕張にて
1607年。ジョン・スミス(コリン・ファレル)等イギリスからの植民者は、新大陸アメリカのヴァージニアに辿り着く。
当初はネイティブ・アメリカンとの共存を目指した彼らは、ジョンをその地の部族の王・ポウハタン(オーガスト・シェレンバーグ)の元に交渉に差し向けるのだが、植民者を快く思わない王に殺されそうになる。まさに彼の頭に斧が振り下ろされる瞬間、王に頼んでジョンの命を救ったのは王の末娘・ポカホンタス(クオリアンカ・キルヒャー)だった。
ディズニー・アニメでも有名なポカホンタスとジョン・スミスの物語を「生ける伝説」テレンス・マリックが映画化。
ストレートな悲恋物語。歴史もの。コリン・ファレル主演。
うーん、自分の好みからするとかなり魅力の薄い組み合わせなのですが、それでも観にいってしまったのは、やはりテレンス・マリックへの期待感からです。
この監督、もしかしたら全作品を観ている唯一の監督かもしれない。なにしろ30年で4本(他には『地獄の逃避行』『天国の日々』『シン・レッド・ライン』)しか作ってないですからね(笑)。
そうは言っても、今作はオスカー・ノミネートもエマニュエル・ルベツキの撮影賞だけだったし世間的にもかなり地味な扱いなので、それほど期待しないで観に行ったのです。
ところがところが、何なのですかこれは!極上ではないですか!
新大陸版『ロミオとジュリエット』的な悲恋物語そのものはすごく単純だし、そもそもポカホンタスの物語にいまさら新鮮味は全くもって無い。
だけど、マリック的としか言いようが無い語り口が、この手垢のついた物語を崇高な神話にまで高めているわけです。
風が、森が、川が、大地が、光が語りかける。
この作品の主人公は人間ではなく、新大陸の森羅万象といっても良いかもしれません(ロケ地は物語の舞台となったヴァージニア州に残された自然だそうです)。
登場人物が多くを喋らずとも、自然が雄弁に語る。
そして、その自然と調和して生きるネイティブ・アメリカンの人々の有り様がまた清清しい。
旧世界の混沌からやってきたジョン・スミスの台詞に「彼らには妬みも所有欲も諍いもない。」とあります。
ただそこにあるのは自然と会話をしながら生きてゆく、という姿勢のみ。
その象徴的な存在がポカホンタスだったのですね。
自然、無垢、無邪気。
まばゆいばかりの存在感を放っています。ポカホンタスを演じた女優さん、新人のようですが、演技云々というよりもその存在そのものが素晴らしかったです。
この作品、オスカーで作品賞にノミネートしなかったのが不思議ですよ、全く。
政治的な作品がズラッと並んだ今年の作品群の中で、ちょっと毛色の違う今作は敬遠されたのでしょうか?
映像、音、音楽、大画面から溢れる全てに身をゆだねる贅沢。
こういう作品を観ると、映画館で観る喜びをすごく感じます。
素晴らしかったようですね。私も観に行こうかと思っていますが、多分来月になりそうです。
個人的には、極めて『インドアな女』にも関わらず、世界遺産を愛でるのが大好きなんですね。きっと、気に入るような予感がします。コリン・ファレルも、どちらかと言うと好きな方だし。(彼が嫌いで...と言っている女性が多いみたいで)
アタクシの週末映画は「V フォー・ヴェンデッタ」でした。初日の初回に早々と並んで、前から3番目でしたよ!この日も、外に『ぴあ出口調査隊』が居ましたが、今回は捕まっておりません。(別に捕まりたかった訳ではないけど)29日公開の作品も、かなり魅力的なツワモノが勢揃いですね!わー、楽しみぃ。
ロードショー作品としては地味な作品ですが、これはお薦めですよ。観る、といよりも感じるタイプの映画だと思います。
コリン・ファレル、何か評判あまりよくないですよね。汗クサーイ感じが僕はちょっとダメなんですが、もしかして隣の評論家さんはそういうところが好きなのでは(笑)。
アイルランドに語学留学して以来、スティーブン・レイだのキリアン・マーフィーだのアイリッシュ系俳優を応援している僕ですが、奴だけはどうも好きになれないです・・・。
『Vフォー・ヴェンデッタ』実は僕も今日観てきました。記事は後日アップする予定ですが、これもなかなか良かったですよね。隣の評論家さんの記事も横目でちらりと見たのですが(評価高いようですね!)、自分の記事を書いてからジックリ拝見させて頂きます。
29日公開作品は、流石にGWということでイイのが目白押しですね。まずは『ブロークン・フラワーズ』がとても楽しみです!
ポカホンタスとコリン・ファレル?
テレンス・マリックだからまぁ見るけどさ…
ところが何ですかこの傑作は。
エンドロールで前の席の男が手を広げて伸びをして、
思わず席を蹴飛ばして「見えねえよ」と一触即発になってしまいました。
それほど興奮してしまったわけですが、
映画館でこれほど上質な作品を見ることほどの贅沢は無いなと、
完璧なまでに美しく仕上がった作品に僕は、
素晴らしい余韻に浸ることができました。
わたしはこれちょっとダメでした。なんか中途半端で...
テレンス・マリック何が言いたかったのか??と思ったのはわたしだけでしょうか??
映像は素晴らしく美しかったですね。オスカーにノミネートされたのはうなずけました。
>思わず席を蹴飛ばして「見えねえよ」と一触即発になってしまいました。
おお、なかなか血の気が多いですな(笑)。
しかし、これは確かに深ーい余韻の残る作品ですよね。ポカホンタスとジョン・スミスの恋愛物語、という括りを大きく超えた、哲学的な趣を備えた堂々たる名作だったと思います。
僕もこれは今年お気に入りの一本です!
うーむ、僕はこれ、結構圧倒されましたです。
何というか、光と音と自然と人間が完全に調和した世界(そして調和が壊された世界)を完璧に描いていたというか・・・。
話のあらすじはこれを描くための手段に過ぎなかったのでは、という気さえしています。
そうなんですよね。大したことない、というか少なくとも新鮮味のない物語でも、これだけの映像美で見せられてしまうと、すごく魅力的ですよね。
こういう正統でウェルメイドな作品、賞レースでももっと評価されていいのに、と思いました。
私も全く期待してなかったクチです。
観てびっくり、衝撃~って事で気に入りました。
感じる作品っていうのは、具体的な台詞回しもないし、伏線があって…とかでもないし、見る側に解釈を任せてる感じですものね。
自然の力強さに圧倒されました。
この作品のコリンは結構好きかな。自分では幸せにしてあげる事はできないと、ちゃんとわかってるし。
繊細な表現ができるんだ~とちょっと見直しましたとさ。笑
こういう、期待してなかったら意外に良かった、というのってお得感がありますよね。特にそれがこの作品のように極上だった場合はとても嬉しくなってしまいます。
うーん、コリン・ファレルはどうも好きになれないです。暑苦しいというか何と言うか。この作品の彼は主役なのに比較的少なくて、その点が好感を持てました(笑)。