怪しい中年だったテニスクラブ

いつも半分酔っ払っていながらテニスをするという不健康なテニスクラブの活動日誌

「絶対に見られない世界の秘宝99」

2016-10-08 20:11:01 | 
このシリーズ、以前「世界の非公開地域」をレビューしていますが、私、こういう本は結構好きなんです。

キャプテン・キッドの財宝からニクソン大統領の録音テープまで、99の秘宝。それぞれに物語があります。
中には、はっきりと焼失したり存在が否定されているものもあり、そもそも存在自体が疑問というものも多いのですが、世界では、そうとは思わずあてにならない言い伝えや真偽が疑われる地図をもとに今でも真剣に探している人たちも多いみたいです。
日本に関係しているものとしては、「草薙の剣」があげられていますが、これは熱田神宮に鎮座しているはず。でもこの本では諸説あるけど本物は失われていて熱田神宮のはレプリカではないかとなっています。個人的には熱田神宮の神剣はこの地方の豪族尾張氏の宝剣ではないかなと思いますけどね。
それから、阿波丸の財宝と潜水艦伊52の金塊。どちらも戦争中に撃沈されたのですが、阿波丸は当時病院船として攻撃してはいけないはずなのに潜水艦に攻撃されて沈没しています。浅田次郎の「シェルザラード」のモデルですよね。でも今ではそこには財宝は積んでいなかったと確認されています。伊52号はドイツへ金延べ棒146本を運んでいたのは確かなようですが、今はビスケー湾の海底5200メートルに沈んでいます。引き揚げ作業も計画されているようですが、今のところ金塊は見つかっていません。
それにしても財宝を積んだ船というのは比較的記録も残っていてカリブ湾なのでは現実に見つかっている例もあってトレジャーハンターたちの格好の獲物、今でも捜査中の船がこの本にもたくさん出てきます。
変わったところでは、ケンタッキー・フライド・チキンのレシピ、リキュール「シャルトリューズ」のレシピ、防錆潤滑剤WD-40の成分とか、グーグルの検索アルゴリズムとか、まあ秘密なんでしょうけど似たようなものは何とかなるのではと思っちゃうのですけど。そういえばここには出てきませんがコカ・コーラの原液のレシピもそうですよね。
どうしてないのというものも多くて、アポロ11号(人類最初に月着陸した)の記録テープの原本もない。どうやらテープを使いまわして上書きしてしまったみたいなのですが、今ならデジタル技術で鮮明な画像に再生できたはずなのに惜しいことです。
暗殺されたケネディ大統領の脳も所在は不明とか。陰謀説などもいまだあるのですが、今となっては実際の脳を検査することは不可能なのです。
なんだかよくわからない理由で原本がなくなってしまったというようなことも多くて、コロンブスの航海日誌やバイロンの自叙伝、ヘミングウェイの初期作品、ライト兄弟の特許などは、もう消失したとしか言えません。
インカとかアステカの黄金伝説も多くて何例か出てきますが、その他にもフランス革命時のブルボン朝の逃亡資金とか、ロシアのロマノフ家の宝石に飾られたイースターエッグとか、海底に眠るマハラジャの財宝とか、グレート・ムガル・ダイアモンドなどはルパン三世にたびたび登場するような話ですね。
契約の箱(アーク)とかキリストの聖杯になるとインディ・ジョーンズですか。
まあ、笑ってしまうようなものもありますが、人類の愚行の証のようなものもあって、1項目ほぼ2ページなので隙間の時間に気楽に読んでいくことができます。
因みにゴッホの「医師ガシェの肖像」は8250万ドルで斉藤了英が落札して、自分の死後は棺桶に入れてほしいと言ったとかで世間の顰蹙を買いましたが、斉藤の死後の行方は不明に。どうやらアメリカ人投資家に売却されたみたいですが、またサザビーズが買い戻したとか。これなんかは知っている人は知っていて、そのうちオークションに出てくるかも。
この他にも冒険活劇ドラマや映画、ミステリーの種になっているものも多いので、そういうことが好きな人にはお勧めです。興味があればもっと深く調べてもらうことにして、2200円も出して買うほどのことはないので図書館で借りて読んでください。
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「地球システムの崩壊」松井孝典

2016-10-08 09:18:20 | 
この本に書いてある時間軸のスケールのなんと大きいことか。
宇宙誕生からの時間軸で見てみると、我々が悩み議論していることが何と小さなことかと嘆息してしまいます。少子化がどうした、経済成長がなんだ、温暖化がなんだ、我々人類の歴史、築いてきた文明なんて言うのは宇宙史ではなくて地球史で見てもほんの一瞬の埃の舞うような話です。

宇宙がビックバンから誕生しておよそ150億年と言われています。現在ではいろいろな観測の精度も上がってNASAが発表した数値は137億年。
太陽系という惑星系が形成され地球が誕生してからは45億年。ただし、どの状態をもって地球誕生というかによって1億年は違ってくるのですが。
誕生の頃の地球はマグマの海に覆われた火の玉状態、そこから徐々に冷えていくのですが、冷えていくことに伴い温度、圧力が変化して、状態が変わってくる過程で現在の地球を構成するさまざま物質圏に分化してきた。そして地球はこれからも冷え続けるのですが、地表での人間圏の盛衰とはスケールが違う。人間圏を成り立させている環境は地球史の中のわずかな期間での危うい均衡によっている一瞬の出来事です。
バクテリアなどの原始の生命が誕生するのが約38億年前。
やがて生物が大量に繁殖し、光合成生物によって酸素が供給され23億年前ごろから窒素主成分の大気に酸素が蓄積しはじめる。因みになぜ23億年前ごろに大気中の酸素濃度が大きく変わったのかということについてはまだよくわかっていない。
そこから紆余曲折があるのですが、とにかく700万年前には人類が誕生している。そこから進化発展して16万年位前に現生人類が誕生している。
1万年位前に現生人類は農耕牧畜という生き方を選択し、地球システムの中で人間圏を組み込んでいった。どうして現生人類はそのような生き方を始めることができたかについては「おばあさんの誕生」とか「発声発音能力」とか仮説はあるのですが、まあ、仮説です。
人間圏では物質循環のタイムスケジュールを大幅に早めることによって物質の流量を増やし、我々の欲望を満足させている。この拡大のスピードは地球システムの時間から言えば以上と言えるもので、このままの発想で右肩上がりの豊かさを求めて人間圏を営むとすれば人間圏の存続期間はあと100年ほど!?(20世紀の人口は100年で4倍になったがこの増加率で単純計算すると2千数百年後には人間圏の重さは地球の重さと等しくなるとか)時間を早める生き方をどのようにスローにするのか、地球システムと調和した人間圏をどう追求していくのか…
とはいっても地球史的に見ればあと5億年もすれば大気中の2酸化炭素濃度は現在の10分の1程度になり光合成をする植物は生存不可能となって生物圏は消滅する。やがて20億年後には海と大陸も消え、現在の金星のようになる。
太陽もその寿命(100億年)を迎えると赤色巨星になっていき、地球も膨張する太陽に飲み込まれてしまう。
地球史としてみれば、地球はその姿を何度も変えてきており、人類の文明の期間などはほんの一瞬。地球にとっては誤差のような気候変動が文明にとっては致命的となるような危うい均衡によってかろうじて成り立っていることがわかる。
ところで恐竜を絶滅させたという6500万年前のユカタン半島への隕石衝突、直径は10キロメートルで秒速20キロメートルを超えるスピードで衝突しているのだが、その衝突エネルギーはかつて米ソが保有していた核弾頭をすべて同時に爆発させたエネルギーの1万倍から10万倍に相当するとか。その時の想像を絶する環境変動が起こったことがわかる。キューバにはその証拠となるK/T境界層がはっきり見えるのだが、それは衝突によって波長1000キロメートル、波高数百メートルにも達するような津波が起こったことと考えられている。
この衝突でも生き延びた生物がいるほうがびっくりですが、もし同じような隕石が衝突したら現代文明はどうなるのか…核戦争後の世界以上に悲惨なものになるし、人類は生き延びることができるかどうか。
とにかく日ごろ私の思考範囲と全く違ったスケールの議論なので呆然として口を開けているしかないのですが、宇宙の誕生から、太陽系の形成、地球をはじめとした惑星の由来と特徴、そして地球と人類の未来を分かりやすく書いてあります。後半には世界各地を訪ねて考えたことがエッセイ風に書いてあって、理系の知識も不要、文系の軟化気味の脳でも理解度はともかく読了することができました。
世の中のちまちました動きに一喜一憂しているこの頃ですが、こういう本を読むとそんなことどうでもいいやと思えてしまうのはいいことではないか…
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